十八話 出航
出航そして航海!
今回はほのぼのシーン満載です!
港に来たヤマトは先に行かせたティナとツクヨを探していた。
「あいつらどこ行った…いた」
ティナとツクヨは港の城壁の下にいた。
サルディア帝国の港には左右にそれぞれ三枚の城壁がある。
普段は中央の道が開いているが津波や海から攻撃される時には左右の城壁から魔力を放たれ頑丈な巨大防御結界を張ることができる。
さらに魔法砲台が何門も設置してあるゆえに付けられた名は守護者一度もこの城壁が破られたことはない。
「説明しなさいフナムシ、何で日の本の国行きの船が無いのか」
誰かと話している。
何やってんだ?
「フナ…おっお嬢ちゃんさっき説明したとおり嵐で出られないんだ」
船出られないのか?
「すみません。こいつの連れです。どうかしましたか?」
「あ、マスター」
「ヤマトどこ行ってたの!」
「野暮用」
「どうしたもなにも嵐で船が出れないのに何度も出せ出せってしっこいんだよ」
今は睦月つまり1月だ日の本の国はこの季節に嵐はない。
どういうことだ?
「この季節は嵐が無いはずでは?」
「魔物が魔力で嵐を起こしてるんだよ!おかけで日の本の国と貿易できねぇんだよ!」
なるほど魔物がいるのか…ならやることは一つだな。
「あの…ヤマトもしかしてヤバいこと考えてない?」
お願いします!
あれだけは言わないで!
「正解」
やっぱり~!
やると思ってたよ~!
「船を出してくれ俺がその魔物を倒す」
「冗談じゃねぇ!船と同じデカさだぞ!どこの馬の骨ともわからない奴のために船を出せるか!」
「どこの馬の骨ですってフナムシ自分が何を言っているのかわかっているの?」
ツクヨ頼むからキレんなよ絶対キレんなよ…マジだからな!
「我がマスターの名はヤマト!ギルドランク序列一位のヤマト・ツキカゲよ!」
キレていないが声がデカい!
周りに注目されただろうか!
「あの月下の帝王だと…よし!わかった野郎ども日の本の国に出航だ!この小僧が航路を切り開いてくれるぞ!」
「本当か…」
「俺テレビで見た。本物だ!」
「マジかよ!」
「ありがとよ!」
「頼んだぞ!」
おいおい、まさかこのあたりで騒いでいる数十人の船長全員が日の本の国に行こうとしてたのかよ!
けっこう客もいるぞ!
「派手にやらかしてくれたな」
「だってヤマトがけなされたから…」
うわーっスゴいな…ヤマトの名を聞いただけでさっきまで落ち込んでいた人が元気になっている。
いつか私もこんな風になりたい!
「船長、あんたの船に乗せてくれ」
「頼んだぞ!俺の名はプルース・トラベシアだ!」
「よろしくなプルース」
ヤマトとプルースは握手を交わした。
その後十三隻の船が港をたった。
そして約一時間後、
「…おえーっ!!」
「大丈夫か?海に吐けよ」
ティナが酔っていた。
「大丈夫で…おえーっ!!…す」
「汚いわね!ゴミ戻してんじゃないわ…おえーっ!!」
「お前が言えたことか!昔と全然変わってないな!」
そしてツクヨも酔っていた。
ツクヨは昔から船酔いしやすい。
「ヤマト、何とかして~」
うーん何とかって言ってもな…あっそうだ!
