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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第四章 拝啓、二千年前の俺へ
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六十話 夜暁VS百鬼

前回に引き続き、夜真砥VS朧!

実質、夜暁VS百鬼です!

今回、結構長い文が出てきます!

飛ばし読みはしないでください(´;ω;`)

 呪いとして使われ朧の収納箱(ボックス)に入れられたアイテムを見て驚いた使われたのは夢幻の刹那(むげんのせつな)だったのだ。


 おいおい、あれって呪いのアイテムになるのか!?

 そんなこと誰からも聞いたことないぞ!

 まあ、釣るけどな!


 夜真砥は夢幻の刹那(むげんのせつな)に銃弾を放った。

 だが、朧が収納箱(ボックス)の中に手を入れてそれを取り出した。


「はぁ!?今までの俺の努力は何だったんだよ!」


 直接あれに触って解呪するしかないな!


 朧は夢幻の刹那(むげんのせつな)を握りしめ夜真砥目掛けて振るう!


「やっぱし無理~!」


 触れた魔法を全て無効化するこれにかかった呪いをどう解呪しろって!?

 無理だろ!

 触れた瞬間、無効化されて腕、斬られるわ!

 そもそも何であれが呪われてんだよ!

 いったん距離をとるか!


風撃(ふうげき)…まあ、無効化させるわな」


 アンチマジック、超うぜー!

 純粋な攻撃でなんとかするしかないな!


 夜真砥は普通の刀を取り出した。


「はっ!」


 夢幻の刹那(むげんのせつな)と刀がぶつかるが夜真砥の刀はすぐに砕け散った。


 そうなるよな!

 それと傷付けずに朧を助けると言ったのは誰だ!

 テメェだろ!

 だったら拳で戦え!

 解呪が無理なら朧の意識を取り戻す!

 おそらくは呪いに幻を見せられてそれに囚われているな。


「久々にマジ喧嘩しようじゃねぇな…百鬼さんよぉ!」


「ガアァァァァ!!」


 朧の前世の名を呼んだせいか朧は咆哮した。


「叫んでばかりじゃあ傷を付けることはできねぇぞ!」


 夜真砥は朧の腹を殴りぶっ飛ばす。


「言っておくが傷付けないイコール殴らないは違うからな!」


 朧はすぐに体勢を立て直して斬りかかるが夜真砥はしゃがんでそれを避けて朧の背中に蹴りを入れる。


「百鬼!テメェもそれと戦え!そんな幻を見て満足するな現実を見ろ!」






 その頃、朧は意識の中で呪いに幻を見せられていた。

 朧が見ている幻は二千年前の日の本の国、もしも戦がなかったらという百鬼が望んだ世界の幻。


(何か騒がしいな)


「どうしたんだい百鬼」


「何でもない夜暁」


 そこには月影夜暁、夜真砥がいた。

 百鬼が望んだ世界それは夜暁と戦とは違う別の形で出会い恋をしている世界だ。


「そういえば今日のこと覚えているよね!」


「ああ、夏祭りに二人で行くんだろ!」


「うん!」


 この世界に戦がなければ月夜もいない死山もいない百鬼の恋を邪魔する奴は誰もいない。

 幻の世界の時間は流れが速いあっという間に夜となり夏祭りが始まる時間になった。


「似合ってるぞ百鬼」


 浴衣を着た百鬼ははしゃぎ夜暁の手を掴む。


「ありがとう夜暁」


 なんと愛おしき幻か、決して叶えやしない遠い日の幻よ。

 戦場に身をおいた青年と夏祭りではしゃぐ遠い日の夢、でも今はそれが叶うここでは自分のどんな幻でも叶うなんと素晴らしきことか、本当の彼は今、自分と戦っているでも、目の前には理想の彼がいる。

 ああ、良きかな良きかな。


「どこに連れてくの?」


「まあ、いいから」


 時間は進み夜暁は百鬼の目を隠してどこかに連れて行った。


「目を開けてごらん」


「…綺麗」


 夜空に花火が打ち上げられていた。


「俺の特等席だ」


「スゴいね」


『朧!目を覚ませ!お前はそんな所にいたいのか!』


「どうした?」


「うんうん、何でもない」


「百鬼、聞いてくれないか?」


『さっさと目を覚ませ!死んだら枕元に出るぞ!』


「うん?なに」


『聞いとんのか!うわぁ!アブねぇ!』


「俺と結婚してくれないか」


 夜暁が百鬼に結婚の申し込みをしてきた。

 百鬼は涙目になりながらも夜暁の手を握ろうとする。


『さっさと目を覚ませ!お前がいなくなったら俺は…悲しむぞおぉぉぉ!!百鬼いぃぃぃぃぃ!!』


 だが、百鬼は手を引っ込めた。


「ごめんできない」


「何で!?俺達、付き合ってから結構、時間が経つだろ!?」


「だって夜暁、そんなことする奴じゃなかったもん!いつあたしとあなたが付き合ったの!?どっちから告白した!?キスとかした!?あたしとあんた、戦い以外のことで何か話した!?あたしがあんたのこと好きだっていつから気づいてた!?そんなのなかった!全部、幻だよね!」


「百鬼」


 夜暁は百鬼を抱こうとする。

 しかし、百鬼はその手を振り払う。


「近づかないで!あんたは夜暁じゃない!そしてあたしは鬼神百鬼ではない!今は鬼神朧…今の名前は朧よ!…でも、百鬼としての自分は忘れない!」


(そうだ…あたしはもう百鬼じゃないあたしの今の名前は朧!)


