表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第三章 日の本の国で波乱万丈大冒険!
51/186

四十二話 荒ぶる獣

今回の話は誰かが覚醒します!

ヒントはとっくに話に出ています!

てなわけで黄泉神幹部二名ご登場!

 心が仲間になる五分前、山岳組は岩場に居た、黄泉神幹部に遭遇した。

 山岳組は連華、言葉、葉月、月夜の計、四名である。


 「おっちゃん一人か?」


 岩場で茶総が煙草を吸っていた。


 「貴様ら下に居た黄泉戦はどうした」


 「あんな雑魚、蹴散らしてきたわ」


 「嬢ちゃんが天月夜剣か?」


 「だったら何?」


 「いや…伝説級の精霊と会えて光栄に思ってな」


 「だったらお返しに腹、切れ」


 「誰がするかそんなもん!」


 茶総が煙草を吸い終わった時、言葉と葉月が違和感を感じた。


 「ねえ…あんな山、さっきまであったっけ」


 「無かった気がしはる~」


 「二人とも脳天気だな!山なんて…マジか動いてね!?」


 連華の言うとおり山は動いている。


 「儂が一人だと!答えは否!天山、奴らを潰せ!」


 山のように見えたのは黄泉神幹部、大壁天山であった。

 身長五百メートル越えである!

 

 「言われなくてもやるわ!」


 「世話かけないでよ!結界!」


 月夜が結界で天山の拳を止めた。


 「あのデカ物は脳天気二人組、怪力女と私で煙草爺を倒す!」


 「了解!それとデカ物の拳を結界で受け止めたあんたに怪力女って呼ばれたくないんだけど」


 「葉月やるで!」


 「もちろん!」


 茶総を月夜と連華が天山を言葉、葉月が相手することになった。


 「天津風流魔術天風波(てんふうは)!」


 天風波(てんふうは)とは天から風の塊を落とす魔術である。


 「ありゃ?」


 なお、ダイダラボッチにはそんなの全く効きません!


 「かゆいな!」


 「声デカいな!」


 「言葉も十分うっさいげどな~」


 「葉月、何かしてよ!」


 「わかった…樹縛(じゅばく)


 周りの木が天山の腕と足を縛った。


 「さすが葉月!」


 「どんなもんや!」


 そして連華と月夜は、


 「やるな精霊よ!」


 「爺のわりに動くわね!」

 

 茶総と月夜が刀をぶつけ合っていた。


 「月夜、離れろ!」


 (何じゃ!)


 「岩戸流拳技山砕(やまくだき)!」


 連華が強力なパンチをくらわせた。

 なお、山は砕けない。

 せいぜい岩ぐらいまでだ。


 「何と俊敏な動き!」


 「おっちゃんこそ何だよ。その受け流しの仕方、攻撃が全て地面にいっちゃったじゃねえか」


 「よそ見しないでくれる!」


 隙をついて月夜が斬る!


 「しとらんわ!」


 だが、刀でガードした。

 しかし!


 「もう一発、持ってけー!」


 連華がまた、山砕(やまくだき)をぶつける。

 今度は当たった。


 「年寄りはいたわれ」


 「化け物年寄りの相手はイヤだね!」


 「だが…ちーと油断しすぎたな」


 「茶総、準備できたのか!」


 「おう…虐殺の始まりじゃ」

 

 (何言ってんだこの二人、確かにダイダラボッチがいたら分が悪いが…何だこれ!)


 「皆、足下見て!」


 「足下に何かあるの!…何これ!」


 いつの間にか岩場に煙が充満していた。


 「煙の領域(スモークフィールド)、単なる煙での目くらましじゃよ」


 そしてさらに地面が揺れ始めた。


 「天然大迷宮(ナチュラル•メイズ)、その名の通り魔力で作り出した天然の大迷宮だ」


 天山は地面や岩を操って迷宮を作り出した。


 「岩場に居たのも作戦の内ってことか!てか、天然じゃないやろ!人工物やんか!」


 「「合技迷霧の大迷宮めいむのだいめいきゅう」」


 茶総の出した煙が大迷宮に充満していった。

 この二人は仲が悪いが合わせ技はとんでもなく厄介なものである。


 「人の話聞けや!」


 「これってピンチじゃない!」


 「ピンチやな~」


 「脳天気コンビ、頭かち割りますよ!」


 迷宮によりそれぞれ分断された。


 「葉月どこー!」


 「うちはここにおるで!」


 「茶総、どいつからやる?」


 「あのほのぼのしている小娘からじゃ」


 「了解した」


 天山がそこら辺の岩を掴んで葉月に投げた。


 「葉月だ!」


 「良かった。そない遠くに行ってなくて」


 その攻撃にいち早く言葉が気づいた。


 「葉月、危ない!」


 言葉は葉月をかばって投石を食らい迷宮の壁を壊しながら崖の下に落ちていった。


 「言葉…」

  

