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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第三章 日の本の国で波乱万丈大冒険!
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三十八話 溜まり物と再戦

今回の話は少しヤバ~い雰囲気から始まり黄泉神残りの幹部全員が出てきます!

そして葉月の秘密が明らかになります!

伏線回収で~す。

 今、結構ヤバい現場に居合わせています。

 というか壁に隠れています。

 夜に夜真砥が葉月さんにこっそり呼ばれて気になったので隠れてついていったら近くの闘技場でいろいろと破廉恥な雰囲気を漂わせています。

 

 「あんまし激しくするなよ」


 「そないなるとうち、激しくなってしまうからな~」


 「溜まったもんは全部出せよ」


 「スッキリしはるまで出すで~」


 「デカい声出すなよ。バレルとお前の立場がヤバくなるからな」


 「出さへん出さへん。夜真砥にもやくたいかかるし~」


 「じゃあやるぞ」


 「おん」


 あわわ!

 溜まったもんって何なの!

 二人とも何しようとしてるの!

 何でこうなったんだろう。


 私は混乱しながら今日の出来事を振り返っていた。

 

 「早く握れ」


 「疲れましたよ~」 


 「強くなりたいのか強くなりたくないのかどっちだ!」


 「強くなりたいです」


 「じゃあさっさと拾え」


 …何かスパルタ訓練しかされてない!

 てか、今日葉月さんに会ってないんだからこの回想関係なくない!

 二人って付き合ってるの!?


 しばらくして葉月さんが汗だくで出てきた。

 よし、夜真砥に聞いてやる!


 「や、夜真砥!」


 「やっぱりお前か何の用だ?」

 

 バレてたー!


 「ここで何をしてたんですか!」


 「何って」


 「激しくするなよとか溜まったもんとかデカい声出すなよって何しようとしてたんですか!」


 おい、今説明しようとしてたんだが。


 「これ見ろ」


 夜真砥は地面を指した。


 「斬撃の後?」


 「そうだ。俺は葉月のストレス解消に付き合ってたんだ」


 「だからってあんな破廉恥なことを」


 破廉恥なこと?

 何と勘違いしてんだ?


 「ここでバトってただけだが?」


 「戦闘してただけなんですか?」


 「最初っからそう言ってるだろ。何と勘違いしたんだ?」


 「いえ、何でもないです。ところでなぜ夜真砥が相手なんですか?葉月さん負けるのでは?」


 「いや、あいつの相手をできるのは俺ぐらいしかいないな。解離性同一性障害って知ってるか?」


 「ん?」 


 知らないって顔してるな。


 「じゃあ、多重人格ならわかるよな」


 「はい、他の人格が二つ以上あるあの」


 それとこの件がどう関係あるのだろう。


 「葉月は幼い頃から店の手伝いをしていてストレスが溜まりたまに破壊衝動が起きていた。そこで葉月は自ら別の人格を作りそこにその衝動を抑え込んだ」

 

 破壊衝動!

 て、そんなことより!


 「自ら別の人格を作ったんですか!」


 「ああ、自分の人格を穏やかな葉月、荒ぶる葉月に分けて荒ぶる葉月を感情の奥底に押し込めた。だがそれはストレスが溜まるほど上昇してきて葉月を乗っ取り何かを破壊して気が済むまで暴れまわった」


 「それ大丈夫なんですか!」


 「大丈夫だ。こっそり夜中に大木を破壊するその程度だった」


 大木をこっそり破壊する…


 「だがそれでも収まらなくなった。なので葉月はおっとりとした喋り方をしてストレスを和らげようとした」 


 「夜真砥は最初っからそれを知ってたんですか?」

 

