2話 ギルド登録
今回はティナのギルド登録!
果たして魔族のティナはギルド登録できるのか!?
翌日、二人は宿の一階にある食事処で朝ご飯を食べようとしていた。
「モーニングセットと麦」
ヤマトはティナに拳骨を落とす。
あまりにも速さの出来事でティナは頭を押さえて周りをキョロキョロしている。
「失礼、俺も同じモーニングセットでお願いします」
「料理長!モーニングセット二つお願いします!」
「何で殴ったんですか!?」
やっと気づいたか。
それぐらいすぐに気づかないとこの先、やっていけないぞ。
「朝から麦酒を飲む奴がどこにいる?」
「大丈夫です!それに私は魔ぞ」
続きを言おうとしたティナの口をヤマトは押さえる。
「ちょ~っとこっちにこいバカ弟子!」
ヤマトはティナの口を押さえながら廊下に出る。
そして目覚ましがてらティナの頬を引っ張り問いただす。
「町に入る前にお前に大切なこと一つ言ったよな~」
「何でしたっけ?」
何て言ってるかわからん!
とりあえず頬から手を離した。
「もっかい言え」
「何でしたっけ?」
「ふざけてんのかぁ!?」
自分が魔族であることを言うなと忠告してはずだがティナはそのことを忘れていた。
それに呆れたヤマトは怒りを抑えながら逃がさないようティナの頭を鷲掴みにして訊く。
「ふざけてませんよ!いろいろあったから忘れたんですよ~!」
それぐらいで忘れるとか天才だな。
まあ、いいもう一回だけ言ってやる。
「もっかい言うよく聞け!自分が魔族だってことは絶対に言うな!次に言ったら破門だからな!それと朝っぱらから酒は飲むな!一文字目で何注文しようとしてんのか理解できたわ!」
次言ったら破門とか言われたら絶対言わないし!
そう思い私は大きくうなずいた。
その後、朝食を食べた二人はギルドに向かった。
「ここが要塞都市のギルドだ」
「すごく広いですね~」
そう言いながら私は辺りを見回した。
人がたくさんいる。
あ、強そうな武器を背負ってるなぁ。
「少しは落ち着いて歩け」
「そういえば何でフードと仮面を着けているの?」
気がついたらヤマトはフードと仮面を着けていた。
いや、朝も席は端っこにしてたし注文する時もフードを深く被ってたな。
「騒がしくなるといけないからだ」
「何で?」
ヤマトは溜め息をついて悲しそうな目つきでティナを見る。
なぜそんな顔で見られたのかティナは理解できず首を傾げたのでヤマトは再び溜め息をついて歩き出す。
「少しぐらいは自分で考えろ」
「ちょっと何で教えてくれないんですか!」
バカかこいつは俺がギルドに入ってきたら騒がしくなるからだろうがとりあえず無視だ無視。
たまには自分で考えなさい。
てか、考えなくても出る答えだけどな。
「連れのギルド登録をお願いできますか?」
「はい、わかりました。少々、お待ちください」
受付嬢が元気よく承諾した。
一方でティナはまだうるさい。
「師匠~!無視ですか~!」
「今から説明するから黙っとれ!」
俺の堪忍袋が少し切れた。
この調子だと寿命を縮めさせられてバカ弟子に殺される。
「怒らなくてもいいじゃないですか」
「怒るわ!お前は誰の弟子になっているんだ!」
ティナは少し黙って理解したのか口を開く。
「あぁ~そういうことか」
「やっとわかったかバカ弟子」
カウンターに受付嬢が戻ってきた。
ギルド登録に必要な用紙などを持って。
「ではこれからステータスの確認をした後ギルド登録します」
「ちょっと待った防音結界を張っていいか?」
「いいですけど?」
ヤマトは指を鳴らして防音結界を張った。
名前の通り音を外部に漏らさないようするための結界である。
その代わりに防御力は皆無だ。
「何で指を鳴らしたんですか?」
ティナが不思議そうに訊いてくる。
「指に溜めた魔力を弾き分散させ魔法を発動させるためだ。瞬時に張れるから覚えておけ」
「ではこちらに手を置いてください」
「は、はい!」
何で噛む?