 「愚かな事をしたな…天山、奴もやれ」


 「妖怪使いが荒い爺だ」


 天山は再び岩を掴んで葉月に投げた。

 だが、

 

 「あの小娘、岩を斬りやがった!」


 「テメェらあああぁぁぁぁぁ!!」

 

 血相を変えて幹部達に吠えた。

 まさにその姿は獣…怒り狂った獣そのものである。


 「ぶっ殺す!」


 「あららとうとうキレたわね」


 一方、夜真砥と心はというと、


 「黄泉戦、多すぎだろおぉぉ!!」


 黄泉戦を蹴散らしていた。


 「心様、これはどういうことですか!」


 「私、幹部辞めたから」


 「何ですと!」


 「だから死んで」


 それにしてもあいつらこんなにも残してくれるとは、心が居なかったらやばかったな。


 「それはどうも」


 へいへい。


 「ダイダラボッチ!?」


 「黄泉神幹部、大壁天山よ!」


 巨人かよ!

 何ちゅうデタラメなデカさしてんだ!

 これが魔族だから驚くぜ。


 「ねぇ、何か落ちてきてない」


 「どこ?」


 「あの崖」

  

 心が指差した先の崖から緑色の髪をした少女が傷を負って崖から落ちてきていた。


 「言葉!」

 

 「あれが次期四天王、天津風言葉!?」


 「そうだよ!」


 あのままじゃ転落死するぞ!


 「させるか!」

 

 言葉を救出しに行こうとした夜真砥の前に黄泉戦が立ちふさがった。


 「退けよ」

 

 (何という気迫、この者本当に人間か!?)


 「退かないのなら斬る、剣技!」


 夜真砥は何もしないで黄泉戦の陣を抜けた。


 「は?」


 「自分の死すら自覚してないのか…剣技玉響の生(たまゆらのせい)


 黄泉戦は血を吹き出して倒れた。


 「馬鹿な…速すぎる」


 「命ってのはそんなもんだろ」


 崖の距離、約五十メートル…いけるか…振り絞れ風属性の魔力を!


 「天津風流魔術改良型ジェット気流!」


 夜真砥は崖に向かって飛んだ。


 「言葉、俺の手を掴め!」


 「夜真砥…」


 何とか掴んだ!

 そしてもう一度!


 「天津風流魔術改良型ジェット気流!」


 夜真砥は崖にジェット気流を放って元居た場所に戻った。


 「何やってるんでしょうか?」


 「しくじった…」  


 「覚悟!」


 「話の途中だ!」


 黄泉戦はあっさり首を跳ねられた。


 「で、何があった?」


 「葉月をかばって…夜真砥、葉月が!葉月が!」


 「だいたい予想はついている。キレたんだろ」


 自分の失態で言葉を傷つけてしまったらキレるわな。


 「うんうん!あんなの見たことない!」


 「月影、あらかた片づけたぞ!」


 「最高幹部!?」


 「いろいろあって仲間になった!」


 全員、こんな反応するだろうな。

 親父だけは理解してくれると良いが。


 「うああぁぁぁぁ!!」


 崖の上から獣のような咆哮が聞こえてきた。


 「やっぱし俺の勘違いだったか!」


 「勘違いってなに?」


 「葉月はなしょっちゅう暴走してんだよ!それを感情を作り出すユニークスキルのせいだと思っていたが違った!」


 あれは完全にあのユニークスキルと同じ現象だ。 

 使い方次第では国を破壊することができる超攻撃性のユニークスキル。

 

 「暴獣(ぼうじゅう)、それが葉月のユニークスキル!」


 「どうしますか月影」

 

 「止めるに決まってんだろ!闇炎馬に乗れ!」 


 全員が闇炎馬に乗ったことを確認して闇炎馬を出した。


 「ここが正念場だ!踏ん張れよクロスケ!」


 闇炎馬は崖を疾走する。


 「見えた!」


 そして夜真砥は闇炎馬から降りて崖を走り出した。


 「マジでこの人、崖を走り出した!」


 夜真砥は闇炎馬よりも速く岩場に到着した。

 

 「月影夜真砥!まさかこの断崖絶壁の崖を登ってきたのか!?」    

 「走ってきたに決まってんだろ!」  

 

 さてと葉月は…居た!

