表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第三章 日の本の国で波乱万丈大冒険!
38/186

三十四話 妖刀使いの姫

今回の話はほとんど過去のお話です!

四分の一は戦闘シーンとなっております!

今回は咲夜が刀を握れない秘密が明らかに!


 「さあ咲夜、好きな刀を取りなさい」


 咲夜は五歳の頃から戦い方を教えられた。

 夜真砥が九歳の頃である。


 「うん、お父様!」


 咲夜は手前に置いてあった刀を握った。


 「それの刀にするんだね?」


 「うん!」


 (やった!これで私も武士になれる!)


 咲夜が刀を握って約二分後、刀に異変が起きた。


 「お父様!なにこれ!」


 咲夜が握ってる刀が突如として黒く染まり始めた。


 「まさか…妖刀化!咲夜、すぐに手を離しなさい!」


 咲夜は刀からすぐに手を離した。

 刀は地面に落ちるとすぐに砕け散った。


 「やはりあいつを生かせておいたから…親父と夜真砥(省かれ者)を呼べ!」


 夜叉の召集により白夜と夜真砥が月影城に呼ばれた。


 「なんじゃ夜叉、儂は今から夜真砥と昼飯をとるところだったんじゃぞ」


 「咲夜が握った刀が妖刀化した!こいつのせいだ!」


 「爺ちゃん僕何かした?」


 夜真砥は転生者だが大人びた態度は見せず純粋な子供を演じている。

 

 「夜真砥はなーんもしておらんよ。パパの八つ当たりじゃ」


 「八つ当たりだと…こいつを始末しておけば咲夜は妖刀化に目覚めなかったはずだぞ!」


 「バカ者!血のつながった子供の前で始末だと!夜真砥一人の存在で咲夜の刀が妖刀化するなどあってたまるか!少し頭を冷やせ!おそらく咲夜の体質じゃ!」


 そうだ!そうだ!

 妖刀化に太陽に魅入られた者はまったくもって関係ありませんよ~。


 「行くぞ夜真砥」


 「うん」


 なお、夜真砥はこういった差別上の関係で他の一族とは離れて白夜の別荘で祖父母と暮らしている。

 といっても月影城から五キロほどしか離れてない。


 「妖刀化したなら()()()を渡せばよいだろう」


 あの刀?

 妖刀化する者に持たす刀?

 多分あれのことだなまだあったんだ。


 夜真砥と白夜は帰る途中、廊下で咲夜に会った。


 「そう焦るなよ」


 「はい…省かれ者ちょっとこっちに来い」


 夜真砥は咲夜に呼ばれて庭に出た。


 「何か用?」


 「あんたのおかげで刀が握れない!どうしてくれるの立派な武士になることが私の夢だったのに!」


 だだをこねる子供は嫌いだ。

 ましてや何もしてないのに相手のせいにする子供は。

 少し、前世の威厳を出してみるか。


 「自惚れるなよガキが」


 夜真砥に睨まれ怯えて咲夜は少し涙を流した。


 「何にも努力をしてなにのに他人のせいにするな。そんな言い訳している暇があるなら努力しろ。刀が握れないなら別のやり方をすればいいだけのことだろ…って爺ちゃんなら言うぞ」


 これは俺の本心だけどな。


 「じゃあな…それと女でも武士になりたいっていうその夢カッコいいと思うぞ。その思いが続く限り咲夜は夢に近づく。あとはそれを自分の未来にするだけの話だ」


 夜真砥は白夜のもとに帰っていった。

 そしてその夜、咲夜は夜叉と一緒に地下の宝物庫に降りた。

 

 「あったこれだ」

 

 「お父様これなに?」


 大きな箱の中には古びた巻物が一つそして刀が無数にあった。

 この刀は性質上、分身して複数の刀になる。


 「妖刀鬼神憑刀(きじんひょうとう)、月影家と鬼神家が 同盟を結んだ際に鬼神家から月影家に贈られた妖刀、まるで鬼神が憑依したかのような状態になるから鬼神家の刀と鬼神が憑依する刀という意味を込めてこの名が付いた…妖刀使いしか使えないという言い伝えもある。咲夜握ってみろ」


 「うん…」


咲夜は鬼神憑刀(きじんひょうとう)を握った。

 だが昼間と同様に刀は妖刀化というよりかはカタカタと震え始めた。


 「ひっ!」

 

 咲夜は鬼神憑刀(きじんひょうとう)から手を離した。 


 「もとから妖刀だったら使えると思ったが…まあいい弓でも使いなさい。その刀はお前にやるよ」


 そして翌日、咲夜は弓を使った。

 刀とは違って弓は妖刀のように禍々しくならなかった。

 しかし、咲夜は不満げそうな顔をしている。


 「刀使いたい」


 『女でも武士になりたいっていうその夢カッコいいと思うぞ』


 「何であんな奴の言葉が頭に残るの…別のやり方」

 

 咲夜は気分転換のため城下に降りた。

 すると城下の広場で言葉が魔法の練習をしていた。

  

 「言葉ちゃんそれ何の忍術?」

 

 言葉が木片を宙に浮かしていた。


「えっとね。風の力を使って木片を浮かしてるの!外の世界では魔法って言うんだよ!」

 

 「魔法…」


 (確か、お父様がそんな書物持っていたような…そうだ!)


