四十一話 妖怪も亦、心を持つもの
最高幹部と決着をつけます!
意外な終わり方をします!
まあ、タイトルをよく見たらわかりますけどね。
いつだろうか、こんな想いを抱くようになったのはやはりあの戦火からだろうか…答えはわかっているだけど言ってはいけない…なぜなら私は人形だから。
「読めない読めない!」
無意識というのはこれほどまですごいものだとは思ってもいなかった。
普通の戦いとは違い考えずとも体が動く次に何をすればいいのかわかり無意識に剣を振るい魔法を放つ…でもこれは操り人形のようだそして、
つまんねー!
確かにすごいけど戦ってる気になれん!
さっさと解きたいがどう解けばいいんだぁぁぁぁ!!
「何を考えてるのあの顔」
困ってんだよ、てか心読み取れよ!
俺、今ガンガン考え事してるぞ!
「読めた!」
「解けた!」
トランスは時間制限のあるスキルであった。
「二度と使わんぞこんなスキル!」
「はっ!」
アブねぇ!
今かすった!
「埒が明かない!こうなったら」
何か地面が揺れてないか?
「剣技断山!」
心は地面を斬り地割れを作って夜真砥を落とした。
「ちょっと待てー!」
地面斬りやがったよ!
ここ一帯とでもないことになってるぞ!
「終わったか」
そのまま夜真砥は奈落の底に落ちると思いきや、
「あまいわ!」
壁を駆け上り戻ってきた。
「戻ってきたか!」
「壁ぐらい走れるわ!」
リリムの修行で壁登りがあって良かった。
『垂直の壁を登れ!』て言われた時は『何言ってんのあの婆』と思ってたができるもんなんだな。
「たぶんそれあなただけですよ」
そりゃあそうかい。
「喋ろ!」
めんどくさい。
「こっちもめんどくさいわ!」
「一つ聞きたいことがある。お前、今どんな気持ちだ?」
「あんたを殺すつもり」
「俺にはそうは見えねぇ…マフィアとかたまに潰してよく命狙われたけどよ、お前みたいに無表情かつ怯えた表情で斬りかかってくる奴なんか見たことない」
夜真砥は武器をしまいその場にあぐらをかいた。
「殺すのが怖いのか?」
「怖くなどない!」
「じゃあやれよ。首、落とせ」
夜真砥は自分の首を親指で指した。
「やってやるわよ」
心は刀を両手で握り締めて夜真砥の後ろに立った。
震えてる。
そんなんじゃミスって痛くなるんだが。
「震えてなどいない!」
「そりゃあそうかい」
「最後に言い残したことはあるか」
「なぜ、俺の首を落とすだけで泣いている」
心の目から地面に水が落ちた。
「止まれ…止まれー!」
「本当のことを話せ…何がしたいんだ。覚といっても自分の気持ちはわからないんだな」
焦土となった大森林は静まり返った。
そして心は口を開いた。
「殺したくない…でも理由は言えない言ったらあなたと私が殺される」
心は泣きながらそう言った。
「言えよ。スカッとするぞ」
「でも」
「悪いけど俺は後何百年も生きる気でいるのでな。そう簡単にはくたばらないぜ」
俺の言葉に安心したのか心は喋り出した。
「五年前、あなたが帰国した時に最高幹部を四名、同時に倒したことがありましたよね」
そんなことあったな。
「ああ」
「その幹部は私のご主人様達だったのです」
「奴隷だったのか?」
「はい…生まれながらの。私は生まれてすぐに両親に捨てられてあなたが倒した最高幹部に拾われました。しかしそれは奴隷としてです…毎日が地獄でした怒られけなされました」
妖怪の世界にもそんなんがあるんだな。
「ある日私は自分が妖怪覚だと気づきました。心を読んで何とかやり過ごしたりしてきました。けどそれもご主人様達にバレてよりいっそう奴隷としての価値は上がりました」
「何でだ?」
「考えてみてください。誰かの心が読めたらゴマすりほうだいですよ」
「俺だったら平和の方向に使うがな」
「ほんとあなたが私のご主人様だったらなって思いますよ。そして五年前、あなたはご主人様達を殺しました」
「じゃあ奴隷の身分も」
「いえ、黄泉神に拾われて仮の最高幹部として奴隷として政治の中枢に入れられました。そこでは私の能力を使って逃亡者の洗い出しをさせられました。無論、彼らは打ち首です」
「ひでぇことするな」
「こんな所、逃げ出してやる!と考えてましたでもある日、監視されていることに気づいたんです。私が裏切らないように」
「監視って誰に?」
「黄泉神専属の忍者、天狗忍者隊です」
天狗忍者隊、黄泉神専属の忍者、名前の通り天狗のみで構成された忍者隊。
戦闘能力も高く日の本でも要注意している部隊である。
「そして昨日、こんな命令を出されました。『解放してやる。だが日の本の国第二王子月影夜真砥の首を持ってきたらな』って」
「じゃあ落とせよ」
「そんなの無理ですよ…だってあなたは私の人生の恩人ですよ。あいつらが生きていたら私は死んでいました」
「で、何がしたいんだ?」
心は黙った。
歯を食いしばりながら。
イライラするむ無茶苦茶イライラする!