緊張するほどのことじゃないだろ。
さて、次のことに集中。
受付嬢がティナのステータスを見ている。
ステータスにはいろんなことが載る。
名前、身体能力、そして種族もだ。
「えっと種族は魔族ですね…へっ?魔族うぅぅ!!」
防音結界を張ったのはこのためだ。
予想通りの反応。
魔族は基本的に危険な種族として認識されてるからな。
「魔族のギルド登録はできません!すぐに騎士団を呼びます!」
「ちょっと話が違うじゃないですか!」
二人とも混乱しすぎだ。
まあ、さすがに要塞都市のギルドだからあれはあるよな。
「ギルドマスターに電話してくれ」
「ギルドマスターに電話しても変わりません!あなたも魔族でしょ!」
「いいから電話しろ!」
俺はは脅しぎみで命令する。
なりふり構っていられないからな。
受付嬢は涙が出るのを堪えながら電話をカウンターの上に置く。
電話は微小の魔力を話したい相手に飛ばして相手と話すことができる魔導具である。
「ど、どうぞ」
受付嬢は震えながら受話器をわたす。
「爺か?そうだヤマトだ。あの件だけどさ魔王の娘を弟子にした。そこはどうにかしてくれよ…ありがとさん受付嬢にも説明してくれ」
本当にギルドマスターと会話しているのか疑うぐらいヤマトは気軽に話していた。
私だったら緊張して固まると思うけどな。
「じゃあ元気でな。ほらよ」
「ギルドマスターですか?サンドリア支部の者です。はい、はい偽物じゃないですよね?わかりました確認します」
受付嬢は受話器を戻す。
「ということであなたも手を乗せてください」
「了解、結果は同じだけどな」
「えっと…ギルドランク序列一位ヤマト・ツキカゲ…本物だ。失礼しました!お連れ様のギルド登録をします」
「本当にギルド登録できたー!」
やっと面倒くさいことが片付いた。
魔族は基本、ギルド登録ができないからな。
「これがステータスですか」
ティナにステータスが書かれた紙が渡された。
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ギルドランク 圏外 種族 魔族
二つ名 無し
名前 ティナ・キャロル ポイント 0
攻撃 百 発動可能スキル
防御 五十
魔力 百五十 無し
使用可能魔法
火球閃光
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「まあまあだな」
まあまあって何ですか?
良い方なの?
そんなことを訊こうとしたが疑問より好奇心の方が勝った。
「師匠のステータスも見せてください」
「いいけど、気絶すんなよ」
「しませんよ~」
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ギルドランク序列一位 種族 人族
二つ名 漆黒の太陽
名前 ヤマト・ツキカゲ ポイント 測定不能
攻撃 十五万 発動可能スキル
防御 八万
魔力 十万 ほぼ全て発動可能
使用可能魔法
基本応用オールクリア
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「何ですか!この化け物みたいなステータス!」
何か最近、化け物呼ばわりされるの多いな。
「何このステータス!?ポイント測定不能って何!?ほぼ全て発動可能とかオールクリアとか何なの!?自慢か!漆黒の太陽ってカッコつけたいのか!」
思わず私は早口で喋ってしまった。
「序列一位ならこのステータスは当たり前だ。ポイントというのはギルド内での順位を表すものだ。依頼達成などでゲットできる」
「そんな簡単にこんな数値出るもの?」
ティナは受付嬢に助けを求める。
だが受付嬢もヤマトのステータスが書かれた紙を渡す際に見ていたので少し困惑している。
「出ませんね。ギルドに勤めて五年になりますけどヤマト様を含めて二人しか見たことがありません」
受付嬢はそう答えた。
「スキルも魔法も全部使えるの?」
「全部ではない個人が発明した魔法やユニークスキルは無理だしまだ使えないものもある」
「改めてスゴい人だと感じました。それと二つ名ってなんですか?」
「大した意味は無いけどその人を名前ではない方法で呼ぶコードネームみたいなものだ。確かギルドランク序列千位以内に入ったらギルドからもらえるはずだ」
「はい、二つ名はギルドランク序列千位以内に入った人にギルドが与えるものです」
「漆黒の太陽ってどういう意味でつけられたんですか?」
「俺も知らん」
言われてみればどういう意味でつけられたのか知らないな。
この機会に訊いてみるか。
受付嬢に訊こうとしたが先に言ってくれた。
「漆黒の太陽というのはヤマト様がいつも黒ずくめの鎧や服を着ているからです。太陽は戦闘中にたまに顔の一部が金色に輝くからです」
受付嬢がそう言ったので私はヤマトを見てみると確かに全身ほぼ黒い今日は鎧をつけていないようだ。
金髪…じゃないよね。
服と同じ黒だ。
「前の二つ名は黒の餓狼その前は漆黒の天狼その前は黒き狼です。ギルドでは有名ですよ」
「漆黒関係多いですね」
「ギルドに入られた頃から黒ずくめだったらしいですよ」
餓狼の時はおそらく弱くなってたのだろうと私は思うことにした。
だってそんなことなければ反則級じゃん!