 「いや、知らなかった。十一歳の時に帰国してリリムの訓練のストレスを解消しようと大木を破壊しにいこうとしたら、そこに荒ぶる葉月が居たのさ」


 リリムさんの訓練のストレス解消のため大木を破壊するとは。


 「で、襲いかかってきて誰かと戦った方がストレス解消になるとわかり一年ごとに俺と戦う約束をしたってわけ。ちょくちょく国外に呼び出してきたがな」


 「要するに荒ぶる葉月さんを抑え込むため夜真砥は葉月さんと戦ってるってことですか?」


 「ま、そういうことだな」


 ふーん、ストレスが溜まりすぎて人外を創り出してしまいそれを抑え込もうとしただが、抑えきれなくなりその時に夜真砥と出会い抑えれるようになった。

 夜真砥は葉月さんにとっても大切な存在なんだ。


 「と言ってもあれを二重人格と呼んでいいのかな」


 「ん?」


 「あの脳天気は戦ってる間も意識があるの。どちらかというと怒ってる感じね」


 月夜さんだ。

 少し汚れている。


 「葉月であって葉月ではない、葉月であって葉月でもある。そんな感じか?」


 「えっと…どういうこと?」


 「考え方は卵と卵焼きとスクランブルエッグだな。卵焼きもスクランブルエッグも卵がないとできない。バラバラにするかそのままにするかのどちらかだ」


 「つまり、卵は葉月、卵焼きは穏やかな葉月、スクランブルエッグは荒ぶる葉月ってとこね」

 

 「土台は葉月だが全くの別人、だがそれは葉月でもある。その土台にどの感情を置くかってとこで変わってくる」


 「普段の意思は常にある」

 

 「個の感情に入れ変わるだけ」


 ここまで葉月のこと考えたの初めてだな。


 「一層のこと一つの感情になればいいのに」


 「それができたら苦労はしねぇよ…ユニークスキル|人生の俳優《アクター•オブ•ライフ》」


 「何ですかそれ」


 「調べ物してたときに出てきたユニークスキルさ」


 「感情を自由自在に創り出すことができるいわば、人生の役者ってとこ」


 このスキルは国際ギルド本部の図書館で調べ物をしてたときにたまたま見つけたスキルだ。


 「それが余りにも葉月の症状と似てたもんでな」

 

 「悪いことあるのですか?」


 「無い…調べようにも保持者は自殺してるからな」


 ほぇ~!


 「どうするつもりですか」


 「様子見だ」


 「話は変わりますが夜真砥って何で最強なのに旅を続けて強くなろうとしてるのですか?」


 本当に今のと関係のない話だな!


 「全ての種族が笑いあって助け合いながら生きるそんな世界を目指している」


 「素敵な夢ですね」

 

 「夢じゃない未来だ」


 「未来?」


 「夢はあやふやな物だ。実体のない蜃気楼のような物でいくらでも変えることができる。だから叶わない」


 何か年長者が言いそうなこと喋ってきた!

 そういえば夜真砥って四十代だったっけ。

 実年齢は。


 「だがそれを未来と言ってしまえばそれが決意の楔となり揺るがない物に変えてくれる。夢を持つことは簡単だがそれを未来にすることはとても困難である」


 「誰の言葉ですか?」

 

 「月影家二代目当主、夜暁が言った言葉よ」


 つまり、夜真砥だ!


 「困難な未来でも1パーセントの勝機があるのなら俺は惨めに抗ってみせる。そして叫ぶんだ。どうだ神様、お前ができなかったことを俺はやってやったぜ!ってな」


 「その未来、私に見せてください!」


 「…特等席で見せてやるよ。俺の隣でな!」


 「はい!」


 一方、それをじっと見ていた月夜は、


 「…爺臭いわ!」


 「何だよ!」


 「少しは二十代ぽい振る舞いしなさい!」


 「へいへい」


 前から想ってたんだが月夜って前世での母上みたいだな。


 その頃、日の本の国から少し遠くの地、黄泉の国では、


 「黄泉神様、入ります」


 本拠地で 黄泉神が幹部を召集して軍議が開かれていた。

 残った幹部は最高幹部三名、幹部四名である。

 魑魅魍魎が和室に座っている。

 

