6話 無茶苦茶な修行
ティナの修行スタート!
まあ、タイトル通り無茶苦茶な修行です。
ヤマト達を見送った後、私は朝食を食べて外に出た。
つまり、修行開始です。
「さてと、お主は何の職種になりたいのじゃ?」
「職種って何があるのですか?」
「ヤマトはそんなことも教えてないのか」
「教えてないというか魔法とギルトのことしか教えられてない」
「ヤマトの奴、儂に任せやがったな。まあ良い一から説明してやる。我が弟子達はジャックが接近防御戦が得意な騎士、ヒルデは相棒のドラゴンと共に戦う竜騎士、まあ、召喚師の端くれじゃな。ヤマトは確か魔法と剣の両方で戦う魔剣士じゃ。それ以外にも色々とあるがな」
なるほど、となると私はこの職種が良いかな?
「魔剣士でお願いします」
「わかった。それでは…」
「修行開始ですね!」
「違う。お主の武器を買いにサンドリアに行く。今から行くと日が暮れて店が閉まってしまうので転移の穴を使うがな」
転移の穴とは使用者の魔力量によるが最大半径三十キロまでワープできる便利な魔法である。
ただし使用すると一週間経過するまで転移した先に転移の穴が固定化されてしまう。
なお、上達していくと固定化をなくすことができる。
ちなみにヒルデはシルビィアで移動するから転移の穴は使わない。
そしてリリムさんと私は転移してサンドリアにやってきた。
気のせいだろうか…。
何故か街の雰囲気が慌ただしく感じる。
「転移してから言うのもあれですが。その…私…お金持ってないんですけど」
「お金ならヤマトが一万五千グリア、置いてったぞ」
おお、珍しくヤマトが優しくしてくれた!
ヤマトにも人の心というのがあるんだね。
「どこの武器屋に行くんですか?」
「武器屋には行かんよ。職人ギルトに行くんじゃ」
リリムさんに言われるがままになって私は『職人ギルト』という看板がかけてある大きな建物の前に到着した。
何か絶え間なく奥から大きな音が響いている。
それと何か暑い。
「ここが職人ギルト…」
「そう、ここが職人ギルト、値段は少し高いが良い物が売っておる」
ヤマトもこんな所で武器を買うのかな?
「そういえばヤマトは自分の武器や防具を自分で作っておるな」
凄い!あの剣や防具って自家製なんだ。
職人ギルトの中は案外広かった。
熱気をこもらせないためか吹き抜けで三階建てだ。
ああ、屋内に工房があるから入口まで音が響いてきていたんだ。
「魔剣士専門の武器屋はここじゃな」
他の剣を売っている武器屋と見比べたら大して変わらないような気がするのだが。
「他の剣を使う職種と何か違いがあるんですか?」
「武器のデザインや形状だけの違い。実質同じじゃな。付与とかもされている武器もあるがここは大した物はないな」
同じなら何で他の武器屋とわかれているの?
意味なくない?
というか今、購買欲を削ぎ落とすような発言が聞こえたような…。
いくらするんだろう?
「八千グリア!?値段高っ!」
他の武器を見てもこれが一番安そうに見えた。
武器ってだいたいこんな値段なの!?
「武器ってのはだいたいそんな値段だぜ。嬢ちゃん」
店の奥から店主らしき人が出てきた。
あ、聞かれてたんだ。
「すみません。予想以上に高かったからつい…」
「気にすんな!新米冒険家はだいたいそんな反応をするもんさ!そっちは妹さんかい?」
妹さん?
私は少し考え下を見たらその言葉の意味がわかった。
リリムさんのことか。
「お主、まさか儂のことを『妹さん』と言っておるのか?」
「え?違うのか?」
リリムさん絶対にキレてる!
