二十五話 裏方登場
今回は裏方が登場します!
一人は豪快な人でもう一人は京都弁を使う子です!
裏方、日の本の国を産業面で支えている一族だ。
無論、戦闘もできる。
木霊家、岩戸家が裏方である。
木霊家は農業や畜産などをやっており岩戸家は漁業や建築業などの力仕事をやっている。
木霊家はほのぼのしていて岩戸家は少し荒々しい家だ。
戦闘面では木霊家は神主または巫女、岩戸家は武道家だ。
今、俺達は夜ご飯を食べるため木霊家が経営している食堂にやってきた。
「相変わらずにぎやかだなぁ」
食堂内は仕事帰りの侍や商人であふれかえっていた。
「葉月いるー!」
紅葉さんが誰かの名前を食堂に向かって言った。
「葉月って誰ですか?」
「木霊家の一人っ子ここは本家が近いからここで家の手伝いをしているんだ」
「はいはい!待たせてかんにんな~」
かんにんとはこのあたりで昔っから使われていた方言の一つである。
「えっ…言葉さん!?」
食堂の奥から言葉さんにそっくりな人が出てきた。
でも少し感じが違う。
「呼んだ?」
「えっ!?後ろにいる!じゃああれ誰ですか!」
「あれが木霊葉月、言葉と葉月の見分け方はポニーテールを右肩に乗せているのが葉月、左肩に乗せているのが言葉その他の見分け方は八重歯が言葉、喋り方がゆっくりなのが葉月ちなみ二人は双子じゃない従姉だ」
従姉でこんなに似るものなの!
「似てるでしょ!」
「似てんやろ~」
似てないんですか…いや、似てますよ!
「先に岩戸ちゃん来てんで~」
「岩戸に誰か電話したのか?」
「私した…食べるのにぎやかが良い」
雫がそっと手を挙げた。
「ダメだった?」
「いや、良いんだけどさ…まあ良いか」
夜真砥がなぜか落ち込んでいる。
「八名様入る~」
葉月に通されて俺達は食堂の奥のテーブルに案内された。
「よっ!夜真砥久しぶり!」
「久しぶり~」
「元気ないな!飲んで元気出せ!アハハハ!」
座敷に酔っ払った女の人が座っていた。
「うわっ、もうはいっている」
「岩戸連華、21歳、無類の酒好き。酔っ払うとご覧のとおりの有り様だ」
この人がもう一つの裏方か。
「葉月、今日のオススメ持ってきてくれ」
「わかった今持ってくるさかいちょい待ってな~」
この状況でもおっとりしているな…まあ、戦場での切り替えがヤバいけど。
「改めて思うと…男俺一人…兄上呼べばよかった…」
「もう、夜ご飯食べてると思いますよ」
「だよなぁ~」
なんかこの状況イヤだなぁ~。
「皆さんってどれくらい年齢離れているんですか?」
おい、ティナ女性に年齢を聞くもののじゃないぞ。
「私と言葉と葉月が夜真砥と同じ20歳で閃は連華と同じで雫が18、朧が17歳だよ」
「紅葉、お前はもう21歳だろ。てか、同い年産まれじゃないし」
紅葉は閃と連華と同じ年に産まれたのである。
心は俺達、二十歳組よりだ。
「そうだった!」
ふーん年齢離れている人もいるのに仲が良いな。
「お待たせ今日のオススメ刺身定食どす~」
葉月は人数分の刺身定食を魔法で浮かして持ってきた。
「また、刺身…」
「文句言うな…月夜のぶんもあるのか」
「あら、ありがとう」
また、朧さんの頭の上に乗っている。
「気にしひんで~」
「それじゃあいただきます!」
料理が運ばれ食事が始まった。
夜、八時になり食堂は家族連れも来てにぎわってきた。
「夜真砥、ほら飲め!」
連華が杯を俺の口に近づけてきた。
こいつは酔うとめんどくさい。
だからイヤなんだよ。
「自分で飲むから近づけるな!」
ああ!めんどくさい!
「夜真砥、酒飲むんだ」
「意外か?」
「意外です」
私も飲みたいなぁ~。
「葉月、お前手伝わなくていいのか?」
「おとんに食べてこいって言われた~」
「そうか…久しぶりに日本酒飲んだな」
日本酒、日の本の国独特のお酒である。
米で作っている。
「ねぇ~連華聞いてよ~」
そういえば紅葉も酒癖が悪かったんだっけ。
「なんだい~」
「夜真砥今日ね~ヒクッ!また血吐いたのよ~」
「ハッハッハ!マジかよ~!」
何が面白いのやら。
「うん?抹茶アイスがのっている!」
はい?抹茶アイス?
おい、まさか…
「ティナそれ食べるな!」
「もう、食べてしまいました」
遅かった~。
「なんか鼻がつーんってきたんですけど!」
「それはわさびだ。刺身にちょっと付けて食べるものだ」
辛いっていうよりなんか変な感じがする!
「ねぇ恒例の俳句大会しようよ!」
恒例の俳句大会とは俺が帰ってきたときにするちょっとしたイベントだ。
まあ、変な俳句が出てくる。
「じゃあ言葉から!友帰国今宵はあの日に戻ろうか」
字余りか今宵はあの日にという部分が良いな。
「次、雫ちゃん!」
「わかった…思い出はしんしん積もる雪のよう」
思い出が積もることを雪と掛け合わせているのか。
「じゃあ次、私!」
紅葉が少し酔いが醒めて手を挙げた。
「火元なき炎が燃える嫉妬かな」
なんか少し怖いんだけど。
「じゃあ次あたい」
今度は連華が手を挙げた。
連華の一人称はヒルデと同じ『あたい』である。
まだ酔っぱらってるけど大丈夫か?
