百七十二話 死の塊
条件さえ整えれば夜真砥にさえ越える可能性のあるリアムが無双する話です。
それとユニークスキル発動させます。
リアムの戦闘スタイルは多種多様である。
それは彼らを構成する魂の中に多くの武人が居るからだ。
正確に数えたことはないがリアムが死亡以前にあった戦法は決して欠けずに入っているだろう。
また、下界に再び降り立った以降にも身に付けた戦法はある。
そしてリアムの構成物質は人とは違って、魔力の性質を帯びた魂のため自らの意思で武器を生成することができる。
そのため、
「ほ~れ剣が折れちまったぞ~」
「安心しろ。まだ楽しめる。次は槍だな」
「はぁ!?反則だろそれ!」
例え相手が武器破壊を主力とする戦法を行っても対応ができる。
槍に切り替えるとリアムは寄生虫の体力を削るように間髪入れずに突いていく。
更に寄生虫がよろけるのなら、槍を振り上げて叩きつける。
そもそも槍は『突き』よりも『叩く』の方が威力は大きい。
故に床に大きな穴が空き、遂に命の危険を感じたのか寄生虫は閃光を放って逃亡する。
(盾なら幾らでも呼べる!そのうちに逃げて、主人の元に!)
だが寄生虫は前に進めなかった。
振り向いた瞬間に腕を捕まれていたのだ。
「ふざけるな!目は潰した筈だ!普通なら超面白く悶え苦しむだろ!」
「我々は命を見ることができる!例え五感の全てが使えなくても貴殿のどす黒い魂等、どこに逃げ込もうがわかるぞ!」
リアムは寄生虫を全力で壁に何度も何度も叩きつける。
寄生虫の命が絶えるよりも先に壁が砕け散り、寄生虫は向こうの部屋に放り出された。
(ヤバいヤバいヤバい!!殺される殺される!!あれは人じゃない!別の何かだ!こんなの相手してるのがバカらしい!逃げろ…とにかくこの場から逃げろ!)
「能無し共!!僕を守れ!」
寄生虫の号令と共にこの階層に潜んでいたホムンクルスが続々とリアムに襲いかかる。
普通なら自爆して、多少の足止めはできるがリアムはホムンクルスを全て自爆直前で斬り伏せて近づいてくる。
「来るな来るな来るな来るな!!ホムンクルスでも生きているんだぞ!何故、躊躇わない!どうしてお前は無表情でそんなことができるんだ!」
「…ならば逆に問おう。拒絶するが仕方なく人を斬り伏せる時、貴殿はどの様な表情をする?笑うか?慟哭するか?それとも恐怖するか?」
「そんなの拒絶せずに快楽を得ながら斬り伏せるさ!だから聞いてんだよ俺は!テメェは無表情で斬り伏せる。それがつまんねぇんだよ!もっと楽しめよ」
「…なるほど、やはり根幹から貴殿と我々は違っているのだな」
リアムは再び嘲笑する寄生虫に一片の救いがないと感じたのか槍を消した。
そして外殻、つまりは鎧を消して内部、つまりは肉体までも消して文字通り霧になる
それは異様な光景、意識を持つどす黒い霧の塊が寄生虫の前に漂う。
さながら寄生虫はリアムに補食されそうに見えるだろう。
寄生虫は自分のことを真の怪物だと信じてきたが井の中の蛙大海を知るとはまさにこの事を言うのだろう。
リアム・アレン、その真の姿を見た天使達は彼らのことを哀れんでこう呼んだ『運命に嫌われた悲しき怪物達』と。
「…我々はリアム・アレン、下界にて生きとし生ける全ての命を見守る者!そして汝らの循環に羨望し慟哭する者!羨望者よ怒れ!慟哭者よ嘆け!理より自ら足を踏み外し者よ!汝の穢れし魂に裁きを下す!ユニークスキル虚無への扇動者!!スキル我は貴女の騎士なり発動!!」
虚無への扇動者とはリアムが生前に保持していたユニークスキル扇動者が変異したユニークスキルで、本来の能力は『軍団単位での仲間の能力強化』や『正確に目的地へと導ける』ユニークスキルとなっている。
しかし、長年に渡って地獄の瘴気や天国の神聖を浴びてきた彼らの体内でこのユニークスキルはそのどちらも否定する虚無へと変貌した。
このユニークスキルを一言で説明すると倒した敵を任意で虚無の狭間という一種の消滅系異空間に追放する能力である。
他にも本来の『軍団単位での仲間の能力強化』を自身のみにすることで大幅に強化がある。
そしてもう一つの我は貴女の騎士なりは神がリアムに下界に降り立った際に授けたスキルだ。
これはスキルではなく、ただの誓いのようなものである。
愛する人を護るためなら決して折れることを知らない不屈の誓い。
胸に刻みし誓いは『騎士として貴女を守るのではなく愛する人として貴女を守る』というあまりにも遅すぎた誓いである…。
そして騎士は霧状ではあるが再び姿を現す。
あの日の後悔を胸に抱き愛する人を守れなかった無力な怪物は咆哮を上げた。
「誇り高き命を弄んだ魂に居場所は不要!概念すらなき虚無の狭間なに消え去れるがよい!」
リアムの肉体?をより詳しく説明すると霧なのでどの様な姿にもなることができます。
まあ、不定形ということですね。
条件はイメージがちゃんとできるかです。
そして騎士の格好をしているの生前の姿を模しており、同時にイメージが固定されているからです。
それではまた次の話で!