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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第四章 拝啓、二千年前の俺へ
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六十六話 兄弟達の結末

零夜VS夜真砥、遂に決着そして終戦です!


 いつからこうなってしまったのだろうかあいつと出会ってしまった時から歯車はずっと狂ってたのかもしれない。

 どちらかが始めたのかわからず俺達は傷つけあい同じ血を流してきた。

 もう、止めたくても歯車は止まらないそれはお互いが承知しておりお互いが後悔して叫んでいるなぜこうなったのか回避する方法はなかったのかなぜ俺達、兄弟はこんな運命をたどらならればならないか後悔しても戻ることはできない二千年前、止まったはずの歯車が動き出した二千年後、終わりを知らずただ回転する。

 そして止まることを知らない狂った歯車はやっと終わりを迎える大時計は十二時を告げる鐘が鳴らし一人を天へと召させるのだ。

 狂った歯車よ安らかに眠れ君が俺のことを許してくれるのならもしもう一度、新たな生を得たのなら再び兄弟となることを誓おう次は狂わぬように、狂った歯車よ安らかに眠れ君が僕のことを許してくれるのなら共に地獄で罰を受けよう今度は逃げない何故なら君がいるからそしてもしこの罪が許されるのなら新たな生を受け再び兄弟となることを誓おう。

 俺が願ったのはこの島の統一と大平の世、君を殺せば願いは叶うだがそんなことでこの願いは叶えたくなかった君が何故、犠牲にならなければならない。

 僕が願ったのは君に認めてもらうことだけどそれは僕の勘違いだった君はいつでも僕のことを見てくれていた僕を止めてくれそして君の願いを叶えてくれ、そう悲しむな君は悪くない。

 やり直すことができるのら今度はうまくやろう。




 この攻撃を零夜に当てればこの戦は終わる。

 

 夜真砥は深呼吸して刀を構える。

 今から俺はまた愛する弟の命を刈り取る。

 何を想い斬るか…安らかに眠れただそれだけだ。


「…参る」


 夜真砥は走り出すまずは邪魔な木々を退かすために木霊家の魔法を使う。


「木霊流魔術改良型蠢く命在りし樹海うごめくいのちありしじゅかい!不知火流忍術改良型朱雀(すざく)!」


 木々を魔力で動かす蠢く命在りし樹海うごめくいのちありしじゅかいで零夜まで一直線の道を作り、朱雀(すざく)を飛ばして零夜の動きを止めるそして、

 

「岩戸流魔術改良型地盤沈下(じばんちんか)!叢雲流剣技改良型凍龍門(とうりゅうもん)!」


 名前の通り、地盤を沈下させる地盤沈下(じばんちんか)で零夜の足下の地面を沈下させてその上に凍龍門(とうりゅもん)を通らせ氷の蓋をして零夜を上がれなくした。


「鬼神流剣技改良型忍び足(しのびあし)


 気配を消して今のうちに間を積める!


「天津風流魔術改良型疾風(はやて)


 そして俺は零夜のもとにたどり着いた。


「どこだ兄上!」


 零夜はちょうど氷を割って脱出してきた。

 まだ気づいていない防がれたらこっちの負けだから邪魔な大太刀には退場してもらう!


「雷音寺流拳技改良型!」


(目の前!)


「もう遅い!粛正の神撃(しゅくせいのごうげき)!」


 粛正の神撃(しゅくせいのごうげき)で弾き飛ばす!


「よう、零夜」


 零夜はユニークスキルで夜真砥にあの攻撃を放とうとするが夜真砥の方が数秒早かった。


「俺だけが使える月影の奥義を見せてやる!月影流剣技奥義!」


「倒れるわけにはいかねぇんだああぁぁぁぁ!!」


絶命斬(ぜつめいざん)


絶命斬(ぜつめいざん)、どの文献にも載っていない月影流の奥義で武器を最大限まで強化し一刀だけ振るうことができ必ず斬られた箇所は致命傷となり斬られた者は確実に死を迎えるのだ。

 しかし、振るう際は武器のみを強化するのでバランスが取れなくなったり防御が弱くなり攻撃後に大きな隙ができてしまうことが最大の難点だ。

 ではどうやって継承されていくのか?