「感覚調整!」
「あれ?酔いが治った!」
でもまだ気分が悪い。
「三半規管を調整した」
感覚調整、感覚を調整する無属性魔法。
おもに感覚を相手に操作された時に使う。
「マスター私も…これじゃ魔法…おえーっ!!…使えない」
「お前はしばらく酔ってろ。人を虫呼ばわりした罰だ!」
「そ、そんな~…おえーっ!!」
それにしても吐きすぎだぞ。
「ヤマトさん、焼き魚でいいですか?」
そういえばもう昼だな。
「こっちで調達しますから大丈夫です!」
「そうですか!…え!?調達?」
「今かなりのスピードで動かしてますよ!さすがに釣りは無理ですよ!」
船員が警告してきた。
この船には船員が十四名ほどいる。
客は俺らだけ魔物と戦うためこの船に一般人はいない。
「釣りじゃないんだよな…大地の壁!」
大地の壁、壁を出現させる土属性魔物。
盾などの防御に使うなお海では使えないなんせ土が無いからだ。
だがヤマトがやれば話は変わる。
「海底の土で大地の壁を作りやがった…」
そして、ヤマトは大地の壁の上に降り立った。
「大量大量!さて、これとこれとこれだな。ティナ!受け取れ!」
えーっ!受け取れってもしかして魚を!
「ちょっと待ってください!」
「待ったなし!」
「嘘でしょー!」
五匹の魚が私の頭の上に降ってきた。
「ふーっ何とか飛んで取れた」
ティナは飛翔を使い魚をキャッチした。
「翼が生えた!?」
船員全員が驚いた。
「そいつ魔族だから」
「魔族だとー!」
「安全性は保証する」
残りの魚は海に戻すか。
ヤマトは船に戻った。
「これ全部使うんか?それと私は物じゃないです!」
じゃじゃ馬なことは確かだ。
「もちろん」
何か鎧をまとっている魚いるけどさばけるの?
「もう一つのことは無視ですか!」
「海は私の目と同じ水色綺麗だな~」
ゲロを吐きすぎてツクヨがおかしくなっている。
そろそろ感覚調整をかけるか。
「あら、豚さんは貨物室にいなきゃいけませんよ」
酔いが覚めて早々に悪口言うな!
「豚さんって私のことですか!」
「それ以外どこにいるんですか?」
「ヤマト、お願いします」
「おう、ツクヨもう少し酔ってろ。感覚調整解除」
ヤマトは指を鳴らして感覚調整を解除した。
かけた魔法は指を鳴らしたりして解除することができる。
理由は無属性魔法解除という魔法を解除する魔法を空気中に広げるためだ。
なお、自分が使用した魔法しか解除できないので要注意。
「すみません…もう言いませんから…おえーっ!!」
「絶対すんなよ…」
俺は再び感覚調整をかけた。
「ありがとうございます」
「おい!ヤマトさん、それってアダマンフィッシュじゃねぇか!」
船長がヤマトが釣り上げた(?)鎧をまとっている魚を指差した。
「もしかしてアダマンタイトみたいに堅いからアダマンフィッシュって名が付いたんですか?」
「そうだが、アダマンタイト以下ダイヤモンド以上の硬さだ」
「なら、ダイヤモンドフィッシュで良いんじゃないですか?」
「そうだな」
アダマンフィッシュはその硬さで攻撃したり繁殖期に体をぶつけ合い雌を取り合う。
身はプリプリで旨い。
なお防具の素材になるがたいして堅くならない組織が死んで使い物にならなくなるからだ。
「どうやってさばくんだ?ダイヤモンド以上の硬さだぞ」
船員の一人が質問する。
「アダマンタイト製の刃物でさばけば良い」
「アダマンタイト製の刃物!?そんなのどうやって作った!」
今度は別の船員が質問した。
「ダイヤモンドと同じだアダマンタイトでアダマンタイトを削った」
「なるほど…」
「そうだこの鎧と剣とナイフ、ティナが使え」
「もしかしてこれ全部…」
「アダマンタイト製だ」
えーっ!無理無理!
そんな高いの受け取れないよ!
「お返しします!」
「大会の賞品で作った」
「なら良いや」
良いんかい!