 「ありがとう言葉ちゃん!」


 「どういたしまして」

   

 何か閃いたのか咲夜は走って月影城に戻っていった。


 「お父様!魔法の書物貸して!」


 「魔法?…あれのことか良いけど何をするんだ?」

 

 「あなた貸してやったら。咲夜の目、いつも以上に輝いてるわよ」


 「それもそうだな。書物室に異国の書物を集めた棚があるからそこから取りなさい」


 「うん、わかった!」


 咲夜は五階の書物室に急いで駆け上がった。


 「…読めない!」


 書物はアルジア語で書かれていたためまだ言語理解(げんごりかい)を発動していない咲夜にとってまったく意味のわからない書物だった。


 「何してんだ咲夜」

 

 廊下から木刀を持ち汗を流した稽古帰りの終夜が現れた。


 「お兄様これわかる?」


 「港に行って異国の言語を聞いてこい。そうすれば読めるようになるんじゃないか?俺は読めるが今はめんどくさい」


 「わかった!」


 咲夜は港に馬車で行きそこで異国の言語を聞いて言語理解(げんごりかい)を発動させて月影城に戻ってきた。

 咲夜は風属性魔法入門書かぜぞくせいまほうにゅうもんしょという本を読んだ。


 「風属性魔法陣の構造は基本的に木属性魔法陣と同じだから自然属性魔法と総称されている。ゆえに木属性魔法さえ使えれば風属性魔法も扱うことができる試しに魔法陣を展開させてみよう…魔法陣なんてどうやって展開するの?」

  

 「魔法は私達にとっての忍法と同じだから忍術を使うと同様にするればいいのよ」


 「お母様!」


 「ずいぶんと熱心に読んでるわね」


 「いいこと思いついたから!」


 「そう」


 咲夜は庭に出て風属性魔法陣を展開させてみた。


 「この魔法陣から詠唱などをして発展させて様々な風属性魔法に変える。初めは微風を起こしてみよう。えっと…これを読めばいいんだ…風の精よ優しき風を我がもとに運びたまえ!微風(そよかぜ)!」


 咲夜は微風(そよかぜ)の詠唱をしただが、


 「起きない…魔法が出ない場合、その魔法のイメージが固まっていない証拠。頭の中で微風を考えてみよう。このやり方は基盤の魔法でしか使えないので要注意だ。風属性魔法の場合は微風(そよかぜ)のみあとの魔法は詠唱そして感覚で掴み取る以上で入門編お終い」


 (残りは詠唱と感覚なんだ…微風のイメージ…優しく草を揺らすそんな感じで…)


 咲夜は深呼吸をして詠唱した。


 「風の精よ優しき風を我がもとに運びたまえ!微風(そよかぜ)!」

 

 咲夜は再び詠唱をしたすると咲夜の前に微風が吹き草花を揺らした。


 「やった…できたー!」


 咲夜は喜び飛び跳ねた。

 そして咲夜は箱に入れられていた鬼神憑刀(きじんひょうとう)を箱を逆さまにして地面に落とした。

 そう、咲夜は風属性魔法で鬼神憑刀(きじんひょうとう)を操るつもりなのだ。


 「あれをするにはどれがいいのかな…これにしよっと。風の精よ我とともに激しく踊ろうではないか!風の行進(ウインドパレード)!」


 咲夜は風の行進(ウインドパレード)を詠唱しただが、


 「月影城で風の魔力が爆発した?」


 「夜真砥、よそ見するな!」


 日の本の国の森で夜真砥が月夜に剣術を教えてもらっていた。


 「痛った!何するんだ!」

 

 そして数時間後


 「できた」

 

 咲夜はボロボロになりながらも無属性魔法浮遊(ふゆう)念力(ねんりき)、風属性魔法風の行進(ウインドパレード)操風(そうふう)を合わせてついにお目当ての魔法を完成させた風剣の姫(ふうけんのひめ)誕生の瞬間である。

