六十三話 それは弟か或いは災厄か
夜真砥VS零夜、地上戦開始!
そして零夜の化けの皮をはがす!
日の本の国の壁の前では馬車が多数配置されていた。
夜真砥からの連絡を受けて黄泉の国の民を迎えにいくためだ。
「これより黄泉の国から来る避難民を迎えにいく!質問がある奴はいるか!」
「はい!もしも間者がいたらどうするんですか?」
「確かにその心配もある!だが安心しろ!この者がいる!」
「どうも初めまして!私は元黄泉神最高幹部の悟道心です!夜真砥様にこの国に招かれました!妖怪としての分類は覚ですので心が読めます!」
「ということだ!五芒星耐性の結界を刻むのと同時に心を一人ずつ読んでもらう!もしも間者等がいたら別室で尋問だ!行くぞ!」
夜叉は軍を進めたが後ろでは心に関する悪口が飛び交っていた。
「安心しろ。夜真砥が見抜いたのだ。決してお前は裏切らないはずだそうだろ?」
「…はい、当たり前です!」
「全く夜真砥め、一人で行きよってくたばっても俺は知らんぞ」
(夜真砥様、無事でいてください!)
その頃、夜真砥は零夜を落として地上戦に持ち込んでいた。
六本の腕の機動性はかなりいいがまだ使い慣れていないおそらく最近、地獄から這い上がってきたのだろう。
でも、さすが零夜だ月影流剣術がより上達しているまさか地獄の獄卒と戦っていたんじゃねぇだろうな。
尻尾は…使ってこないなだいたいの魔族は尻尾での攻撃をしてくるのだがしかし、腕が多いと戦いにくいな六本、腕がある奴なんて虫系の魔物ぐらいだからなそれに刀は二本だけ使って残りの腕で威力の少ない魔法の連発、攻撃と同時進行で防がないとやられるしな戦闘スタイルを変更するか。
戦いながら戦闘について試行錯誤している夜真砥だが零夜ももちろん、いろいろと考えている。
(さすが兄上、僕の六本の腕を利用して少し楽をしている。刀で僕の腕を上げたり下げたりして僕の攻撃を当て防いでいる。しかもこの速さこれが噂の魔眼、そして受け継がれる伝説、僕が保有していたユニークスキルこんなに便利なものだったとは。だけど嬉しいな僕のユニークスキルを兄上が持っているなんて体がゾクゾクするよ!でも、僕の方が少し上手だ。この体はちょっと細工をしてあるんだなぁ。兄上にわかるかなぁ?)
夜真砥は刀を交差させて上からの攻撃を防いだが下の両腕で殴られ飛ばされ大木に体をぶつけた。
「…月影流剣術、忘れていないんだな」
「もちろん、僕と兄上を繋ぐ唯一の架け橋のようなものだからね」
「零夜って月影流剣術しか知らないよな」
「そうだけど?」
「なら、零夜は俺には勝てない」
「何で?」
「今の月影流剣術の祖は俺だ。零夜の剣術は旧月影流剣術、俺のは新月影流剣術だ。正直言って旧月影流剣術は新月影流剣術より劣っているんだよ!」
俺は起き上がるのと同時に大木を蹴り倒して大木を持ち上げて零夜にぶつけた。
「これって剣術?…兄上?逃げたか」
作戦成功!
ちょっと魔力が切れそうなので撤退します!
夜真砥は少し離れた木の上に逃げ込み魔力回復薬を飲んだ。
「ふーっ、疲れた。こんなの魔王と戦って以来、久しぶりだな。いや、魔族百人斬りしたとき以来か」
六本の腕か…地獄に逝ったら体の形って変わるものなのか?
死んだら人は魂になって閻魔様の裁きを受けると聞くが…形状を変えた?どうやって?…人の体から魔族の体へ…零夜の魔力反応…動かない尻尾…魂となって裁きを受ける…そういうことか!
