三十五話 その身に宿るのは仏法神
こちらもフルボッコタイム突入!
咲夜VS兼綱いよいよ決着!
今回、仏様の名前が出てきます!
「マスター」
「何だ?走りながら話すと舌かむぞ」
「何千年前から考えてたんですけど何で鬼が渡した刀なのに妖刀で何で名前が鬼神憑刀なんですか?鬼にとって妖刀というより聖剣みたいなものでは?」
ああ、そのことか。
「よく考えてみろ。阿修羅や仏法神は鬼にとって何だ?」
「天敵です…そいうこと!」
「そうだ。俺らなりの解釈で行くと鬼神ではなく仏神憑刀、鬼に仏が憑依してみろ間違いなく身が滅ぶぞだからあれを業滅の剣と俺らは呼んでいる。そしてあの刀を使える奴に限って全属性が使用できるだから刀が暴走して古来からのいわれで妖刀と呼ばれるようになった。ただそれだけのことだ」
「あの小娘、使えるかしら?」
「俺のお墨付きだぞ使えるはずだ」
どんと大暴れてこい咲夜!
「まさか魔力なしの純粋な攻撃だけであれを打ち砕くとは」
「本気できなさいさもないと死ぬわよ」
「ええ…スキル攻撃力上昇、耐久性強化、防御力上昇、狂気!」
兼綱は能力強化系のスキルで自分の攻撃力と防御力を中心に強化した。
「狂気、魔族のみが使用できて全能力を上昇させるスキル…月を我に加護を!先天性スキル月の加護!」
咲夜も対抗して月影家のみが発現できる先天性スキル月の加護を発動して全能力を上昇させた。
「変動斬り!」
兼綱は咲夜に斬りかかるだが咲夜はその場から動きもせずただ刀を懐に寄せてこう唱えた。
「第五形態魔利支天!」
兼綱は咲夜を斬り裂いた。
「やったか!」
「攻撃当たってないけど」
「なっ…何でだ!?」
「魔利支天、陽炎を神格化した仏、この形態の時、私は一切の攻撃を喰らわない。だって陽炎になってるから」
咲夜の言うとおり咲夜は今、陽炎のように体が揺れておりぼやがかかっている。
そして手に持つ刀は小刀になりゆらゆらと陽炎のように揺れていた。
いや、陽炎そのものと言ってもよい。
これが業滅の剣第五形態の専用スキル陽炎である効果は三十秒ほど。
「私が今までに操っていた刀はこれらの分身体、そして今は刀がすべて集まり真の力を取り戻した。そしてこれが」
「消えた!?第五形態の力か!?」
咲夜は突然、この場から姿を消した。
「消えてない!」
「どこだ出てこい!」
「剣技嵐斬!」
兼綱は体中から血を吹き出した。
「ぐぉおおお…攻撃が見えねぇ!」
そして咲夜は兼綱の前に再び姿を現した刀を二本握って。
その刀の刃は斬り裂くためだけに特化してるようで鋭かった。
「第三形態韋駄天!高速で敵を倒す移動速度、攻撃速度特化型の形態!」
「韋駄天だとぉ~」
「もうお前は私に触れることすらできない!」
咲夜はもとから足が速い。
ゆえに韋駄天と相性が良い。
阿修羅、韋駄天この二つの違いは攻撃力である攻撃力が高い順に並べると阿修羅、魔利支天、韋駄天となる。
韋駄天はあくまでも攻撃速度の特化、攻撃力は極めて低い。
と言っても普通の刀と比べると明らかに韋駄天の方が威力は高い。
「第ニ形態千手観音!」
咲夜が刀から手を離すと刀が千本に増えた。
刀の柄が金色に輝いている。
「刀が先ほどの数に!?…そうか効果が切れたか」
「何言ってるの?この刀全部、阿修羅の半分の攻撃力だけど」
「阿修羅の半分だと!?」
「つまり、阿修羅が五百本。普通では操ることができないだけど私は常日頃、刀を千本操る特訓をしてたからこんなの余裕!」
ついに咲夜が子供の頃からしていた努力が実った瞬間であった。
「剣技千手連撃!」
「結界!」
咲夜は千手連撃で連続攻撃をするだが、兼綱はそれを結界でガードするしかし、それは全くの無意味阿修羅五百本分の攻撃はすぐに結界を壊し兼綱を突き刺した。
「敵に情けを掛けるな!常に無慈悲であれ!」
「小娘、調子に乗るなよぉぉ!!」
兼綱は両手を前に突き出したそして、
「剣技連射剣銃!」
剣を連続で作り出してそれを咲夜に向けて飛ばした。
「第四形態不動明王!」
咲夜が千手観音を一本にしてそれを地面に突き刺すと刀が巨大化そして黒い炎に包まれ大きな結界を張った。
「串刺しになっかぁ?」
「なるのはあなたです!」
「なっ!」
兼綱の放った刀はすべて咲夜の結界に阻まれて空中で静止した。
「不動明王は燃え盛る炎で煩悩を焼き払い右手の剣で迷いを断ち切る仏、そしてこの第四形態は敵の攻撃を断ち切り、それの攻撃をカウンターとして相手に弾き返す。つまり、防御とカウンター特化の形態!」
兼綱が放った刀がすべて地面に落ち攻撃力が不動明王に吸収された。
「おいおい!なんちゅう刀だ!」
兼綱は回避をする体制をとった。
「滅せよ!」
咲夜は斬撃による衝撃波を飛ばした。