「さてと、刺身にでもするか」
ヤマトは全ての魚をさばいて刺身にした。
「旨そう…」
「船員の皆さんもどうぞ!まだたくさんあるので!」
そう言ってヤマトは収納箱から三匹魚を出した。
「何で五匹投げたんですか?」
「八匹も魚は入れたくない。臭くなる」
「そうですか…」
うん、この切り身は取っておくか。
その後、船は日の本の国付近の海域に到着した。
なんやかやで一週間あたりで着いた。
だがそこは嵐で海が荒れている。
ヤマト達の船はその境界で止まっている。
「嵐だな」
「ごらんの有様だ。この嵐で全く船が進まないし進んでも魔物に船を沈ませられる」
「魔物ってどんな奴だ?」
「見た目は魚だ。だが蛇のような感じだ」
「海蛇じゃないですか?」
ティナの言うとおり海蛇系の魔物だろうな。
「海蛇知ってんだな」
「図鑑で知りました!」
よ!箱入り娘!
「マスター、どうやって進めるの?」
「…さあ?」
「さあって何も考えてないの!」
「自慢じゃないが倒すことしか考えてなかった!」
「自慢すんなー!」
ヤマトがボケた!
そしてツクヨさんが突っ込んだ!
「荒れた海なら俺ら船乗りの出番だ!あんたは魔物を倒すことに集中してくれ!行くぞ野郎ども!」
「あいあいさー!」
「他の船は待たせておけ!船を進ませろ!」
プルースが号令をかけて船員が船を進ませた。
「一瞬でまとめましたね」
「たまにいるんだ。ああいうカリスマ性を持っている奴が…船長、あんた元海兵か?」
「とある国の元海軍総司令官だ!」
うわ…すんげぇ答え返ってきた。
「船長!前方に竜巻出現しました!」
「進路を右に変えろ!」
プルースが操舵手に命令した。
「了解!面舵いっぱーい!」
一方、ヤマト達は、
「さてとこっちも準備するぞ」
「トラップ、仕掛けるんですか?」
「バカね。釣るのよ」
ツクヨが珍しく虫呼ばわりしてない。
「釣るって船よりデカい魔物を!?」
「少し細工をした釣り竿でな」
でた!ヤマトの少しじゃない少しが絶対ヤバい仕掛け作る気だ!
「ツクヨ、取っておいた切り身持ってこい」
「了解、マスター」
その後ヤマトは切り身を魔糸で固定して何かの魔具にその魔糸を繋げた。
うん…腐ってるな。
「これなんだと思う?」
「どんな魔物でも一撃で倒す兵器」
違うなでもあったら欲しいな。
「俺特製ビリビリ釣り竿」
「ビリビリ?」
「雷属性の魔力を込めた魔石を複数セットしてありそれによりおよそ20万ボルトの電流がこの魔糸に流れる」
「それって私達も被害をくらうんじゃ」
「剣から火球を出す方法は?」
「そんなの剣を媒介として…なるほどそういうことですか!」
「そういうことだ」
この俺特製ビリビリ釣り竿は魔糸を媒介として魔力を切り身に送りそこで20万ボルトの電流を作り出す。
シンプルにして安全そして超ヤバい釣り竿だ。
「でも、他の魚が食らいついたらどうするんですか?」
「他の魚はいない」
「どうして?」
「全部その魔物に食べられているからよ」
あ~なるほど!
「食いしん坊何ですね!」
「違うな何でも食べる化け物だ。だから絶対船から落ちんなよ」
「決して落ちる気はありません!」
ならよろしい!
「ツクヨ!特大に切り身を放り投げろ!」
「承知しました!」
ツクヨが切り身を放り投げた。
そしてすぐに、
「かかった!」
「はや!」
「電流発射!」
切り身に電流が流れて食らいついていた魔物が姿を現した。
「プルース船長…この船と同じ大きさじゃなかったのですか…三倍はありますよ!」
現れた魔物はこの船の約三倍ほどの大きさだった。
間違いない。
「リヴァイアサンの親戚、ストームサーペント!」
「リヴァイアサン!の親戚だと?!」
「またの名を海嵐の王」
「これ倒せるんですか…」
「そんなのやってみなきゃわからん!とにかくやるぞ!」
「嘘でしょー!」
さあ、楽しい釣りの始まりだ!
親子でも楽しめるストームサーペント釣りスタートです!
※良い親子は真似しないでね!
そもそもこんな奴現実にはいませんけど!
それではまた次回の話で!