「言えよ!何がしたいんだお前は!このまま惨めに死にたいのか!」
「…自由になりたい!誰にも縛られず自由に歩きたい!」
やっと言ってくれたか…後始末をしますか。
「だそうだ!貴様ら!コソコソ隠れてないで出てこいや!」
ここは焦土となった大森林、隠れるところもないだが、何もなかった場所から十二人もの天狗がでてきた。
「我々の術を見破るとはあっぱれなり」
「最初っからバレバレだクソ野郎ども!」
「悟道の首、もらい受ける!」
天狗達は刀を取り出した。
「言ったでしょ殺されるって」
「言ったはすだ後何百年も生きるってな。こいつの首は渡さん!黄泉神最高幹部、悟道心!」
「何でしょうか」
「お前を日の本に迎えよう。歓迎する」
「お荷物になりますよ」
「一度した約束は守るものそれが侍だ。来いよ日の本の空は広いぞ!」
夜真砥は立ち上がり心に手を差し伸べた。
「…はい…お願いします」
心は震えながら言った。
「貴様ら退くのなら今のうちだぜ!」
「刀をしまった無防備な貴様に何ができる!やれ!」
天狗達は夜真砥と心を斬った。
だが、斬ったのは残像だった。
「刀がなかったら無防備?いつの時代の話だ。殺気さえあれば貴様らなど殺せるわ」
夜真砥は心を抱えて天狗達の後ろに回っていた。
そして天狗達の周りに無数の刀が出現した。
「気剣!?馬鹿な気剣は一本しか出せんぞ!」
「それは発動者の気の量による殺気も気だ。一様、実像にはしていない。言ったはずだ退くなら今だ」
天狗達は顔を見合わせてうなずいた。
「月影、来るぞ!」
ナイスサポート!
「再び登場、激炎破天刀、氷華水月装備。来いよ雑魚ども」
「かかれ!」
天狗達は夜真砥に襲いかかった。
しかし、夜真砥は全ての攻撃を避けきり当時に攻撃や心も護ってる。
心はこの時、直感した彼は手加減をしていたいや、本気など元から出していなかったと。
まるで小さき獲物を狩る黒き獣のように傷を負いながらも己の爪を振るい子兎を守るために咆哮を上げて血に染まりながらも怒り子兎を傷つけた者を狩るただそれだけ。
黒き獣のように剣を振るうこれが月影流剣術黒獣の形、文献にはこう記されている『手負いの獣のように守りたい者を全力で守り抜け!』と。
「天狗忍者隊がたった一人に…負けてたまるか!」
「悪あがきしてるとこ悪いが俺いろいろとやることあるから…もう、終わらせる」
天狗達に悪寒が走った。
そして感じたこの男に確実に殺される今すぐ逃げろと。
「罪を重ねし者共よ今、報いの時は来た!」
「逃げるぞ!」
天狗達は夜真砥が詠唱を始めると逃げた。
だがもう遅い天狗達の足元に闇属性の魔法陣が展開された。
「汝、罪を償いながらこの世を彷徨よう亡者の列に加わるがいい!|約束された死《フェアシュプレッフェン•トート》、無の世界で反省会でも開いとけ」
そして天狗達は魔法陣から伸びた黒い手に掴まれて闇の中に引きずり込まれていった。
「天狗忍者隊を一瞬で」
「まあ、安心しろや日の本には俺みたいな化け物がわんさかいるから。最高幹部となると国籍取るのに時間がかかるな…王子特権使うか?」
「疑いはしないんですか」
「何の?」
「私がスパイじゃないかって!」
夜真砥は無言で近づいて心に拳骨を落とした。
「アホか。その目を見れば信じるさ。裏切った時は全力で叩きのめす!」
「本当に変わった人ですね」
「ああ、俺は変わってる。自分でも驚くほどな。さて、あいつらの所に行くか」
「その傷ではむちゃ無茶です!」
「無茶は百も承知、行くしかねぇんだよ」
夜真砥は闇炎馬を出してまたがった。
「それなら私も行きます!」
「好きにしろ。連れ戻されても知らんぞ」
「自分の身ぐらい自分で守れますよ」
心は夜真砥の後ろに乗った。
「掴まっとれよ!」
夜真砥は闇炎馬を全速力で走らせた。
(言えなかったけどもう一つ躊躇した理由があるそれはあなたにあの日、恋をしたから)
夜真砥は心にとって白馬の王子様ならぬ黒馬の王子様だったのだ。
てなわけで黄泉神最高幹部悟道心が仲間になりました!
タイトルの答え合わせです!
亦+心=恋でした!
それではまた次回の話で!