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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第四章 拝啓、二千年前の俺へ
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五十三話 破滅を呼ぶ進化

今回は朧編!

最初はうまく戦いを進める朧だが急展開!

続きは本編で

 最高幹部戦が始まるおよそ三時間前


 「儂を別空間に隔離する?」


 朧と夜真砥が二人っきりで話し合いをしていた。


 「そうだ。奈落と戦うには狭い空間の方がいいだろう」


 「それもそうじゃがぁ…」


 「で、隔離する空間はここ」


 俺はアディーを呼び出して扉の中に入った。


 「ずいぶんと幻想的な空間じゃのう…昼間なのに満月、冬なのに夜桜それとあれは…寝殿造りの家か」


 「アディーの力さ。幻想の間と呼んでいる」


 「ここで戦えと?」


 「ああ、全壊にしてもかまわん」


 「じゃあ遠慮なく全壊にしてやる」


 「それと鬼神家の伝家の宝刀を用意しとけよ」


 「()()をか?」


 「そう。それともう一つ、いい加減その年寄り臭い喋り方止めたら?儂とか妾とか何かそういうとこが曖昧だぞ」


 「ぐっ…やっぱり変?」


 「いくら正体を隠すためだからってそれはなぁ。まあとにかく斬られるなよ」


 「うむ…お主もな」









 そして時は戻り奈落が飛ばされた空間


 「…どこだ…庭園?」


 奈落は試しに外に出ようとするが出られなかった。


 「日の本の庭園ではなくどこかの異空間だな…はっ!」


 そして空間を斬ろうとするが斬れない。


 「何者かを倒さなければ出れない空間かぁ…」


 奈落が試行錯誤しているとどこからか篠笛の音が家の方から聞こえてきた。


 (誰かいる!)


 奈落は篠笛を吹いている者を知るために家の中に入り、奥の畳の部屋にたどり着いた。

 そこには白髪の女の鬼が縁側に座り篠笛を吹いていた。


 「何者だ!」


 「朧…刀を納めろ深奥奈落」 


 「ここから出してもらおうか」

 

 「それは無理、夜真砥にしかできんからな」


 そう言うと朧は再び篠笛を吹き始めた。


 「いい加減にしてくれる?こっちは早く累のもとに行きたいの」


 「そなたは奴のことをどこまで知っておる?」

 

 「何もかもぜーんぶ知っているわ」

 

 「なら奴が元黄泉神だということもか?」


 「はぁ?なにそれ」


 「知らんようだな…さて始めるとするか」


 「上等よ!」


 奈落は空間を斬る!

 しかし、なぜか空間は斬れなかった。 


 (刀!刀ごときで私の空間工作(くうかんこうさく)を止めたっていうの!?)


 「驚いた?空間を操るなど鬼神家の十八番よ。まあ、今のは無効化させただけなんだけどね」


 (口調を戻しけどうまいとこ戻らないなぁ)


 「この刀は二千年前から代々鬼神家に受け継がれている伝家の宝刀その名は魔剣夢幻の刹那(むげんのせつな)


 夢幻の刹那(むげんのせつな)とは二千年前から鬼神家に代々受け継がれている伝家の宝刀で魔剣。

 刃は曇りなき鏡のように輝き柄と鞘は黒曜石のような黒い光を放っている。

 その刀に触れた魔法を夢か幻だったのかのように全て完全に消し去ることができる言わば、魔法消滅(マジックロスト)が永久的に付与されているようなものだから夢幻そして一瞬で消し去るため刹那。

 この魔剣がどのような工程で作られたかは一切誰もわからないその工程は神のみぞ知る。

 その刀こそが夢や幻なのかもしれない。

 そして刀が鬼神家を黄泉神最高幹部にした最大の理由であるもしも鬼神家が黄泉の国を裏切らなかったら今頃、日の本の国に人族は居なかっただろう。


 「黄泉の裏切り者がああぁ!!」


 「それは鬼神家にとって名誉ある呼び名ですね!」


 朧は奈落を奥の部屋に弾き飛ばす。


 「ぐっ…」


 「足掻いてみなさい。この一方的な戦いに」


 奈落は空間工作(くうかんこうさく)で朧の後ろに回るが、


 「光明球(こうみょうきゅう)


 で吹き飛ばされる。

 間一髪、刀で防ぐが砕け散った。

 急いで換えの刀を取り出すが遅い。

 朧はすでに攻撃を仕掛けていた。


 「光刃(こうじん)!」


 光る刃、光刃(こうじん)を飛ばしてきた。

 なお、光刃(こうじん)は暗いところで使うと照らすついでに敵も攻撃できるので別名、攻撃型ランタンと呼ばれている。

 奈落は体を反らして避けるが朧から目をそらしてしまった。

  

 (居ない!どこに行った!)

 

 朧はその場から姿を消していた。

 だが奈落はほんのわずかだが感じ取っていた朧の殺気をこちらに歩み寄る足音をそして時は来た。

 一瞬の出来事、奈落が右肩から血を流した。

 

 「あああぁぁぁぁ!!」


 (居る!この空間のどこかに!)