 確定だな暴獣(ぼうじゅう)の特徴である禍々しい魔力があふれている。


 「おい、葉月さっさと目を覚ませ!」


 「あああぁぁぁぁ!!」


 …目を覚まさないな…ああ、めんどくさい!


 「目を覚ませって言ってんだろこのバカ!」


 夜真砥は葉月に頭突きした。


 「仲間じゃないの!あの小娘、デカいたんこぶできたよ!」


 「おい、聞こえてんだろ!言葉は無事だ!さっさと戻ってこい!」


 暴獣(ぼうじゅう)、一国を壊滅させることができる超攻撃的なユニークスキル。

 振るった拳は軍隊を蹴散らし怒りの咆哮は人に恐怖を植え付ける。

 ただの攻撃力強化のスキルではない自分の心の中に暴れる獣を飼う特殊系のユニークスキル、その獣を飼い慣らしさえすればその攻撃力は自分のものにすることができる。

 しかし、デメリットは大きい、その獣を飼い慣らすことができなければその獣に飲み込まれて本人の感情は死にただの獣になる。

 死んだ感情はもう戻ってこない。

 この状態になった者の心は深き闇の底に沈みかけている。

 例としてこのユニークスキルを発動し、感情を飲み込まれた者はタルタロスに放り込まれた。

 葉月、本人の感情が死ぬのも時間の問題だ。


 (ここってとこだろ…とっても落ち着く)

  

 「葉月、さっさと目を覚ませ!」


 (誰だろうとても懐かしい声が聞こえる。もううるさいな。眠らしてよ)


 (そうそう、楽になりなよ)


 葉月は闇の底で黒い影に出会った。

 獣である。


 (君は誰?)


 (もう一人のあなた)


 (そうなんだ)


 (楽になったら?気分がスカッとするよ。『私』の人生、『私』が引き継いであげるから)


 「葉月、目を覚めせ!自分に負けていたら一生何者にも勝てることはできないぞ!」

 

 夜真砥の叫びが葉月に届いたのか、一面、暗闇だった空間に光が戻ってきた。


 (ダメだよ…)


 (ん?)

  

 (だって私はまだ夜真砥に好きだって告白しないもん!)


 (じゃあどうするの?)


 (あんたを倒して夜真砥の懐に飛び込む!)


 (そうこなくっちゃ、自分のものにしなさいよ。『私』の力、『私』にあげる)


 (あなたは?)


 (お邪魔虫は退散します!バイバーイ!)


 黒い影は一面に光が広がると同時に消えていった。

 

 「目を覚めせ!」 


 「さっきからギャアギャアうるさいわ!」

 

 葉月は目を覚まし夜真砥に頭突きした。


 「痛ってええええ!!あんたどんな石頭してんのよ!」


 「葉月!」


 「悪いけど元の性格でいくから」


 葉月の元の性格それはおっとり系ではなくやんちゃ系なのである。


 「おう、そっちの方が合ってるぞ!」


 葉月は少し、頬を赤く染めた。

 

 「でさ、あのデカ物倒すの手伝ってくれない?」


 「結構苦労するぜ」

 

 「それは燃える」

  

 「ちょうど良い!月影夜真砥、貴様も潰れろ!」


 天山は二人を踏み潰そうとした。 

 しかし!

 

 「天山!?」


 天山は背中を地面に打ちつけられた。

 

 「うちらのコンビネーションなめんなよ!」


 「あまく見すぎたな!」


 「「風属性魔法嵐竜の咆哮(らんりゅうのほうこう)!」」

 

 「風属性魔法使えたんだな」


 「木属性魔法使えるんだから当たり前だろ!」


 そりゃあそうだ。


 「何か吹っ切れて良かったね葉月」


 岩場に戻ってきた言葉は笑った。

 

 

 

 

葉月、心が吹っ切れてついに覚醒!

次回は夜真砥と共に黄泉神幹部大壁天山を倒す!

巨人とほぼ同じ大きさのダイダラボッチをどう倒すのか!

ちなみに葉月はもう京都弁は使用しません!

それではまた次回の話で!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