三十三話 武士の魂を知り尽くした者と武士の魂に嫌われた者
今回は咲夜VS黄泉神幹部です!
さて咲夜は黄泉神幹部を倒せるのか?
最近武士語でのタイトルがカッコいいなと思ってきました(*´▽`*)
夜真砥が壁の下に降り立ち、六助の股の下を通過した同時刻、咲夜がティナを避難所に送るため一部の兵と城下を走っていた。
「あなたを死なせるわけにはいかない!だから避難所に連れて行く!」
「はっはい!」
夜真砥、大丈夫かな?
「どうしました?」
咲夜がいきなり足を止めた。
そして、顔を強ばらせ港の方を見ている。
「何で…港の大門が開いてるのよ!」
港の大門は戦が始まると閉じるようになっている。
戦が始まり何時間も経過しているのにいまだに閉じていない。
明らかに異常である。
「ごめん私、港に行かなきゃならないからあんたは城に向かって走って!」
「でも、ここからかなり距離が」
「あんた異国の魔族でしょだったら飛べるじゃない!」
「そうだった!」
ティナは翼を出して城に向かって飛んでいった。
「世話の焼けることね。これより五班に分けるそのうちの二班は門の閉鎖を、残りの三班は私と一緒に黄泉戦の足止めをします!ついてきてください!」
「はっ!」
そして約十五分後、咲夜隊は大門の近くに到着した。
「邪魔です!我流剣技千剣の嵐!」
この剣技は名前の通り、千本の剣で周囲の敵を容赦なく斬り捨てる技である。
咲夜は周囲に群がった黄泉戦を斬り凪払った。
「三班と四班、大門の閉鎖を!」
「了解!」
咲夜は軍を指揮して三班と四班を大門に向かわせ残りの一班、二班、五班を大門の周辺の黄泉戦の討伐に当たらした。
(いったん、十本に)
咲夜は刀を十本だけにして残りを収納箱にしまった。
「良かった。大門が閉まっていく」
だがその時、咲夜の背筋を骸骨の手がさするような感じの殺気が咲夜の背中を刺した。
そして、明らかに自分の味方ではない声が後ろから聞こえた。
「はい、それは良かったですね…しかしながら、もう手遅れです。なんせあっしをふくむ、黄泉神幹部が日の本の国に侵入しているのですから」
(さっきまで後ろには誰もいなかったはず!)
「誰!」
咲夜が後ろを振り向くとそこに赤い着物を着た男が立っていた。
人間ぽい見た目をしているので鬼族とみれる。
「申し遅れました、黄泉神最高幹部宗村兼綱、黄泉の国の刀鍛冶師でございます」
「宗村ってもしかして!」
「左様、黄泉神様、愛用の刀、宗村はあっしが鍛えております」
日の本の国では有名な話である。
これまで戦った黄泉神幹部全員が同じ刀つまり同じ刀鍛冶師の刀を使っていることを。
ある武士がこんなことを黄泉の国の兵に聞いた『お主達の幹部が使ってる刀は誰が鍛えているのか』とそして黄泉の国の兵はこう答えた『宗村刀だ宗村一門が鍛えておる』と。
それからというもの黄泉神幹部が使ってる刀は日の本の国で妖刀宗村と呼ぶようになった。
そして今、咲夜の目の前にいる敵は宗村一門の現当主、宗村兼綱である。
宗村家は代々、当主が代わるにつれその代わった当主が黄泉神幹部になる。
しかも、ただの幹部ではない最高幹部だ。
刀鍛冶の実績によるものだが。
「最高幹部…刀鍛冶師が?」
「代々そうなっておりますから」
「ちょっと鉄臭いわよ」
兼綱からは鉄の匂いがただよっている。
「それはそうです。この着物もとは白ですから」
(元は白色ってもしかして…)
「貴様ー!」
「その通りでございます!あなたがたの同胞の血でございます!約五十人は葬りました!」
「殺す!」
咲夜は出してる刀を兼綱に飛ばした。
「いい目をしてらっしゃる!」
兼綱は大太刀で刀をすべて凪払った。
「なんて風圧!」
「風殺刀それがこいつの名です」
「剣落とし!」
咲夜は兼綱に頭上から刀を五本落とした。
「無視ですか…結界!」
兼綱は結界を張り攻撃を防ぐだが咲夜は残りの五本の刀を前方に飛ばした。
「はっ!」
兼綱は再び風を起こして刀を吹き飛ばした。
「まだまだ!」
弾かれた刀の体勢を立て直して咲夜はもう一度、刀を突き刺そうとした。
「だから無駄ですよ…きなさい火竜巻そして合技上昇火竜!」
兼綱は炎をまとってる火竜巻と風を起こす風殺刀を使ってまるで火竜が上昇してるように見える中型の炎の竜巻を起こし、刀を熱したまま周囲に吹き飛ばした。
「今度は炎属性!」
「天然の素材を使ってるもので…まあ、立場上炎属性魔法は使えますが」
(分が悪い…千本出さなきゃ)
咲夜は収納箱から次々とすべての刀の柄を触りながら外に出した。
(あれは…面白い)
「高速付与しておるのですか」
咲夜は五本の指でそれぞれ属性を付与できるようにしてランダムに指を動かして刀に付与しているのだ。
親指は土属性、人差し指は水属性、中指は雷属性、薬指は自然属性の中の風属性、小指は炎属性である。
自然属性というのは風属性と木属性のことである。
なぜこのような言い方をするかというと風属性魔法陣と木属性魔法陣の模様が完全に同じであることが近年わかり、ギルドの会議で風属性と木属性を合わして自然属性と言うようになった。
自然属性魔法と言う者もおれば風属性、木属性と言う者もいる。
誰が発見したかというと皆も知ってる人だ。
夜真砥ではないリリムである亀の甲より年の功ってね。
「その身で確かめてみたら!五芒星の舞!」
さらに付け加えると木属性は付与できないのだ!