「泣かぬなら泣かせてみせよ子供達」
「おい!」
「あっちゃ~夜真砥に怒られた~」
やっぱりまだ酔っ払っていたか。
「次は妾がいこうかのう…月夜よ痛みが足らんもっと踏め」
「おい!字足らずでなに言ってやがる」
「ほな次は葉月が言う~えっと…音がしたおとんが転けた早う戻る」
「字余りしとらんとさっさと戻ったれ」
「おとん今戻るさかい待ってえな~」
葉月は店番に戻った。
「私はマスターを慕う俳句を!」
俺を慕う俳句?
「幸せはいつも隣で歩いてる」
「おお~!」
全員が感嘆の声を上げた。
月夜は誇らしげに胸を張っている。
たいして変わってないけどな。
「次は私が」
閃の一人称は『私』である。
「さようなら門限ですのまた明日」
洒落た帰り方だな。
閃は門限のためお金を置いて店を出て行った。
それにしても公家の門限は早いな。
「夜真砥、俳句ってどうやって作ったら良いんですか?」
「適当にやれ…次は俺だ短歌でも良いか?」
「良いよ良いよ!」
「戦場に赤き花咲く友の血で虚空を仰ぎ涙を流す」
「怖すぎ~!」
「そうか?良いできだと思うんだけどな?」
いえ、言葉さんの言うとおり怖すぎです!
「まあ、こんな感じでやれ」
「はい、わかりました!ありがとう夜真砥に会えて良かったです」
周りが静まり返った。
「なんか変なこと言いましたか?」
「ティナちゃんがデレたー!」
紅葉が大きな声で叫んだ。
「デレてませんよ!もう、なんなんですか!」
ティナがコップに入っていた水を飲み干した。
「それ酒だぞ!」
「大丈夫です私お酒強いんで…法律があぁぁぁぁ!!」
やっちゃった!やっちゃった!
どうしよ!どうしよ!
「それぐらいの年齢ならお酒飲んで良いんじゃないの?」
「えっ!?…夜真砥どういうことですか?」
「あん時は朝だから止めたんだよ…朝っぱらから酒飲まれると困るし嘘ついたのはどうせ止めても飲むと思ったから。それと魔族で170歳で酒を飲む奴はあんましいないからな」
なんだそういうことか。
何か少し嫌な気分…こうなったら!
「飲んでイライラ吹き飛ばします!」
「イライラって言ったか…お前の頭吹き飛ばすぞ」
「吹き飛ばさないでください!」
その後、ティナは酒を飲み始めた…どうせ酔っ払うと思うしここに置いて行こっかな…。
そして約二十分後、宴会(?)は終わり解散の時間になった。
俺の予想通りティナは泥酔状態になった。
日本酒は魔族を酔わせやすいんだ。
「魔力使い果たしてるし歩くしかねぇか…重たい…」
ティナは泥酔しているので俺がおぶっている。
なお、帰り道一緒の奴はこの方向ではいない。
「しかも月夜は今日に限ってもう剣に戻って寝てるし…お前いつから夜行性じゃなくなったんだ…はぁ~」
月夜はいつも精霊の姿で寝るよく考えると今回はばかりはありがたい。
なんとかバカをおぶって月影城の門の前にやってきた。
こいつ確実に太ったな…。
「夜真砥さまお帰りなさいませ」
月影城の前には必ず門番が二人いる時間帯によってどの家が守るか決まっている九時は天津風家の門下生が守護している。
「お疲れさん~」
「どうかしましたか?」
「みての通り魔族なのに日本酒飲んだ」
「上まで運びましょうか?」
「大丈夫だ。筋トレになる」
「しゅいまへ~ん」
なに寝言で謝ってんだ。
謝るぐらいならさっさと酔い醒まして起きろ!
ティナが泊まる階は十三階である。
客室は十四から十三階にある理由は良い景色を見せるため今は迷惑である。
城内に家族の姿が見えないどうやら別館で食事をとっているらしい。
途中十一階にある爺さんの部屋を通ったとき名前を聞いたことのある本を見た。
「『君にもわかる冗談で笑いをとる方法』って人気があるのか?」
ドラゴンのシルビィアでも読んでるし人気あるのかなぁ?
いったい誰が書いたんだ?
「そんなことどうでも良いか…あともうちょい」
なんとか運ぶことができた。
「朝起きたら風呂入れよ」
その後俺は十階まで降りて七階にある自分の部屋に跳んだ。
魔力が無くても身体能力はある。
「さて、明日から忙しくなるぞ…風呂入ろ」
その後俺は城のすぐ横にある月影家専用の温泉に入った。
明日から戦が始まるので疲れをとるのにちょうどよかった。
なお、魔力の回復効果がある。
あぁ~極楽極楽。
京都弁分からないので標準語を京都弁に変換するサイトで京都弁に変換してます。
おかしいところもあるかもしれませんが大目に見てください。
次回!日の本の国戦国時代に突入!
ホラ貝を吹け!
それではまた次回の話で!