 答えは初代から継承されていないこの奥義を作り上げたのは夜暁だからだ夜暁はこの奥義を継承せずに死んでいったそしてこの奥義は夜暁以外の人物も関与しているそれは八百万剣(やおよろずのつるぎ)を共に作った異国の賢者だ。

 作られた当初は名前がなかったこの名前は夜真砥が転生後に付けたのだ。


 俺の刀は零夜の肉を断ちて風を押し出しながら地面につき大きな音を上げて粉々に砕け刀身は消え衝撃で柄は手の中で砕け散りつばが静かな音を上げて地面に落ちた。

 そして零夜は糸が切れた操り人形のように静かに地面に倒れ込んだ。

 決着がつき空を覆っていた曇天から一筋の光が俺達に射し込み徐々に太陽が顔を出してきた。


「いい天気だなぁ」


「お前の負けだ」


「ああ、そうだな。…それより情けないから涙、拭けよ」


「さて、何のことかな?」


 夜真砥は魔法で涙を乾かしたが零夜にはわかる何故なら夜真砥は零夜を斬る際に涙を流していたからだ。

 そして零夜は想った『僕はなんて兄不幸な弟なのだろう』と悲しんでもやり直せない過去、巻き戻したくても戻すことはできない針、夜真砥が涙を流した瞬間、零夜の心の中は後悔の気持ちで埋め尽くされた。

 それを想うだけで零夜は後悔の涙を流した。


「なぁ兄上…何で兄上は僕に『零夜』の名を与えたのだ?」


 零夜と名付けたのは夜暁である。

 そして零夜はこの名前の意味をこう解釈した『零は終わり、夜は闇夜の国のことつまり、僕は闇夜の国を終わらす者という意味で名付けられた』とこの解釈により夜暁が零夜を嫌っていると思ってしまったのだ。


「あの時は異国の文化があんまし入ってきていなかったからお前はわからなかったのか。零は終わりではなく始まり最初の数字だからな。夜は月影一族が必ず付けないといけない文字で俺はその夜を別の漢字の代わりにした八だ」


「なぜ?」


「八って数字で書くとこうなるだろ。それを横にすると無限の記号になる。つまり、零夜から月影一族は始まりずっと循環していくっていう意味で付けた」


「僕はとんだ勘違いをしていたなぁ。兄上、また地獄に戻るのが怖い。…一人になるのは嫌だ」


「安心しろ。三途の川の向こう側で深夜達が待ってるはずだ」


「そうだといいなぁ。…兄上、本当にあの魔族を弟子にしていくつもりか?あれは化け物だぞ」


「別に化け物の弟子の師匠を務めれるのは同じ化け物の師匠だろ」


「そうだな。…さようならお元気で」


 零夜の体が徐々に崩れてきたもう限界がきたのだろう。


「ああ、今度こそさようならだ。俺の弟として生まれてきてありがとう」

 

 夜真砥からの思いがけない言葉により零夜は止まりかけた涙をまた流して息を荒げながらこう言った。


「僕達、また出会えるか」


「そうだな。もし、出会えたのなら今度は一緒に冒険に行こう」


(満足だ。もう充分満足だ)