「これで解決したか?」
「はい、師匠が常識外れだということはよくわかりました」
「常識はずれは余計だ。それよりめも言語理解は発動しといてほしかったな」
「言語理解って何ですか?」
「今から説明する」
そう言うと師匠は受付嬢に喋りかけた。
あれ何語だろう?
何を話してるのかいきなりわからなくなった。
「何て言ったのですか?」
そう言うと師匠は私に喋りかける。
今度はわかる!
「うちの弟子はバカですねと言った」
だから受付嬢さんは苦笑いしていたのか。
「自分の知らない言葉や文字が理解できる。それが言語理解、五ヶ国語を聞けば使えるようになるぞ」
「こりゃあまた便利なスキルですね」
用は済み私達がカウンターから離れようとした。
けど何かを思い出したのか受付嬢が師匠を止める。
「ヤマト様ギルドからの指名依頼が溜まっております」
ヤマトは受付嬢に紙の束を受け取る。
全てギルドまたは他者からの指名依頼だ。
「全部、別の冒険家に回せ俺以外でもできる」
「はい、わかりました」
「あれで全部、読んだの?」
明らかにに全く読んでいない。
だがヤマトは自慢するように私に当然のことのように言ってきた。
「魔法でな」
あっそうですか。
これから何するのかわからないのでヤマトに訊く。
ギルドに来たなら依頼を受けると思うけど先ほどの言い方からして別のことをするのだろう。
「これからどうするの?依頼を受ける?」
「いや、この状態で依頼を受けたらお前は確実に死ぬ。とりあえず修行してもらう」
「修行してもらう?」
「ある人に教えてもらう。とりあえずその人の居場所がわからんから魔力検索機で調べる」
魔力検索機というのは魔力により情報化したものを表示できる魔具だ。
誰かの魔力を検索するものではない最近ではパーソナルコンピューター略してパソコンと呼ばれている。
魔力検索機のもとに向かう俺達に冒険家が絡んできた。
おそらく俺に用があるのだろ絶対そうだ。
ずいぶんと高そうな防具を着てるな。
「あんたヤマト・ツキカゲだろ。俺と手合わせしないか?」
どうやら俺と手合わせしたいらしい。
こういう輩がいるから顔を見せたくないんだよ。
冒険家って言っちゃ悪いがほとんどが教養をまともに受けていない野蛮な連中しかいないからな。
『一発、ドカンと稼ぎたい!』っていうのが大半。
「悪いが急いでるんだ」
「そう言うなよポイント十万はあるんだぜ」
自慢にならないぞそんなの。
十万なんか魔物討伐を何百回こなせばもらえるし。
ちょうど良いこいつを使って説明しよう。
「…しつこいから相手してやる。ティナ、俺の話を聞いとけよ」
「はい?」
訳がわからない。
私に何を話そうとしているのだろう?
そう言ってる間に冒険家が剣で攻撃してきた。
「喰らいやがれ!!」
だが師匠は素手で止める!
痛くないの!?
「何だこれ!どうなってやがんだ?!」
「ポイントなんてものは何の自慢にもならん!技術を磨け!こいつがいい代表例だ!」
ヤマトは剣から手を離して冒険家の懐に近づいて投げる。
反撃する間もなく冒険家は背中から床に落ちた。
そして同時に辺りが静まる。
「それとお前にも言うことがある」
「何だよ」
「そんなんだと序列千位以内にも入れない。言っておくが俺のポイントは約五億だ」
「五億…」
誰もヤマトに話しかけることはなかった。
そして自然とヤマトの進行方向の人は道を譲る
憧れよりも恐怖だ。
どれだけ鍛錬すればこれほどまで強くなれるのか理解できなかったからだ。
ヤマトは例の魔導具のもとに行き調べ物を始める。
「そうか!こいつを呼んであいつのとこに行けばいいんだ!よし、ティナこの街で一番高い場所に行くぞ」
「はい?」
また意味がわかからない。
だが私はその意味を数分後知ることになった。
あと怖かったです。
次回はヤマトの旧友に会いに行きます!
ちなみにティナちゃんはバカしまくります。
それではまた次回の話で!