 「この戦で最高幹部、兼綱、幹部、悪賂刺、六助、楽吉、稲荷の計五名が戦死しました」


 「数の問題ではないよ。なぜ月影の人間を殺せなかった」


 「彼らが弱すぎただけです」


 彼女は最高幹部の悟道心(ごどううら)妖怪、(さとり)である。

 

 「心の言うとおりだ!儂なら頭から噛み砕いてやったわ!」

 

 蜘蛛の体をして牛の顔をした彼は牛王火苦(うしおうかく)、妖怪、牛鬼(うしおに)である。

 強そうに見えるが普通の幹部である。


 「しかし、なぜ半端者の稲荷を戦場に出したんですか?」


 白装束を着た青白い女は幹部の雪崩死悩(なだれしのう)、妖怪、雪女(ゆきおんな)である。

 ちなみに春夏秋は一切、働かないぞ!

 なんせ溶けるからな!


 「気まぐれだ」


 「兼綱を失ったのは辛いのう」


 この老人は草煙茶総(そうえんちゃそう)、妖怪、ぬらりひょんである。

 無類の煙草とお茶好き。

 なお、煙草はドクターストップがかかってるぞ!


 「茶好きの爺が何言いやがる」


 「その巨体、バラバラにしてやろうか」


 そして一人だけ外に居るのは妖怪の中でかなり大きいダイダラボッチである。

 名前は大壁天山(おおかべてんざん)

 コンプレックスは余りにもの大きいゆえ、家がないことである! 

 「潰されるのが先だろ」


 「黙れ!」


 黄泉神の横にいた女が茶総と天山に殺気を飛ばした。

 

 「奈落の底に突き落とすぞ!」


 深奥奈落(しんおうならか)、妖怪の分類は日の本の国の鬼神家と同じく鬼である。

 最高幹部で二番目に強い。


 「彼が起きてしまうだろ!」


 「悪いがお前の声で起きた」 


 そして口をマスクで覆い隠し目を閉じてるのは最高幹部のトップ死屍谷累(ししたにるい)、分類は奈落と同じ鬼だがその力は鬼以上でありこう呼ばれるようになった災厄の運び屋(さいやくのはこびや)

 もはやこの男が異国の地に踏み入れてないだけ奇跡と言ってもいい。

 得意な魔法は死者蘇生系の魔法である。

 そう、悪賂刺を操っていたのはこの男である。


 「いや~ん!累の意地悪~」


 そして奈落は累のことが大好きであるが累は嫌ってる。


 「また、始まったぜ」


 「ほっておいたら、いつものことでしょ」

 

 「心、奴の心を覗けるか?」


 「吐き気がするから絶対にいや」


 「お前ら話を進めてもいいか?」


 「どうぞ。さっさと帰って寝たいんで」


 「それってどういこと累!」


 「黙れ阿婆擦れ女」


 (話ができん!)


 「殺されたくなかったら口を開くな!」


 場は静まった。

 今日も黄泉神は苦労しております。

 

 「再戦はもうすぐそこだ。おそらく奴らから攻めてくる。今度こそ月影一族の首を取れ!いいな!」


 黄泉神は幹部達に返事を求めたが返ってこなかった。

 

 「そういう意味じゃねぇー!」


 首をカックンカックン揺らしていた累の鼻提灯が弾けた。


 「…寝てた」


 そして日の本の国でも軍議が開かれていた。


 「今度は俺達から攻める!黄泉神を討ち取りこのくだらない戦を終わらせるぞ!」


 「おおおぉぉぉぉぉ!!」


 再戦への準備は進められてついに五日後、日の本合戦は再戦されたのであった。


 

 

一様、黄泉神幹部は恐ろしい名前にしております。

特に火苦とか死悩とか死屍谷とかは一番恐ろしく仕上がったと思います!

牛鬼は火を吐くから火で苦しむという意味で火苦、雪女は雪崩で死ぬから死悩、鬼の死屍谷は死屍累々という四字熟語から取りました。

ならかは奈落のサンスクリット語の音写です。

 それではまた次回の話で!

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