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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第三章 日の本の国で波乱万丈大冒険!
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過去語り 一匹の野良猫のシンデレラストーリー ①

今回は夜真砥の両親、鈴音と夜叉の出会いの物語です!

つまり、愛あふれる(?)恋物語となっております!

①ということはまだ続きます!


 私は親の名前すら知らないなぜなら私は捨て子だから。

 河原に捨てられていて産声を上げていた時に今、私が住んでいる寺の一番偉いハゲが私を見つけて寺に迎えたんだって。

 鈴を持っていたから名は鈴音と名付けられた近所からは『野良猫』と呼ばれている。

 私は男勝りでいつも喧嘩してそのたびに一番偉いハゲに特大の拳骨を落とされ叱られた『仏の道に進まなくてもよいが人には優しく接しなさい』と毎回決まり文句のように言われる。

 気がついたらこの辺のガキ共は私に適わなくなっていた。

 近所のクソみたいな大人共は私を恐れて近づきもせず一番偉いハゲに『あんなのさっさと船にでも乗せて異国にやりなさい!』と言ってるが一番偉いハゲは『いつかこの子にも幸せがくる。それまで私はこの子を育てる義務がある』と訳のわからない言い訳をして私を庇う正直、ありがた迷惑でもある。

 近くのゴミ捨て場を縄張りとして何人かの子分を引き連れて町で大暴れしている。

 そしてついに近所のクソみたいな大人共から『ドブ猫大将』と呼ばれるようになった。

 が、力ずくで黙らして止めさした私はドブには住んでいない。

 なお、いつも通りあとで一番偉いハゲに特大の拳骨を落とされ叱られたけど。

 これから話す物語はこんなどうしようもなく女っ気も無く泥にまみれた野良猫が一国の王子の嫁になるというお話だ。

 異国ではシンデレラストーリーと言うらしい。

 それでは開幕、都昆布でも食べながら聞いてくれ。








 「鈴音の親分、今日は隣町の組と河原でチャンバラ合戦です!」


 周りに居る子分は年下、または一つ上ぐらいのガキだけ。

 女は居ない。

 この頃の私は14歳だ。


 「ああ」


 毎日が退屈だそのイライラを晴らそうと私は常に暴れていたのかもしれない。


 「じゃあ行くとするか」


 私は子分を率いて河原に向かった。







 その頃、月影城では、


 「暇だ~」


 16歳になったばかりの夜叉が家を継ぐための勉強をしていた。


 「うっす!何かこの世の終わりみたいな顔してるな」


 紫電が窓から顔を出した。

 紫電は夜叉と同い年である。


 「紫電か、からかいに来たのならとっとと帰れ」


 「今日はからかいに来てない」


 「ならいつもはそうなのか…」


 夜叉は手に握っていた筆を握りしめ割った。


 「そう怒るなよ。野良猫が近くの河原に出るぞ」


 「あの野良猫がわざわざこんな遠くの河原に!?」


 「どうだ?」


 「行くに決まってるだろ!」


 夜叉はあらかじめ部屋の棚に隠しておいた下駄と木刀を持ち出して窓から飛び降りた。


 「どこだ?」


 「まあ付いて来い!」


 楽しみだな~!


 「夜叉様、どこに行くつもりですか?」


 げっ!むちゃくちゃ怖い女官の婆!


 「えっと…ちょっと厠に…」


 「厠は夜叉様の部屋の横にあります」


 「はい、すいません」


 「…気をつけてくださいね。その下駄のサイズが違います」


 「へっ?止めないのか?」


 「ええ、行ってきてください。白夜様に『友との遊びだけはじゃまするな』と言われてますから」


 父上、案外良いこと言うじゃないか!


 「紫電、案内しろ!」


 「こちらでございます。若様!」


 紫電と夜叉は元気よく屋根の上を走っていった。






 一方、その頃、河原では


 「来たぞ野良猫だ!」


 鈴音がチャンバラ合戦のため河原に現れていた。 


 「あんた達が今回の相手か!」


 「おうとも!大将はこの方だ!」


 「久しぶりだな野良猫!」


 久しぶり?