 奈落は右肩を押さえつつ何もない空間を睨んだ。

 そして再び血を流した今度は背中だ。


 「姿を現せ!」


 (あの紙に書かれていたことは間違いないな。深奥奈落は死屍谷累が居ないと精神的に不安定になり弱くなる。これはすぐにすみそう)

 

 「ここよ!」


 朧は庭に姿を現した。


 「鬼神流剣技忍び足(しのびあし)


 そしてまた姿を消した。

 

 「隠密系の魔法!?」


 「夢幻の刹那(むげんのせつな)を使用している者は魔法が使えないとは一言もいってないわ。縮地(しゅくち)!」


 縮地(しゅくち)、相手との距離を詰めたり、死角に入り込む剣技、いろんな魔法と組み合わせるなどをして日々進化している。


 その後は言うまでもなく消えた朧を捉えられず奈落は一方的に斬られた。

 魔法を出しても消され刀を振るっても当たらずただそれの繰り返し薄れゆく意識の中で唯一考えていたのは累のことそしてここで死んだら二度と累に会えなくなるという絶望だ。


 「やだ…やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!」


 (壊れたの?)


 「ここで死んだら累に会えない!やだやだやだやだやだやだやだやだ!!生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい!!」


 (力が欲しい!!)


 かすかだが朧は場の空気が一瞬いや刹那にして変わったのを気づいた。

 自分にではない一方的に斬られている奈落にである。

 今にも事が切れそうな奈落からかすかに感じた殺気と嫌な感じこの鬼は危険!そう思い…いや、そう本能が訴え考えるより先に体が動いて奈落の首、目掛けて刀を振るうしかし、もう遅かった。

 朧の本能は正しかった幾千回も戦場を渡り歩き刀を交えてきたからわかるこれは死の舞踏なんかではないそれよりもっと恐ろしい何か、可能性があるなら生への欲望、生きるために生物が日に日に行っている進化を今まさにこの瞬間、己の敵がやっている。

 進化というのは恐ろしいものだ恐竜から逃げまとっていた哺乳類はやがて恐竜が絶滅すると体を大きくしてこの世の頂点に君臨したやがてそこから人という生物が生まれた人はあっという間に火や鉄を扱いそして一瞬にしてこの世の頂点に君臨し、世界を滅ぼしかねない兵器を幾つも保有して何も考えずにそれを使い同族で殺し合いをして星を壊する行き過ぎた進化をした。

 まさに今、奈落はそれを実践している何をすれば目の前にいる敵を殺せるな試行錯誤を繰り返しているそれは時の流れすら超越して一世代だけでそれを成し遂げようとする。

 そして遂に成し遂げた。


 


   


 一方、神の聖騎士(ゴッドパラディン)を装備した夜真砥はというと、


 「再開する前に一つ聞く」


 「何だ?」


 「あの妖怪に何をした?」


 「…バレていたか禁忌魔法悪魔との契約(ソウルエクスチェンジ)耳にしたことはあるだろ?」


 また禁忌魔法か…悪魔との契約(ソウルエクスチェンジ)、使用者の体を強化いや、進化させる禁忌魔法、闇の上位魔法。

 もしスライムがそれを使用するとドラゴンだって殺せるがその身は崩壊し、死ぬ。

 なぜならこの魔法が禁忌にしていされた最大の理由である進化の代償にその寿命を限りなくゼロにする要するに魔力の代わりに魂を代価として交換するのだ。

 だから別名、悪魔との契約と呼ばれている。

 禁忌魔法禁止法、この魔法は魂を代価として発動するため使用者の身の安全を保障することはできないかつ何が起こるかわからない。

 そのためこの魔法を禁忌魔法と定める。

 まあ要するに超危険ってことだ。

 奴はあの阿婆擦れにそれを魔法陣か何かでかけたんだろう。


 「外道が」


 「どうとでも言え」


 朧、死ぬんじゃねぇぞ。


 




 そして場所は戻り幻想の間



 「原型をとどめていないぞ」


 奈落は何百年いや何千年何万年もの進化を果たした。

 否、進化なんてものではない新たな生物をここに誕生させた。

 種族名はそう怪物、体は膨れ上がり黒い肉塊になり服を破り、家を突き抜けて巨大化して刃を通さぬ体そして魔法への完全耐性、腕は二本ではない何十本も次々と生えてくる鋭い刃や槍のようになった腕が足は退化して カタツムリのような腹足類の足となるが動きは速いなぜなら空間工作(くうかんこうさく)そのものを進化に加えて性質にしてしまったからだ。

 頭は…今、肉塊から出てきた頭も原型を維持しておらず目を無数に付けて、おっと肉塊がさらに進化した肉塊にも目が生えた口には無数の牙が生え鬼の特徴である角が見当たらないその代わりに無数の触角が生えている。

 深奥奈落は進化の過程で魔族の鬼であることを捨てた真の化け物となってしまった。

 一言ですむなら、


 「タコみたい」


 「アッアア…アアアアアアア!!」


 そして戦いに無駄な言葉を無くしてしまった。


 『こちら夜真砥、聞こえますか?』


 幻想の間に夜真砥の声が響いた。


 「夜真砥、そちらの様子はどう!」 


 『おいおい、俺の心配している暇があるのかよ。話しながら斬り合ってる』


 「その言いようだとこっちらの状況がわかってるようね!」


 『ああ、野郎がかけた禁忌魔法悪魔との契約(ソウルエクスチェンジ)の力だ』


 「対処方法は!」


 『ねぇよ!奴は戦闘および生に執着した完全生物!俺でも倒すのが難しいぐらいだ!あるなら時間経過だな!』


 「無理だと思うけど!」


 『なんもやれとは言ってない!葬れ!奴を早く楽にしてやれ以上!』


 夜真砥の声は途絶えた。

 

 「…無理を言うな…あのバカたれは」


 「アアアアア!!」


 「…元黄泉神最高幹部鬼神百鬼、現鬼神家次期当主鬼神朧…汝を葬るため参る!」



 

 

 

最悪の進化を成し遂げた奈落に朧はどう立ち向かうのか!

熱い展開ですが次回は夜真砥編です!

それではまた次回の話で!

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