衝撃波はカウンターによって威力が上昇し炎に包まれ地面をえぐり取るように兼綱に向かって一直線に進んだ。
だが、兼綱はそれを避けた衝撃波はそのまま壁にぶつかり壁の周りにあった民家が消し飛んだ。
兼綱にそのどさくさに紛れ込んで逃げた。
「冗談じゃねぇ!あんな奴の相手できるか!」
兼綱は鬼族、脚力はかなりある。
大門は閉ざされているため兼綱は壁を登って日の本の国から脱出する。
「鬼族なめんな」
「なめてませんよ。決着は壁の上でつけるんですか」
「なぜあっしに付いて来れる!」
「韋駄天は脚力がかなりある鬼に追いつくほどの脚力を持っているそうです思ってた以上に速かった」
咲夜は第三形態韋駄天に変えて壁の上に先回りしていたのだ。
「待てよ…あっしは非戦闘員だぞ…そうだ刀鍛治師だ!」
「我が国に攻めてきて以上、赤ん坊でも戦闘員です」
「テメェは鬼か!」
「鬼ではありません慈悲深い仏と呼んでください。千手観音!」
咲夜は千手観音を器用に操り兼綱を壁の外の地面に叩きつけた。
「あれが仏…化け物の間違いだろ!」
「悪を滅するのに仏が相手に慈悲を与えますか?化け物で結構です」
咲夜は再び消えた。
「また韋駄天か」
「兼綱様ご無事でしたか!」
兼綱が壁の上から落ちてきたため兼綱の部下が近づく。
「来るなテメェら!」
それを咲夜は容赦なく斬る。
「くっ…この化け物がぁぁ!!」
「あなたも私の仲間をこのように殺したのでしょ!」
咲夜が兼綱の背後に現れた。
(そこか!)
「連射剣銃!」
「魔利支天!」
咲夜は実体をなくしてそれを避ける。
「結界!」
「阿修羅!」
兼綱は結界で防ぐが反動で吹き飛ばされた。
「千手観音!」
「異空間の剣」
兼綱は異空間を作り出しそこに隠れたりする事ができる異空間の剣を作りそこに逃げた。
夜真砥もこの剣を作ることができる素材は魔利支天のように実体を消すことができる魔物だ。
魔物の素材で作った物はその魔物の特性を引き出すことができる。
例えばバジリスクの素材を使えばその武器、全体に猛毒をまとわすことができる。
「消えた?…隠れたの方に近いかな?」
異空間に逃げ込んだ兼綱は回復薬を使って体力を回復させていた。
「黄泉神様にあいつの相手をさせれば良いが…さすがにあの能力は危険だ…ここで排除するしかあるまい…そろそろ効果が切れるな」
異空間の剣は制限時間がある。
理由は異空間に飲み込まれるおそれがあること、またはその素材の耐久性によるものらしい。
平均でだいたい五分ほどである。
なお、異空間に隠れているためそこから攻撃することができない。
「変動斬り!」
兼綱は咲夜の背後に回り変動斬りで攻撃する。
「マズい!」
だが咲夜は不動明王でその攻撃力を吸収する。
「剣技刹那が与える静寂の死!」
「魔力消滅、三重結界!」
兼綱は魔力消滅で刹那が与える静寂の死の魔力を消滅させて三重に張った結界で攻撃をガードした。
「阿修羅!」
咲夜が刀を振り下ろすが兼綱は右に跳び、巨刀砲を放つしかし、咲夜はまたしても魔利支天でかわして阿修羅で反撃し兼綱の右腕をへし折った。
「鍛治師の命である腕をよくも!」
「後継者ぐらいいるでしょ」
「真空波!」
左手に刀を持ち替えて真空波を放つ。
「真空波!」
咲夜は対抗して同じ真空波で対処する。
「そろそろ決着を付けましょう。第六形態弥勒」
(また形状が違う!)
咲夜が切り替えた刀はいたってシンプルだがそれからはとてつもない量の魔力があふれ出ている。
「弥勒は末法の時、つまり世界が終わる時にこの世に降臨する仏。この剣は戦いで一度しか使用できない形態、ゆえに攻撃力はトップクラス!」
「異空間の剣!」
兼綱は再び、異空間に逃げ込む。
「地獄で閻魔様に罪を洗いざらい吐き焦熱地獄でその身を焼かれろ!」
咲夜は異空間の剣の制限時間まで魔力を刀に溜め込んでいる。
「貴様あああああ!!」
制限時間になり兼綱が姿を現した。
「我流剣技奥義罪人を焼く焦熱の裁き」
咲夜は刀を振るったすると前方が極炎に包み込まれ兼綱を巻き込み兼綱の後方の森ごと焼き尽くした。
「あっああ」
兼綱は断末魔を上げる暇もなくその場に倒れていった。
「宗村兼綱討ち取ったりー!」
咲夜は刀を空に翳し大声を上げて戦場に兼綱を討ち取ったことを伝えた。
「…あっ!この火事消さないとお兄様に叱られる!」
「咲夜様手伝いますぞ!」
咲夜の安否を確認するために降りてきた武士が水属性魔法を咲夜に見せた。
「ありがとうございます!」
咲夜はぺこりと感謝の一礼をした。
火は戦が終わるまでに消し止められた。
終わって気づいたんですけど咲夜、夜真砥並みにチート能力獲得したなぁ。
魔利支天で姿を消して阿修羅で攻撃、韋駄天で翻弄させて弥勒でとどめ、韋駄天と魔利支天で逃げることもできる…マジ反則だわこれ。
それではまた次回の話で!