零夜もあれができるのかああなったのは応用っていうより魂の状態でやったからかな?
零夜の体は本物と確定…だがある部分が違うならば俺に勝ち目がある。
零夜は…いた周りの木を切り倒している。
さてさて、反撃するとしますか!
「兄上!」
おっと降りる前に見つかったよ。
「鴉!」
しかも切り倒すのか。
夜真砥が隠れていた木は倒れ土煙がまった。
「見つけたぞ!」
「零夜、レーダーでも搭載されているのか?」
「地獄からでも兄上を追っかけれる!」
気持ちわり!
「反撃させてもらう!スキル、魔力乗っ取り!」
「それって魔力を乗っ取るスキルでは?それでは僕は止められない」
「いいや!止められるさ!お前の腕をな!その腕、腕の幻に幻想現実化をかけて作った偽物だろ!その尻尾と先ほどの翼もな!」
「バレたか」
「だから尻尾で攻撃しなかったそうだろ?」
「正解さ!腕の方は魔糸で操れたけど尻尾にまで魔糸を付けると他のか操れないからね!」
幻想現実化で腕を作っても内部構造まで再現されてないつまり、腕だけど筋肉がないんだ例え筋肉があっても実際ある体の筋肉と接合しなくてうまく動かせないだから魔糸で動かさなければならない。
偽物の腕を付けた理由は魔法を攻撃と同時進行で放つためか単に見栄えをよくするためかのどちらかだ。
「さっき飛行してたように見えたのは翼を魔糸で動かし透明の空中床を歩いていただけだろ?」
「根拠は?」
「飛行できたなら空中で魔糸を絡められた時に様々な方向に飛ぶなりしてほどけたはずだ」
「その通り!」
もしも零夜が本当に飛んでいたのならあの時の攻撃を横に飛ぶなりして交わせたり逆に俺の上に飛んで落とせたはずなのに零夜は単に横に移動しただけで何もしようとしないつまり横以外に動いてしまったら空中床を踏み外して落下していた。
こんなに単純なトリックを使っていたとは見抜けなかった俺がバカみたいだ。
まあ、零夜が魔族になったは事実だがな。
おそらく借り物の体なのだろう前世での体は火葬されていると思うし。
「で、どうするの?腕を封じたまま戦う?」
「はっ、んなことするわけねぇだろ。こうするんだよ」
(腕と尻尾が膨張している?)
「魔力ってさ許容範囲を超えると爆発するんだぜ」
零夜の仮初めの腕と尻尾は爆発した。
夜真砥が魔力を操作して零夜の体の魔力を尻尾と腕に流したのだ。
「腕と尻尾そして魔力を消費させて一石二鳥!」
「…兄上にはいつも驚かされるなぁ…ああ、でもさすがにこれは対処できないよね」
「風!?」
零夜の手に風が集まり俺の方に飛んできた。
風属性魔法の類か!?
でも、魔力が一切感じられなかったってことは!
「スキルって魔力を使用しないことぐらい兄上は知ってるよね?」
「当たり前だそんなの天候を操るユニークスキルだな」
「残念!少し違う…上を見て」
「上?どうせ氷柱だろ。…おいおいおいおいおいおい!!あれってまさかガチの隕石じゃねぇか!?」
夜真砥が上を見上げると曇天を突き抜けてこちらに飛来してくる小さな塊が見えたそしてそれを直感的に隕石と答えたのだ。
「うん、ガチの隕石だよ。僕のユニークスキルは世界に訪れし災厄の日で引き寄せたのさ」
「それって天候不順にしたり津波を起こしたり地震を起こしたり火山噴火させたり挙げ句の果てに隕石まで落としかねないっていうあの伝説級のユニークスキル!?」
「だからそう言ってるだろ」
世界に訪れし災厄の日、一言で述べると伝説級のユニークスキルなぜならこのユニークスキルは歴史上でたった一人しか発現したことがないからだ発現させたのは何千年も前に勇者グローリアに倒された魔王だ。
魔王はこの力を使って勇者グローリアを苦しめて世界に大災厄をもたらした国際ギルドでも特に要注意している。
何千年も発現しなかったのでほぼあの魔王にしか発現できなかったユニークスキルもしくはただの勇者グローリアを目立たす話の中の創作物に思われていたが現に今、俺の目の前でそれを保有している奴がいる。
ちなみに勇者グローリアとは今のお金の単位とかに使われている超が付くほど有名な歴史上の人物である!