 零夜の体は崩れ去り何も遺らなかった。


「安らかに眠れ零夜」


 夜真砥は戦が終わった戦場で合掌し、拳を上に掲げた。


「…黄泉神、討ち取ったりー!」


 夜真砥からの戦争終結の報告を聞いて日の本の国にいる日の本の国の民そして黄泉の国の民はともに喜びを分かち合った。

 この瞬間、約二千年も続いた戦争は終わりを迎えた。

 戦いを終えた夜真砥は日の本の国に戻らずある物を持ってある場所を訪れていた。


「深夜、どうやら零夜は寂しいらしい。あの世で零夜の面倒を見てくれ。兄ちゃんは弟子の面倒を見なくちゃいけないからしばらくそっちに行けないわ」


 夜真砥は二つの石棺の隣にもう一つの石棺を作りそこに大太刀を入れ蓋を置いた。


「体は崩れたから代わりだ。さてと帰ったら宴だ」


 最後に花束を置き砕けてつばのみとなった八百万剣(やおよろずのつるぎ)を夜暁の石棺に戻して日の本の国に戻っていった。


「えっと…何ゆえに宴の準備がもう行われている」


 帰還したら何故かかもう宴の準備がほぼ終わりかけていた。


「なんかマスターが黄泉の国に行った瞬間、始めた」


 勝ち確か!


「夜真砥~!」


 こっちに向かって走ってきたティナの顔を押さえた。


「近づくな!鼻水拭いてからこ来い!」


 号泣したのかティナは女の子は決してしなさそうな顔をしていたからだ。


「うっ!」


 ティナはすたこらどこかに行った。

 そして太陽は沈み月が顔を出し宴が始まった。


「もっと飲め!夜真砥!」


 言われた通り俺は連華の酒に付き合った。

 ちなみに葉月と戦う件は宴が始まった時にやって一瞬で終わらした。

 今の俺は調子いいぞ。

 そして今は隅っこで正座しながら言葉に説教されている。


「そんなに飲んでいいのか?それに一気飲みをすると血液中のアルコール濃度が急激に高まり急性アルコール中毒になって天国に送られるぞ」


「マジで?」


「知り合いで医者をやってる冒険者が言ってたし有名ギルドでは一気飲み禁止っていう紙が柱に貼られている」


「夜真砥が言っていることは本当ですよ」


 それを聞いた連華は顔を青ざめて酒を置いて少し落ち込んだ。

 マジの脅し大成功。


「夜真砥~」


「紅葉、酒臭いから近づくな」


「別に良いじゃないのぉ!」


「雫、やれ」


「御意」

 

 雫は素早く紅葉の後ろに回り込み手刀を落として紅葉を気絶させた。

 忍者の紅葉でもさすがに酔ってたら避けられないし気絶する。

 …夜風に当たりに行くか。


「お疲れ様」


「お前もな朧」


 やはり、年寄りっぽい語尾がなくなると違和感あるな。


「やっと終わったね」


「ああ、まだ課題だらけだがな」


 日の本の国、全土でこの宴は行われている。

 黄泉の国の民は各民家に招かれてともにドンチャン騒ぎをしながら宴を楽しんでいる。

 真の大平の世にはまだほど遠いが俺が二千年も思い描いていた理想郷は少しだけ見えたような気がする。

 黄泉の国の復興やこれからどのような島にしていくのかは政治が得意な連中や親父に任せる…零夜ならどんなやり方をしたのだろうな。

 内乱が起こったり、様々な問題に直面するかもしれないでも、それを共に乗り越えることにより彼らは更に絆を得ることができるのかもしれない。

 もしかして今のまま時は流れずっと変わらないのかもしれない。

 だがそれも良いと思うだって城下を見渡す限り、民達は笑っているからだ。

 真の大平の世と散々言ってきたが本当のところどれが真の大平の世とやらかはわからない。

 しかし、こういった一時の幸せを感じられる世の中こそが真の大平の世ではないかと俺は改めて思う。

 まあ、でも今はそんなことより、


「俺も一時の幸せを感じようではないか」


「何か言った?」


「何でも」


「ええ~、気になる~!」


「そんなに気になることではないさ。だって大したことではないのだからな」


 先人の皆さん、どうか安らかにお眠りください。



戦いは夜真砥が勝ち黄泉の国は日の本の国と仲良くなり一つの国になりました!

そして朧は夜真砥と旅に出るのですがちょっとしたトラブル発生します!

それではまた次の話で!

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