六十二話 兄弟喧嘩
夜真砥と零夜、ガチ兄弟喧嘩します!
チート級の怪物の零夜を夜真砥はどう倒すのか!
黄泉の国の城がある山頂でまるで二頭の竜が激突しているかのような戦いが始まったいや、戦いではない兄弟喧嘩だ。
一人は約二千年前に死に人族へと転生したギルド最強の一角に君臨している勇者、そしてもう一人は同じく約二千年前に死に地獄に落とされそこから地獄の力を奪い這い上がってきた魔王、驚くことにこの二人は前世では兄弟だった故に兄弟喧嘩だ。
運命というのは時に奇妙なイタズラをする決別されたはずの運命の歯車が再びかみ合ってしまった二つの歯車は周りの歯車を無視しながら死の踊りを舞うどちらかが外れるまで。
「ぐっ!」
六本の腕、予想以上に厄介だ!
それぞれの役割を分担すれば攻撃防御両方できる!
零夜は真ん中の腕で防御して上と下の腕で攻撃している。
それに対して夜真砥は二本の刀で攻撃と防御を同時並行で行っている。
ちなみに城はほぼ崩壊して斬撃が飛び交い周辺の木を薙ぎ倒している何事かと黄泉戦が山頂に行こうとしたが暴風が吹き荒れ近づけない。
「兄上、見てくれ!月影流剣技改良型鴉!」
零夜もできるのか!
しかも六本の腕で打ったから六発だと!?
「剣技聖十字炎!」
聖十字炎で五発を相殺させるが残りの一発は防げなかった。
突如、下に落ちたからだ。
「目くらましか!」
鴉に込められていた闇属性魔力が爆発して黒煙をまき散らした。
そして黒煙の向こう側から零夜が四本、刀を突き出して突進してきた。
マズい!
夜真砥は全ての剣先を器用に鎬で防ぎ飛ばされその衝撃で二本とも折れてしまった。
すぐに地上に戻ろうとするがすぐさま防御態勢をとった零夜が真上にいたからだ。
行動が早すぎる!
夜真砥は先ほどまで零夜がいた地面を見たするとそこに何かを勢いよく当ててできた穴があった。
なるほどな下の腕の二本の刀で地面を叩いて飛び上がったのか四本で突撃した理由がわかった。
零夜は夜真砥を峰で叩き麓まで落とした。
夜真砥は負けじと落下中に魔法を使った。
「ただでは落ちんぞ!零夜!風属性魔法!暴風の繭!!」
暴風の繭、名前の通り暴風で周りを繭のように包み込む極風属性魔法、攻撃と防御その両方ができる。
突進しようとしても発動中は使用者が宙に浮いているため動けない。
夜真砥はこれを着地のためと周りを荒れされるために使用した。
これで下の黄泉戦を蹴散らすことが…暴風の繭が消えた!?
零夜の仕業だな!
「天候を操る魔法など僕の前では無意味だ」
零夜の上空に竜巻!?
竜巻って空中にできるものなのか?
もしかして魔法…じゃない!魔力反応が無いということは天然の竜巻だ!
しかもあれだんだんと下がってきていないか!
「そんなの落としたら下の黄泉戦が死ぬぞ!」
「黄泉戦などただの道具だ」
感情なくした死屍谷みたいだな!
「重力強化!」
夜真砥は重力に強化して地面に着地して竜巻の範囲外から逃げた。
そのわずか数秒後、竜巻は地面に到達して周辺の木や岩などを巻き上げて黄泉戦を全て殺した。
「本当にやりやがった!」
そういえば翼があったっけこれじゃあ上から狙われるな。
撃ち落とすしかないか。
「天空より舞い降りし雷竜よ!その荒ぶる力を以て我敵に裁きを下せ!破滅の雷!!」
破滅の雷、上空から真っ直ぐ相手に向かって撃ち落とす極雷属性魔法、その威力故に弱い魔物は灰燼となる雨雲があると確実に落とすことができるが快晴だと変なところに落ちてしまうなので使う場面を考えなければならない。
今は雨雲が出ているので確実に零夜に落ちるが別のところに落ちた。
「言っただろ天候を操る魔法は僕には効かない」
ユニークスキルだな。
でも、零夜のユニークスキルは…ああ、受け継がれる伝説は俺が保有しているんだ。
ということは別のユニークスキルを持っているな。
天候を操るユニークスキルねぇ…そんなのあったか?
今はとりあえず逃げろ!
夜真砥が森に入った瞬間、上空から闇属性の光線が九発降ってきた。
闇属性のみの三位一体砲かける三である。
腕が六本あるから三発撃てて一発に闇属性三つだから合計で九発!
冗談じゃねぇ!
喰らったら死ぬわ!
しかも雨が降ってきたし地面がぬかるんでバランス崩したらマズいな。
まあ、森であちらからは俺は見えないはずだ。
一方、上空の零夜、
「これ以上は無駄か…雨かちょうどいい」
場面は再び森にいる夜真砥、
「さて、どう反撃にでるか…痛って!」
夜真砥に何かが当たった。
「氷柱?そんなに気温、低いか!?」
夜真砥は上空を見上げたするとそこには、
「おいおいおいおい!!雨が全部、氷柱になってんぞ!」
氷柱となった雨が森に降り注ぐ。
「威力ヤバ!」
氷柱には地面に深く突き刺さるものもあった。
「あれ?また雨になった…あつ!」
今度は熱湯の雨かよ!