 …ああ、一カ月前辺りにボッコボッコにした奴だ。

 

 「で、勝ち目あんの?」


 「…やれ!」


 「はぁ~、あんた達、こんてんぱんにしてきなさい」


 両軍の大将が突撃の命令を出してチャンバラ合戦は開幕した。


 「始まった始まった!」


 ちょうどその頃、夜叉と紫電が河原に到着した。

 様子を見るために橋の上から見ている。


 「どっち勝つと思う?」


 「当然、野良猫軍だろ」


 それにしてもあの剣さばきすげぇな!

 今、四人まとめて吹き飛ばしやがった!

 

 「初めて見たけどすげー!」


 「だろ!」


 「お前一人だけ抜け駆けして見てきたな」


 「風竜も連れて行った!」


 後で二人まとめてシバく!


 「やっべえ!もう、終わった!」


 鈴音はあっという間に敵軍を蹴散らして勝利を収めた。


 「だらしな」


 「野良猫強すぎだろ~」


 「私に勝なんて百年早いんだよ!この国で一番強いのはあたしだ!」


 あっ…そのセリフはちょっと…


 「何だとアマ!日の本最強はこの俺だ!」


 紫電のプライドを傷つける~!


 「どこの組だ!」


 こっちに気づきやがったぁぁぁ!!


 「俺の名は雷音寺紫電!次期雷音寺家当主なり!」


 言っちゃったよ自分の身分!


 「四天王はマズいですよ親分!」


 頼むから退いてくれ~。


 「降りてこい力の差ってヤツを教えてやるよ!」


 乗りやがったぁぁぁ!!

 どうなっても知らんぞ!


 「両者木刀を構えて」


 紫電は河原に降りて野良猫と睨み合った。


 「後悔するなよ野良猫」


 「小便たれるなよ」


 やる気満々だな。


 「それでは始め!」


 先に動いたのは紫電だった。


 「雷音寺流剣技雷閃(らいせん)!」


 雷閃(らいせん)とは体に雷をまとって素早さを上げて相手を斬りつける剣術である。

 要するに電流により神経をより活性化させる技である。

 雷音寺家の技の土台のような技でもある。


 「もらった!」


 野良猫はいたって平然としていた木刀を横にして盾のように使って紫電の攻撃をガードして紫電の腕を握り木刀を落とさせた。


 「よわ」


 あっけな!

 

 「さすが親分!」


 「はりゃ?」


 だらしない声出すな。

  

 「で、あんたもやるの?」


 確実に俺のこと見てるな。

 

 「敵討ちという形で」


 俺はやもおえなく河原に降りて木刀を握った。

 

 「勝負だ野良猫」


 「あんた名前は?」


 「親分知らないんですか?」


 知らない?

 私はこいつに会ったことがあるのか?

 ……ないな。


 「知らん!」


 「王子の月影夜叉ですよ!」


 「正解、俺は日の本の国第一王子月影夜叉だ」


 このいかにもちんちくりんな奴が?


 「強いのあんた」


 「さぁな」


 はぶらかしてるな。


 「両者木刀を構えて…それでは始め!」


 まずは様子見だ。


 「動かないのならこっちから行くぞ!」


 鈴音は木刀を向けて前に跳んだ。


 跳躍か!


 「親分の攻撃をかわした!?」


 夜叉は右に跳んで交わす。


 ほう、浮いている最中に方向転換してその勢いで木刀を振るか。

 だが!


 「あまい!」


 夜叉は木刀を振るって鈴音の木刀を弾いた。

 

 「あんたやるね!もういっちょ!」


 鈴音は着地と同時に飛びかかる。


 「はっ!」


 夜叉は右足を引いてブレーキをかけて防御態勢を取り防いだ。


 「下駄でその動きかよ」


 草鞋(わらじ)よりよく動いてないか?