「だから出て行って!勝手にあたしの記憶を改ざんしないで!あたしは夜真砥のもとに戻る!あたしの相棒のもとに!夜真砥おぉぉぉぉぉぉぉ!!」









 夜真砥は士山の噴火口まで押されていた。


「そろそろヤバいな」


 後一歩で噴火口に落ちる。

 全力のあいつの攻撃を止めたとしても噴火口に落ち魔力切れで上がれないかといって手加減したら死ぬ…さて、どうする!


「来いよ!」


 夜真砥は少し前に出て腕を広げた。

 朧を受け止める気だ。


 イチかバチかこっちに俺の魂の全てをかける!


 朧は突進して夜真砥は魔法で全力強化して受け止める。


「うおぉぉぉぉぉ!!」


 止まれ…止まれ!


「戻ってこい朧!今までお前に隠していた気持ち全て話す!俺が初めて国を出るときお前は自分が百鬼の転生体だと俺に言ってきた時マジで驚いた!でもな!それとは別の感情もあった!…泣けるほど嬉しかった!同じ時代を生きた奴が月夜以外にいたことが嬉しかった!船の上で嬉し泣きしてた!だけど同時に言いたかった!すまなかった!俺の戦いにお前を巻き込み死なせてしまった!本来ならお前は誰かに恋心を抱いて家庭を築いて天寿を全うして死ぬはずだった!でも、俺のせいで殺してしまった!本当にすまなかった!謝っても許されることじゃないのは十分理解している!だから俺に…こんなどうしようもない俺に償うチャンスをくれないか!外の世界をお前に見せたいんだ!素晴らしいぞ外の世界は!いろんな種族がいていろんな景色がある!美味しい食べ物だって沢山な!まだ見ぬ景色だってある!それをお前と一緒に見たいんだ!夜暁だった時にはできなかったことを朧と一緒に!外の世界に行かないか月夜とティナ…俺と一緒に行かないか!二千年前の俺は朧と楽しんだことが一度もなかった!だけど今はそれができる!だから…だから!そんなちっぽけな幻なんて見ていないでさっさと俺の所に戻ってこい朧おぉぉぉぉ!!」


 朧の突進が止んだ。


「何もわかってないのはそっちだよ。…あたしだって気がついたらたら知らない親、知らない親戚が沢山いて知らない名前を与えられて困惑していた。調べたら二千年後の日の本の国だった余計に困惑したよ。知っていた父上も母上も仲間もいないとてもつらかった悲しかった寂しかった!でも、あんたと出会って変わった何となくわかった夜真砥は夜暁の生まれ変わりだって…でも、違ったらどうしようって思った。あたしの希望は粉々に砕ける。だけど夜真砥が八岐大蛇と戦っている姿を見て確信した。…ああ、あたしの相棒だって。でも、あんたはあたしに気づかずに月夜と国を出ようとした。だから言ってやったの久しぶり夜暁、儂は百鬼じゃってあの時のあんたの顔は忘れないよ。そしてあんたが国を出て行ってしまった時はとても寂しかった!やっと見つけた二千年前からの知り合いが夜暁もいなくなってしまったのが!でも、夜真砥が国に帰ってきたときに話してくれた外の世界のことは面白かった。だけどそれじゃ嫌!あたしだって夜真砥と同じ景色を見たい!あたしだって夜真砥と同じ時間を過ごしたい!お願いだからあたしを連れ出して!勇者ならそれぐらいのこと気づきなさいよバカ!お願い…あたしを助けて…」


 知らなかった朧がこんな気持ちを抱いていたのが…つくづくお前は愚かだなマジで自分のことしか考えてねぇよな。


「ああ、助けてやるよ!だから一緒に冒険をしよう朧!」


 全ての魔法を無効化する能力?

 そんなの知ったことか!

 やってやるよ!

 奇跡ってのがあるなら今この瞬間に起きてくれ!

 女の子に助けを求められたら必ず助けてみせるそれが男っていう生き物だ!