「終焉を誘う者と言ったらスカスカの脳みそを持つお前さんでもわかるかのう?」
「終焉を誘う者…まさか!あの、すみません!私の武器屋は、つぶさないでくださーい!」
「リリムさん、他の武器屋で何かしたんですか?」
「そういえばそんなことがあったな…ド三流な武器しかおいてなかったから、つぶしててやったわい」
自覚して言ってなかってんだ。
何で二つ名出したんだろう。
見た目で気づかれなかったのに。
「どうぞ、好きなだけ見てください…。腕には自信がありますので」
「そうかい、あんた良い奴じゃな。遠慮なく見させてはもらうぞ」
ちょっと、リリムさーん魔族に負けないほどの悪い顔をしてますよー。
最終的に私が最初に値段を見て驚いた武器を買うことにした。
リリムさんが言うには本当に腕が良かったらしい。
「次は防具屋に行くぞ」
「また、さっきと同じことが起こるのかな?」
私の予想は見事に的中する。
着いた途端、リリムさんは私の妹と間違えられた。
だが今回の店主は少し違った怒られ方をされている。
「お主、今、儂のことチビと言ったな!?チビと!お主の人生終わらせてやろうか!!」
「すみません、すみません!終焉を誘う者と知らなかったもので!」
店主がチビと言ったので怒ったのだ。
チビという言葉は絶対に言わないでおこう。
その後、すぐに私の防具は決まった。
一方、店主は店の奥で椅子に腰を下ろしていた。
理由はリリムさんの怒りの威圧で腰が抜けたから。
どうやったら私よりも小さな体からあんな覇気が出るのだろう。
「さてと、さっさと帰りますかのう」
今、思ったんだけど、リリムさん乙女と言っておきながら高齢者っぽい喋り方してるのだけど。
まあ、そうしないと子供と間違えられるからかな?
「ほう、これはこれはとても面白いことが起こりそうじゃのう」
冒険者ギルトの前でリリムさんは立ち止まった。
「何見ているんですか?」
「ギルトの掲示板じゃ。さっさと帰るぞ」
何て書いてあるのか気になったが素通りした。
どうせ私には関係のないことだし。
平原に戻ってきて早速、リリムさんに魔法のレクチャーを受けることになった。
多分だけどヤマトとほぼ同じことされそう。
だってあの人の師匠なんだよ。
「お主、魔力のコントロールが上手いの!」
リリムさんに誉められた!
「ありがとうございます!師匠に教えてもらいました」
「だろうな。では火球を放て!」
「はい!」
私は火球を放つ。
だがあの時と同じく私の目の前は大火事になった。
アハハ、やっぱりこうなりましたか…。
「ヤマトの言ったとおりじゃな。コントロールはできるがそれ以外のことは全くできんな。魔族は根本的に魔力の質が全然違うからな…」
「火を消さなくて良いんですか?」
「ほっておけ。こんなこともあろうかと燃やそうと思ってた、雑草の山に放たせたんじゃ」
魔法を放ったところには雑草の山がある。
もしかして利用された!?
「あの方法をやるか!」
魔法を相手にぶつけて覚えさせる方法かな?
これは素直に受けるしかないか…。
「後ろを向け」
と思ってたがリリムさんは私の背中に両手を当てた。
やっぱり身長低いな…。
「もう一度火球を放ってみい」
また、大火事になるだけですよ。
しかも雑草の山はもうないですし。
「火球!」
言われるがまま再び火球を放ってみると目の前でゆっくりと飛ぶ火の玉が現れた。
やっとまともに火球が出た!