雨が熱湯になって森に降ってきた。
逃げながら夜真砥はあることに気づき村がある方に走っていった。
「やっぱし!」
零夜は降ってくる雨、全てを氷柱に変えて熱湯に変えたつまり、先ほどまで雨が降っていた場所にもそれが降ることになるかなりの広範囲に。
「大丈夫か!」
「月影夜真砥!?」
村に住んでいた魔族のほとんどが零夜の攻撃を受けていた。
あいつ、民が死んでもいいと思っているのか!
「傷は浅い。誰かが防いでくれたのか。これを使え」
収納箱から塗り薬が入った壺を出した。
「傷が浅い奴にはこれを!深い奴にはこれに加えて回復魔法をかけろ!早く逃げないとテメェらの大将に殺されるぞ!」
「それはどういう!」
「今にわかる!来やがった!」
上空から豪炎球が降ってきたので俺は斬撃を飛ばして防いだ。
「ありが…とう」
「黄泉神は黄泉の国を無差別に攻撃し始める!このことを周辺の村や町に伝えろ!俺も走り回って伝えてくる!けが人、老人、子供は決して見捨てるな!力ある者がおぶるか馬車とかに乗せて運べ!」
「しかし、黄泉の国を無差別に攻撃してくるならどこに逃げれば」
村長ぽい魔族が質問してきた。
「決まってるだろ日の本の国だ。親父に伝えて迎えの兵をよこすから山脈に向かって走れ!」
「村長!敵の王子の言うことを聞くのですか!」
確かに俺は敵の王子、疑って当然だ。
後は村長に委ねるしかない。
「日の本の国に避難する!馬車を全て走らせろ!…信じていいんだな」
「ああ!ようこそ日の本の国へ!」
「地図です!最近のものですから間違ってはいないと思います!」
「感謝する!」
こうして黄泉の国の村が日の本の国に避難を始めた。
黄泉神の無差別攻撃は周りの村や岩に伝えられて徐々に山脈へと向かう長蛇の列ができた。
そのことを疑うものはいなかった零夜が行った雨での広範囲攻撃を根拠としたからだ。
夜真砥はそこに攻撃が集中しないよう零夜に斬撃を飛ばして注意を逸らそうとするその合間に伝達で夜叉に連絡を取った。
「これで十二!」
夜真砥はわずか数分で五の村と七の町を駆け巡っていた。
黄泉の国は大規模な都市がないので村や町がたくさんある。
夜真砥は北西に向かって走り近くの村や町に避難するよう伝え黄泉の国ほぼ全域に避難指示が伝わった。
「ようやく自由に戦える!」
「ご苦労ご苦労、あんなの見捨てればいいのに」
「悪いがお前とは思考が違うのでな!」
翼を斬って落とすか!
だが、斬撃を飛ばしても斬れなさそうだしあそこまで跳べないしなぁ…そうだ!リスクはあるけどあれをするか!
「何をしているのだ?」
夜真砥は零夜とは反対方向に走り出した。
「逃げてるばかりじゃあ勝てないぞ!それに強くなった僕を見てくれ!」
地面をえぐりながら三位一体砲が夜真砥に迫る。
地図で見たところ後もう少しだ!
「…見えた!」
俺は川の流れによりできた深い谷に飛び降りた。
死ぬためではない零夜に攻撃するためだ。
零夜は地面にはいない?
確かにその通りだこれは零夜との距離を詰めるための行動だ。
まずは谷底に魔糸で作った布を作りそれの耐久力と反発力を上げてそれに重力強化で落下して勢いよく飛び上がる!
「捉えたぞ零夜!」
「さすが兄上だ!でも、交わせば問題ない」
「それはどうかな?」
「例え後ろに回っても風を起こして落とすだけだ」
「残念だが俺の狙いはそれじゃない!落ちろ零夜!」
夜真砥は両手を握りしめて交差させた。
その拳には見えない糸が巻かれていた魔糸だ。
そして魔糸の先には零夜がいる夜真砥は零夜を通過する時に魔糸を出して零夜に引っ掛けていたのだ。
「ぬっ!?ほどけん!」
「当然だ。粘着力を上げてぼけないように絡めてあるからな!」
夜真砥は落下する時、拳から糸を切り離し零夜を下に叩き落とした。
魔糸が絡まり零夜は動けず飛行できない。
「このチャンスを逃してたまるか!剣技!」
夜真砥は収納箱から大剣を取り出して振り下ろし空中で連続回転してそのまま零夜の二枚の翼を切り落とした。
「地獄車!!」
地獄車、空中で大回転し敵を斬りつける耐久性の高い剣でしかできない剣技、回転して斬るのでもしも自分の足が相手に当たったら骨折してしまう恐れがあるので上級者向けだ。
振り下ろす瞬間、回転の威力も加わるので確実に腕などを落とせるかなりのリスクはあるが高威力の一撃が出せる。
着地は斬った瞬間に大勢を立て直し魔法で少し衝撃を和らげればできる。
ちなみに超硬い鱗を持つ魔物に打っても衝撃で骨が折れるので柔らかくしてから打とう!
「ぐあぁぁぁぁぁ!!痛い痛い痛い!兄上、痛いよ!」
「そりゃあそうだ。根元からバッサリ切り落としたからな!これでお前はもう飛べない!」
後は再生しないよう祈るだけだ!
このまま押し切り零夜を葬る!
次回、地上に落とされた零夜は本気を出す!
ホント後書きとか書くこと少なくて困ります(-ω-;)
それではまた次の話で!