 夜真砥は夢幻の刹那(むげんのせつな)を握る。


「我が命に従い忌まわしき者よ去れ!我が力は神の力と知れ!故に汝に抗うすべはない!救済の鐘よ世界に響け!解呪魔法神々が鳴らす救済の鐘(ディスペル・ベル)!!」


 神々が鳴らす救済の鐘(ディスペル・ベル)、極光属性魔法で解呪魔法だ。

 味方にかけられた悪い効果を打ち消すことができる。

 なのでこれで呪い以外の状態異常も消せるのだ。


 そして朧は元の姿に戻った。

 解呪成功だ。


「バカ野郎、こんな無茶もうするなよ」


「うん、ありがとう」


「ところで朧、魔力残ってるか?」


「えっと残っていないけど、それが何?」


 夜真砥の顔が青ざめた。


「実は足場が崩れそうなんだ」


「でも、夜真砥は…まさか」


「その通り、俺もない」


 足場が崩れた。


「夜真砥のバカバカバカバカー!」


「おま、助けてやったのにそれはねぇだろ!ああ!クソ野郎!リュリュー!」 


 俺がリュリュの名前を叫ぶと近くで待機していたリュリュが飛んできて二人を乗せた。

 近くにリュリュの魔力反応があって助かった。

 月夜めこうなることを予想してたな。


「リュリュ、マジでナイス」


「ギャウ」



 


 その頃、ティナと月夜は


「何で私達こんな所にいるんでしたっけ?」


「あんたが夜暁の頃のマスターを知りたいって言ったからでしょうか」


 そういえばそうだった。

 でも、何でこんな深い森の中を歩いているの?


「ついたわ」


「遺跡?」


 ついた先は大きな遺跡のような所だった。


「まあ、遺跡ね。でも、詳しく説明すると忘却魔法存在と記憶の破壊ダムナティオ・メモリアエを使用した書庫よ」


存在と記憶の破壊ダムナティオ・メモリアエ?」


「対象者の存在の記憶を破壊する魔法、つまり対象者の存在を無かったことにする古代魔法よ」


「ということはその人がこの世界にいなかったことにするんですか!?」


「いたという記憶だけね」


 怖い魔法だなぁ。

 夜真砥がキレてこれを使わなければいいんだけど。


 そうこうしているうちに月夜とティナは書庫の中に入った。


「ここにある書物は全て二千年前に記したものよ」


 月夜が迷わずに一番中央の本棚から一冊の古びた本を取り出した。


「ほこり臭い!てか、誰がこんな魔法かけたの?」


「…私よ」


「え!?何でそんなことを!」


「後世に伝えてはならない奴、消さなければならない奴がいたからよ。本来なら三人いるはずの家系図にいない二番目のおとなしかったガキ」


「それって誰ですか?」


「こいつよ」


 月夜は本のページを開いてティナにわたした。


「マスターと同じ力を持っていたおそらく全時代の黄泉神の頂点に君臨した男」


「え…でも、この人の苗字って」


「ええそうよ。だから存在を消したのだってそいつの本名は」


 


 月夜が存在と記憶の破壊ダムナティオ・メモリアエで抹消した者の本名を言う同時刻


「帰ったら魔力回復させたいとな」


「そういえば後何日いるの?」


「…一週間あたりだな。その間に国を出る準備をしとけよ」


「うん!」


 何かに怯えだしたのかリュリュが突然、叫び暴れ出した。


「どうしたんだリュリュ!静まれ!」


 だが俺はすぐにリュリュが暴れ出した理由がわかった。


「スキル、完全なる障壁(パーフェクトバリア)発動!」


 完全なる障壁(パーフェクトバリア)が展開されたわずか数秒後、俺達は光線に飲み込まれた。


「夜真砥!」


「闇属性のみの三位一体砲トリニティーファイヤー!?」


「さすがだ。腕は落ちていないか」


 何だこの魔力反応は!

 人族でも獣人族でも鳥人族でもましてや魔族でもない!

 似たような魔力なら感じたことはある天使族だ!

 でも、天使族はもっと魔力が柔らかいこの魔力反応は正反対だ!

 天使族に近くで魔族のような魔力反応…何者なんだあいつは!


 攻撃が止むと布で体、全体を覆い隠した身長が二メートルありそうな男がいた。


「我は黄泉神」


 おいおいおいおいおい!!

 魔力がほとんどないときに敵の総大将出現かよ!

 冗談じゃねぇぞ!


「そしておめでとうそこの鬼を取り戻せて」


「朧に呪いをかけたのはテメェか」


「そうだが?」


「後でぶっ飛ばす!」


「夜真砥止めて!あいつとは()()()()()()()!」


()()?俺はこいつと一度も会ったことはないぞ!」


「ある!だってあいつは…あの時、倒した黄泉神」


「あの時?あの時ってまさか二千年前のことじゃないよな!」


「そう!だからもう戦わないで夜真砥が悲しむ姿はもう見たくない!」


 最悪だぜ運命の神様よぉ!

 俺にもう一度、()()を殺せって言うのか!

 その面、一編殴らせろ!


「その通り、久しぶりだな兄上」


 


 場所は戻りティナと月夜がいる書庫


 「マスターと同じ月影、太陽に魅入られた者、奴の本名は()()()()、元黄泉神」


 

  

突如、発覚した黄泉神の正体それは夜真砥の前世での弟、零夜だった!

しかも前世で倒した黄泉神!

第三章、第四章のラスボスは月影零夜です!

それではまた次の話で!

ちなみに零夜は転生してません。

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