 「そろそろ決めさせてもらうぞ!月影流剣技(からす)!」


 夜叉は闇属性をまとった斬撃を飛ばした。


 「かはっ!」


 それは鈴音の木刀を砕いて腹に直撃した。


 「…やっべえ!やらかした!おい、大丈夫か!」


 「一応~」


 良かった~。


 「なかなか歯ごたえだったぜ」


 「王子のくせに戦闘もできるのか」


 鈴音と夜叉は手を取り握手を交わした。


 さて、見物人も集まってきたしそろそろ帰らないと…


 あぁ~こりゃあ、あのハゲ気づいてるだろうな。


 「何をしている夜叉ぁぁぁぁ!!」

 「見つけたぞ鈴音ぇぇぇぇ!!」


 橋の上から寺の住職と一国の国王が飛び降りてきた。


 「「やっぱし来たぁぁぁ!!」」


 遊びに行ってもチャンバラだけはするなと言われてるからな。


 寺の小僧、ハゲにチクりやがったな!


 住職は鈴音に拳骨を落とした。


 「痛った~!」


「お前という奴は毎回毎回、暴れないと気が済まないのか!」


 「うっせえな!こっちの勝手だろ!」


 「謝りに行くのは儂じゃぞ!」


 「今日はチャンバラだけです~!」


 「どのみち一緒じゃ!」


 一方、夜叉


 「遊びに行く時は木刀を置いてけと何度言えばわかる!」


 「別に良いだろ!」


 「一国の王子が人を傷つけてどうする!」


 「毎回、本人の了承付きです~!」


 「どのみち一緒だバカたれ!」


 白夜は夜叉に拳骨を落とした。

 

 「痛ってぇ~」


 「どこ行こうとしている雷音寺の若造!」


 残念だったな紫電、もう少し早く逃げればいいものを。


 「光介(こうすけ)から聞いておるぞ!学問をサボり毎回遊びに行くとな!」


 光介とは紫電の父親の名前であり閃と神威の祖父である。


 「親父の奴チクったな!」


 「さっさと帰り机の前に座れ!」


 「はい!」


 紫電は家に帰っていった。


 「これはこれは白夜様、このたびはウチの者が迷惑を」


 「いえ、こちらこそ申し訳ない!」


 ((さて、今のうちに逃げるか))


 「「逃げれると思ったかバカ者!」」


 「「バレてても逃げる!」」 


 鈴音と夜叉は逃げていった。

 それを追いかけるため住職と白夜も河原から去っていった。


 「ここまで来れば」


 「撒いてやったぜ。ざまあみろ!」


 ((うん?))


 「野良猫!」

 「夜叉!」


 鈴音と夜叉は偶然にも同じ道を逃げてきた。


 「お互い散々な目にあったな」


 「そうだな。それと野良猫じゃない鈴音だ」


 「鈴音?」


 「私の名前」


 それ以外に何があるんだよ!


 「野良猫が名前じゃなかったのか!」


 アホかこいつ!


 「違うは!このバカ!」


 「バカは余計だ!それとお前、絶対年下だろ!敬語使え!」


 夜叉の言うとおり鈴音は夜叉より年下である。


 「やなこった!」


 「あぁ!!」


 「「どうでも良いからさっさと帰るぞ!」」


 住職と白夜がいつの間にか二人の後ろに居た。


 「「いつからそこに居た!」」


 「「さっきから!」」


 ((この二人、気配消すのうますぎだろ!))


 「帰るぞ」


 「降ろせぇぇぇ!!」


 将軍様、怖ぇ~!


 「私はこれで…」


 「お前もだ」


 住職は鈴音の両腕を掴み持ち上げた。


 「放せぇぇ!全身の毛、抜くぞ!」


 「面白い、やれるもんならやってみろ」


 二人のやんちゃなガキは保護者に捕獲されてそれぞれの家に帰っていった。

さて、二人は出会ったことだしどのように恋に発展していくのか?

それと本編はしばらくお休みです!

それではまた次回の話で!

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