試しにギルド学会の魔導師が剣に付与したところただの木剣になったとか。
なので風属性は木属性の代用である。
「お断りします」
「全部避けてる!」
咲夜は千本の刀を兼綱に飛ばしているなのに兼綱はいとも簡単にそれをすべて避けている夜真砥が苦戦するほどの攻撃を。
「職業上あっしは刀の気持ちがわかるのです」
(刀の気持ち?)
「刀を知り尽くしたゆえに刀でどのような攻撃ができるか、どのような軌道をするかそんなことがわかるのです」
兼綱は地面を蹴り咲夜の目の前に現れた。
「離れろ!」
咲夜は周りに残しておいた五本の刀を振っただが、
「そして止めることも」
兼綱は素手でそれを止めた。
「あなたは刀に一切触れようとしない。触れたとしても刹那。何かためらってるようですが…それにこの刀すべて材質、形状、装飾、切れ味何もかもすべて同じまるで同時に作り上げたように…何か理由でも?」
「それは…」
「考え事していてもよろしいのですか?」
兼綱は収納箱を使ってないのにどこからともなく刀を出した。
「雷走り」
兼綱は咲夜を斬り、電撃を浴びせた。
「あああぁぁぁぁ!!」
「単に雷属性を付与しついでに伝導性を高めたものです」
咲夜はいったん兼綱から離れた。
「何で収納箱を使ってないのに刀が」
周囲にいた兵が咲夜を助けにきた。
「貴様、咲夜様から離れろぉぉ!!」
兼綱は両手を拳にしたすると両拳に刀が握られていた。
先ほどまで兼綱が使用していた刀、火竜巻が。
「刀鍛冶師それがあっしのユニークスキル、手を握ることにより収納箱内の素材を使用して刹那にして刀を作り出すことができるそして分解も可能」
(そういえばさっきまで持っていた刀が無い!)
このような鍛冶師系のユニークスキルは他にもある例えば、斧、槍、銃などがある。
刀鍛冶師は世界で十人ほど発動させていることが確認されている。
ユニークスキルはほとんど一人しか発動できないのでそう呼ばれているが発動者が一人だけとは限らない。
「燃え尽きなさい!」
兼綱は向かってきた兵に炎の斬撃を飛ばす。
「させない!五芒結界!」
咲夜は兵 の周りにそれぞれ属性の違う刀五本を浮かせ星形のつまり五芒星の結界を張り斬撃を防いだ。
「助かった~」
「あんた助けにきたのに私に助けられてどうするのよ!さっさと下がりなさい!」
「すいません!」
「ほう、そのような芸当が」
「言ったでしょ五芒星の舞って」
「つまり千割る五で合計二百の結界が張れると…うらやましい。我々妖怪はその結界を張れませんから」
(ほめてくれてるけど、さすがに二百は無理なんだけどなぁ…)
「まあ、最高で五ほどかな?」
(バレた!)
「衝撃波!」
「結界!」
咲夜は結界を張ると同時に刀を飛ばし攻撃したが、
「早い!」
兼綱は素早く右に跳んで咲夜に左側に回り込んだ。
「剣技変動斬り!」
変動斬りとは刀鍛冶師の特徴である一瞬にして刀を作り出す能力を利用した剣技である。
次々と刀の属性つまり刀が変わるため相手は属性に耐えられなくなる例え炎属性耐性のバリアを張っても別の属性攻撃がきて破られてしまう。
「剣技蓮華文!」
蓮華文とは蓮の花を作るように十六本の刀の柄の先を合わせて蓮華の形を作り攻撃をガードする剣技。
攻撃用の技ではないそれぞれの刀に属性耐性の付与がされているため回転させて変動斬りに対応する。
咲夜は勘で変動斬りの特性を見抜き二刀流でくるといけないので二個作った。
「おら!おら!おら!」
咲夜はガードと同時に攻撃もしているが押されている。
「叫んでるわりに当たってませんよ!」
「良いんだよこれで!」
(塀!)
咲夜は塀に激突した。
「マズい!」
「遅い!剣技巨刀砲!」
兼綱は一瞬で巨大な剣を作り咲夜に向けて風に乗せて飛ばした。
咲夜は蓮華文で防ぐが2キロ先の仏塔まで飛ばされた。
「もういっちょ!」
兼綱は再び巨刀砲を二発飛ばして追撃した。
「何か違和感あるが…始末完了」
仏塔が壊れ一部が崩れる咲夜は敗北してしまったのか?
咲夜は生存しているのか?
まあ生きてますがσ(^_^;
次回、咲夜がなぜ刀を握れないのか説明します!
そして咲夜の窮地にあの人登場!(`・ω・´)
それではまた次回の話で!