それと男性の勇者ではなく女性の勇者だ。
零夜…お前、マジモンの魔王になったな。
って、こんな説明しとらんと隕石を破壊しなければ!
「三位一体砲!!」
何とか破壊できた。
「なあ兄上、これでもまだ僕に勝つ気でいるの?」
「いや、お前が魔王になってがぜん勝つ気がわいたわ。なんせ俺は勇者夜真砥だからな!」
「勇者だから僕を倒すか…良いね良いね良いね!!つまりそれって僕のことしか見ていないってことでしょ!最高!最高だよ!」
「言い忘れたがまだユニークスキルは発動させていない。…受け継がれる伝説発動!準備万端いつでも来い!」
「へへ、そうだったんだぁ。…兄上が倒させるかこの島が滅ぶかどっちが先なんだろうなぁ」
この島が滅ぶ!?
「何をする気だ零夜!」
「ユニークスキルを使った僕の技を出すんだよ!災厄達よ!踊れ狂え破壊せよ!災厄が踊る円舞曲!!」
零夜が技を発動させると辺り一帯のいや、ほぼこの島、全域の天候が一気に悪化した。
何が起こるんだ…零夜に風の渦!?
マズいこの技ってもしかして!
「転移の穴!!」
夜真砥は魔力をかなり消費する転移の穴で山脈の向こう側に逃げた。
「逃げて正解だよ!」
「逃げ切れたか!」
「夜真砥!?終わったのか!」
親父!
おっと公共の面前では父上だ。
「まだだ父上!それより黄泉の国の民、全てこっち側に避難したな!」
「先ほど完了した!」
「ならいい!今すぐこの島から脱出しろ!」
「この島から脱出!?何を申すのだ!」
「あれだ」
夜真砥は山脈の向こう側を指した。
するとそこからだんだんと家屋や樹木などを巻き込みながら上へと伸びていく大きな竜巻が見えた。
「何じゃこりゃー!」
「黄泉神のユニークスキルだ。あれは中央に発生した台風並の威力になった竜巻だろうな」
「中央!?ということは他の場所はあれ以外の大災害が起きているのか!?」
「ああ」
話をしていたら兵士が一人、担ぎ込まれてきた。
少し焦げてないか?
「夜叉様、ご報告をします!」
「申せ!」
「山脈の向こう側に突如…突如!溶岩が発生しました!原因はおそらく黄泉神です!」
「「溶岩!?」」
予想外の大災害が来やがった!
大地の性質そのもの…いや、違うな。
「一つ聞く。それは地面の表面から溶けてなかったか」
「そうです!」
「それは溶岩じゃない!そこだけ地表が溶けるほどの気温になったんだ!」
「…この世の終わりだ」
言いたい気持ちはわかる。
「夜真砥、止めても行くのだろ」
「ああ、父上も早く国から」
「逃げん。国が滅ぶのなら我々も共に滅ぶ」
「…勝手にしろ」
夜真砥は再び零夜とあいまみえるため山脈の向こう側へと走っていった。
次回、魔王零夜に夜真砥は挑む!
おそらくあと三話ぐらいで第四章終わります!
実は零夜をラスボスにするのではなく死屍谷をラスボスにする予定でした。
まあ今は零夜をラスボスにして良かったと思います!
それではまた次の話で!