四十六話 見た目で中身を判断するな
今回は主人公一切出てきません!
主役は朧です!
今回の話で朧が本気を出します!
死悩の昔話には続きがある。
死悩は両親を殺した後、投獄された。
だが、醜き妖怪の手により助けられて釈放された。
彼女はなぜ自分を助けたのかと聞いたそして醜き妖怪は『あんたの心が凍っていたそれを解凍したくなってな』と答えた。
それに対して死悩は何も返さずただキョトンと首を傾げてその妖怪のあとについていった。
妖怪は黄泉戦に入隊しており死悩とは別の部隊、だが妖怪は死悩の隊でも知られていたとても醜き妖怪と、怯えて近づこうとしない近づくのは妖怪をイジメる兵士だけ。
石を投げられ血だらけになっても妖怪は笑う。
死悩の隊からもイジメられている。
しかし妖怪は頻繁に死悩に会いに来て話をした、死悩は顔色を変えずその話を聞いて妖怪は帰る、ただそれの繰り返しやがて死悩は口を開き妖怪と話し出した初めは魔法の話、だんだんと日常に起きた話をしていった。
死悩はだんだんと気づいたこの妖怪は姿は醜いが心はとても美しいと、そして私だけは何があってもこの妖怪のそばを決して離れないそれがこの妖怪に対する恩返しそう誓った。
時は流れて二人は大将そして黄泉神幹部になり常に行動を共にする仲になった。
妖怪の名は牛王火苦、叶えたい願いは死悩が笑うこと、そのためにこの戦を終わらせて死悩を解放する。
そのために彼は戦っている。
「水壁」
蜘蛛の巣の上では豪炎球が暴れまわり三人を苦しめている。
火苦には近づけず攻撃ができない。
「雷すら目の前に落ちるんですか!?」
「このユニークスキル結構、厄介じゃ!遠距離攻撃はできず近距離攻撃しようとも近づけない!」
「苦しめ苦しめ!」
(どうするかのう…豪炎球には当たりたくないし…そうか当たらなければ良いんじゃ!)
「あきらめたか!日の本の妖怪よ!」
朧は挟み撃ちにされた。
前と後ろから膨れ上がった豪炎球が見る見るうちに迫る!
「そういえば言ってなかったな。儂は古来より日の本の国に存在する妖怪の名家!王家、月影家の盟友、鬼神家次期当主鬼神朧とは儂のことじゃ!」
「名乗ってないで逃げたら」
雫が呆れた表情をして朧に忠告した。
「逃げん!」
「あっそう」
「やはり鬼神家か!ならなおさら死ぬがよい!」
朧に豪炎球が直撃した。
しかし、豪炎球は消えずに進行を続けている。
「耐えきれずに消し炭になったか!」
「残念ですが朧は生きていますよ」
「なに!?」
「蜃気楼じゃ!」
朧は腕を組み、自慢げに高笑いしながら黒煙の中から姿を現した。
「ハラハラさせないでよ」
「悪いの」
「だが、蜘蛛の巣後光は攻略できまい!」
「腰を抜かすなよ。鬼神家の本領、見せてやろう!」
「久々に朧が本気を出します!」
「閃光!」
火苦エリアが光に包まれた。
閃光は光属性魔法のため、鬼神家の得意属性である。
ゆえに対になっている闇属性を得意とする夜真砥より威力がある。
「目くらましのつもりか!」
(そう思っておけ)
「消えてるだと!…蜃気楼とやらか」
(消えただけでは蜘蛛の巣後光の攻略にはならん。何を企んでおる)
「捉えたぞ!」
突然、朧は火苦の目の前に現れた。
「バカな!?なぜこんな短時間で破れる!」
「剣技神速斬り!」
朧は高速で火苦の足を斬り傷を付けた。
火苦は驚いて急いで後ろ向きに下がる。
「儂がただ、逃げていただけだと思っておったのか?」
「あなたのユニークスキルはもう朧には通用しませんよ!」
「朧のユニークスキル、智の無限図書館の前では」
「それ儂のセリフじゃぞ!閃!雫!」
「口が滑りました」
「口が滑った」
智の無限図書館、今まで自分の身の回りで起きたこと全てを記憶しているつまり、このユニークスキルを持っている者は『何かを忘れる』という概念が存在しないのだ。
なので朧は魔法の詠唱を全て覚えているのだ。