「やったー!できたー!」
「お主の魔力を火球サイズの威力になるように調整したんじゃ。それより今の感じを覚えとけ!その感じを覚えたら他の魔法も思うように使えるようになるであろう。それではもう一度火球を放て!」
「はい!」
火球を五回ほど打ったらリリムは手を離した。
補助輪を外して二輪車の練習をする際にお父さんがするあれである。
さて、リリムが手を離すとティナは一人で火球を放てるようになっていた。
「やったー!今度こそ自分だけでできたー!」
「うむ、良くやったわい」
その後、ティナはリリムに魔法を九個教えてもらった。
教えてもらったのは風属性魔法の風刃と雷属性魔法の雷撃と光を放って相手の視力を一時的に奪う閃光、異空間に生物以外ならしまえる収納箱、リリムが使った転移の穴、水属性魔法の放水、氷属性魔法の氷結、闇属性魔法の暗黒空間、防御魔法盾と先ほど教えてもらった火球の計十個である。
「それでは、戦闘訓練を始める!」
「無理!無理!リリムさんと戦うなんて絶対無理!」
「儂とは戦わん。こいつと戦う」
『こいつ』って誰か居るの?
するとリリムの下に魔法陣が出現し光りだした。
「儂が終焉を誘う者と言われる一つの由縁をお前さんに見せてやるわい!魔物強制召喚!」
魔物強制召喚とは魔物を強制的に召喚する魔法である。
召喚する魔物はランダムで選ばれるため極まれに超危険なドラゴンが出てくるときがある。
ちなみにドラゴンバカのヒルデはこれでドラゴンを何回か召喚しているとさ。
なお、召喚した魔物は主従関係を結べないのが召喚魔法との違いである。
「こいつが今回の戦闘訓練の相手じゃ」
「モグラ?」
「モグラじゃない。モグラが魔獣になった姿じゃな」
「え?魔獣って何?」
「獣が魔素を体内に蓄えすぎた結果、誕生する生物じゃ。さっさと倒さんと殺されてしまうぞ」
そう言うとリリムさんは収納箱から椅子を出してくつろぎ始めた。
「何かサポートしてくださいよー!」
ティナは魔獣に追いかけられている。
リリムが追いかけられてない理由は気配遮断を使っているからである。
「戦闘訓練にならんじゃろう自分一人で倒せ」
「はい!」
その後、私は魔法や剣で攻撃してなんとか倒した。
「それではギルトの依頼を受けにマガラに行くぞ」
私達は転移してマガラのギルトにやってきた。
やっぱり、ヤマトの師匠だよこの人。
本当にサポートを一切しなかったよ。
「この依頼を頼む。それとお主、新米じゃないつも居るベテランはどうした?」
「先輩は腰が抜けて奥で休憩しています。先ほど有名な冒険者様が来たものなので」
「誰ですかね有名な冒険者って」
「儂は、すぐにわかったぞ。あいつらじゃ」
あいつら?
あ、師匠達のことかそれなら納得がいく。
「『フェイクフラワーの討伐』ですね。はい、受付完了です。行ってらっしゃいませ」
私達はフェイクフラワーを討伐するためマガラの近くの森にやってきた。
「こいつがフェイクフラワーじゃ」
私の目の前には花の魔物が居る。
なるほど花に化けるからフェイクフラワーか。
するとフェイクフラワーは私に向かってツルを伸ばしてきた。
「ああ、言い忘れたがフェイクフラワーは補食する際にツルで獲物を捕らえて口に入れるのじゃ。擬態生物じゃからな」
「ええ!?補食されるんですか!?」
「何しておるのじゃ!風刃でツルを切らんか!」
私は風刃を使ってツルを切って脱出した。
「よし!もう一度、風刃!」
今度はフェイクフラワーの腹に向かって打った。
これで少しは切れ込みができるから!
「火球!」
開いた穴に目掛けて火球を放つ。
フェイクフラワーは絶命した。
「お見事!合格じゃ。ついでにそこの丘にいるスライムの群れを倒してみい」
「はい!」
ティナは雷撃を放ちスライムの群れを倒した。
このスライムの群れがまさかジャックの依頼対象など二人は知る由もないだろう。
「それじゃ、クエスト終了の報告をして儂の家に戻るとするかのう」
私達はクエスト終了の報告をした後リリムさんのお家に戻った。
死ななくてよかった~。
次回はサンドリアに戻って五人で依頼を受けます。
何の?
防衛戦です。
それではまた次の話で!