 そして咲夜は十一年後ついに千本操れるようになった。


 時は経ち現在


 「ここって仏塔…蓮華文(れんげもん)が間に合ってなかったら死んでたわね」


 安心感に浸っている暇なく巨刀砲(きょとうほう)が二発迫ってきた。


 「もう一度蓮華文(れんげもん)で…反動で体が動かない!?」


 咲夜は攻撃を受けた反動で体が動かなくなっていた。


 「死ぬ…」


 巨刀砲(きょとうほう)が咲夜にあと数メートルで当たると思った次の瞬間、何者かの影が二人、咲夜の前に現れた。

 

 「死なせるかよこんな可愛い妹を!月夜、手を貸せ!」


 「承知!」


 「「剣技間斬り(まぎり)!」」


 現れたのは夜真砥と月夜。

 二人は間斬り(まぎり)巨刀砲(きょとうほう)を斬り壊した。


 「お兄様!」


 「生きてるか咲夜!」


 「はい!」


 何かドデカい音したかと思ったらやっぱり咲夜だったか。


 「苦戦してるようだな…ちょっと鬼神憑刀(きじんひょうとう)貸せ」


 「はい?」


咲夜は言われるがまま鬼神憑刀(きじんひょうとう)を一本夜真砥に渡した。


 「咲夜が立派な武士になれますように…はい完成」

 

 「完成?」


 「俺のおまじないこれで咲夜は武士になれる。握ってみろ」


 咲夜は鬼神憑刀(きじんひょうとう)を握った。

 すると、


 「妖刀化しない!」


 刀は黒くならずましてやカタカタと震えもしなくなった。


 「そりゃそうだろ元から妖刀化なんてないんだし」


 「妖刀化ってないんですか!」


 「ああ、この現象は無自覚の複数の属性付与によるものだ。複数の属性がこんがらがってはじけて刀が壊れるんだよ」


 これは俺がリリムのところでの修行で知ったことだけどな。


 「そしてもう一つお前にいいことを教えてやるお前のユニークスキルがわかった」

 

 「私のユニークスキル」


 「効果はありとあらゆる属性魔法を使いこなしすべての属性魔法が使え威力を数段上昇させるユニークスキル名を属性の支配者アトリビュート・ルーラーだ」


 「属性の支配者アトリビュート・ルーラー


 「そうだ。お前なら鬼神憑刀(きじんひょうとう)の真の力を使いこなせる!行ってこい!」


 「はい!」


 咲夜は仏塔から飛び出した。

 無論、兼綱がそれに気づかない訳がない。


 「生きておったか剣技巨刀砲(きょとうほう)!空中では避けきれまい!」


 (避ける必要なんてない!たった斬る!箱に入ってあった巻物に書かれていたことを詠唱して真の力を解放する!)


 「刀に眠りし鬼よ汝の力我に貸し我とともに暴れようぞ鬼神憑依!」


 バラバラにわかれていた刀が一本になった。

 柄は紅蓮のような赤色、鞘はまるで炎のよう、刃は鬼の爪の如く鋭く強靭で両刃つまり剣となった。

 鬼神憑刀(きじんひょうとう)とは仮の名である昔の人はこう呼んだ真の名を業滅の剣(ごうめつのつるぎ)、悪人を斬るそのさまはまさに業を滅する剣そのものである。

 そしてこれがこの刀の攻撃に特化した第一形態。


 「第一形態阿修羅(あしゅら)!」

 

 咲夜は剣を振るい巨刀砲(きょとうほう)を粉砕した。


 「何ですとー!」


 兼綱はその切れ味に驚いた。

 一方、仏塔からそれを見ていた夜真砥は感心した。


 「威力たっけぇな…さて、ティナの方に向かうとするか」


 夜真砥は仏塔から跳び立ちティナの方に向かった。

 咲夜は地面に降り兼綱に剣先を向けた。


 「日の本の国に手を出して生きて帰れると思うなよ!黄泉神最高幹部宗村兼綱!」


 「これはこれは…覚醒かな?」


 己にかかった曇天を斬り払い迷える少女も真の力に目覚めた!

 咲夜も遂に覚醒!





 

 



 

 


     

神威同様に咲夜も覚醒!

ところでなぜ鬼神憑刀の真の姿である第一形態がなぜ阿修羅なのか疑問に思いませんでしたか?

 皆さん知っての通り阿修羅は仏教の神様で戦闘神で古代インドの鬼神、アスラから取り入れられた神様です。

 なので第一形態に込められた意味はこうです鬼神家から月影家につまりアスラから阿修羅にという意味を込めています!

 まあ、帝釈天か毘沙門天のどちらかにしようか迷ってましたがこっちでいいじゃん!と思い阿修羅にしました(-ω-;)

 次回はこの話も踏まえた話となります!

 長くなりましたがまた次回の話で!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