ちなみに完全に記憶することができるが記憶するたびに記憶を入れ替えなければならない智の本棚というのがある。
朧は火苦の豪炎球が通ってきた経路を記憶してそこを通ったのである。
「要するに貴様には蜘蛛の巣後光は通用しないのか」
「その通りじゃ!」
「ならこれはどうだ!死毒!」
「汚いぞお主!口からドロドロしたもん出すな!」
「触れたらほぼ即死だ。せいぜい、がんばるこったな」
「大丈夫、凍らせればいい」
「遠距離攻撃は効かんぞ青いの!」
「閃、準備できた?」
「もう、配置しましたわ!避雷針起動!…こんな糸、焼き切ればいいのです!」
蜘蛛の巣後光の端そして閃の周りに棒が出現した。
避雷針、一定量の雷属性魔力を吸収する魔法である。
吸収した魔力は自分のものにもできる。
無論、それを跳ね返すことも、その点では普通の避雷針とは違う。
「だから、遠距離は効かんとさっきから」
「誘導系ならどうですか?放電!」
閃は体から雷属性魔力を放出した。
すると糸を伝って端の避雷針に吸収され跳ね返され、閃の周りの避雷針がそれを吸収それを何度か繰り返して遂に蜘蛛の巣後光が焼かれた。
「何だと!?」
「雫!」
「朧、伏せて!凍刃!」
朧が上半身を前に倒した数秒後、朧の頭上を氷の刃が通った。
これは氷属性の衝撃波を飛ばし対象を斬り、凍らせる魔法である。
死毒は凍らされた。
更に、竜の姿をした波が押し寄せてきて凍った死毒を火苦にぶつけた登龍門である。
「登龍門まで撃ってくるとか聞いとらんぞ!」
間一髪、朧は飛び上がってギリギリ交わした。
「流れでわかる」
「わかるか!」
「ダメージになっていませんよ!」
火苦は蜘蛛の巣を展開してなんとか防いだ。
しかし壁際まで追い込まれてしまった。
(やはり三対一はキツいな)
雫はいち早く、竜の姿をした波を撃つ。
だが、少しだけ遅い。
「また、登龍門とやらか!水属性の対策ならしておるわ!蜘蛛の巣!」
水属性魔法の欠点とは何らかの影響で水が分散されたら威力が弱まることである。
なお、一部の水属性魔法はこの様なことは効かない。
蜘蛛の巣はその名の通り、蜘蛛の巣の形をしているため水を分散させるためには有効な手段である。
「残念だけど漢字が一文字違う。これは」
(波が凍り始めた!?)
「凍龍門、敵を凍らす竜の波」
火苦は体を凍らされて身動きが取れなくなった。
「凍りついて動かぬ!」
そして閃がたたみかける!
「雷音寺流拳技雷星拳!」
稲妻の如く、星のように煌めく雷星拳をぶち込んだ。
それにより氷は砕け散り火苦に電流が走る。
「ぐあぁぁぁ!!」
「朧、トドメを!」
「わかっておる!」
朧は柄に手をかけた。
すると、朧の魔力が刀に集まり地面が揺れ始めてきた。
洞窟の天井が崩れ落ちるが岩は落ちる前に砕け散るそれも朧の周辺の岩だけが気がつけば閃と雫は端にいる。
この様子からこの攻撃はかなりの範囲を巻き込む。
(逃げたいが体が痺れて…このままでは)
「鬼神流剣技奥義」
そして辺りは一瞬にして静まり返って先ほどの揺れも収まり洞窟内は静寂に満ちた。
だが空気だけがおかしい、なぜなら渦を巻いて鞘からゆっくりと静かに出てくる刀に吸い寄せられているからだ。
刀は完全に抜かれて渦は収まった。
だが、再び揺れ始めた。
地面ではない空間そのものが朧が斬ったのは空気ではない次元である。
「天地開闢」
次元はほんの一瞬だけ引き裂かれた。
防御無視の攻撃により。
(次元を斬りやがった!?)
朧が天地開闢を放ったのと同時に氷の壁が溶け始めてきたあちらの決着もついたのであった。
次回は朧が天地開闢を放つ前の死悩エリアの様子のお話です!
つまり、最弱の弟子ティナVS最強の氷属性の竜グレイシアドラゴンです!
さてと、ティナを覚醒させますか(`・ω・´)
それではまた次回の話で!(^_^)ノ




