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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第八章 悪魔が住みし禁忌領域
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百六十三話 流水と濃霧

てなわけで朧と雫のみの話。

なお、ガンマ戦で雫と朧の出番はこれだけです。

 雫と朧がガンマとの戦闘に参加しないのには大きな理由がある。

 それは唯一のこの部屋の出入り口からガンマと支援をするために来る元人の化け物を全て斬る役割だ。

 元は人、けど今はもう人ではない。

 速やかに天国に送るため二人は慈悲を一切、与えずに斬り伏せる。


「朧、まだ行ける?」


「余裕、雫こそへばってきたんじゃない?」


「こっちも余裕。…この刀の御陰」


「同じく」


 二人が今、握っている刀は夜真砥が国際ギルドの自分の工房でほぼ徹夜で作り上げた名刀だ。

 まずは雫の刀から能力等を説明する。

 名は薄氷(はくひょう)、雫の『竜の鱗の隙間にすら刃を通せる刀がほしい』という要望に応えた結果がこの超薄い刃を持つ刀である。

 しかし、耐久性能もあり、刃に純度百パーセントのアダマンタイトを使用しているためよっぽどの使い方をしなければ折れない。

 鍔や柄は材質が良い木を使っているだけだ。

 また、水属性を付与することにより滑るように隙間に入れることも可能だ。

 次の朧が使っている刀の名は虚空(こくう)、朧の『あれ再現して』という要望に全力で応えた一振りだ。

 朧の『あれ』とは百姫の時に愛用していた刀のことである。

 この何千年も前に実在して、一度は刃を交わした刀を再現しろっと言うのだから国際ギルドでの夜真砥の時間はほとんどこれに使われたと言ってもいい。

 そして振るえば振るうほど切れ味が上がる常人が使えば刀に喰われると噂されていた名刀、虚空(こくう)の再現に成功した。

 なお、夜真砥の少しばかりの優しさなのか魔力制御(まりょくせいぎょ)が付与されている。

 これで暴走しても自分の意思で止められるので安心だ。


「でさ後、何体来ると思う?」


「斬りながら訊く?まだまだ」


「だよね。気の塊がどんどん押し寄せてくるよ。でも、そろそろ魔力を回復させたいから雫、お願い」


「…うん」


 朧に何をお願いされたのかわからなかったのか雫は間を空けて返事をした。

 お願いされたことは出入り口を凍結させて、一時的ではあるが敵の侵入を妨げることである。

 雫はお願いされた通りに凍龍門(とうりゅうもん)を放って、出入り口を凍結させた。


「さてと魔力も回復させたことだし、再開するよ!…どうしたの雫?」


「…今まで斬ってきたのは元は人だった。私がしてることは正しいのかな?」


「…正しいとか正しくないとかそんなのでは判断できない。けどこれだけは言える彼らはもう人には戻れない。心まで人ではなくなったらそれはもう、本当の人じゃないよ。だからあたしは何も考えずに斬っている。天地開闢(てんちかいびゃく)!!」


 朧は立ち上がると速攻で天地開闢(てんちかいびゃく)を放って、向こう側に居る敵ごと空間を斬り裂いた。

 かつて同族殺しをしてきたその刀はあまりにもか弱く、いつ折れるかわからないほど華奢であった。

 だが自分に背中を預けてくれた信用できる相棒と言えるほどの彼が居たお陰で彼女は迷わなかった。

 誰かの命を絶つことはその人の運命を絶つのと同義である。

 戦場という死と生が交差しあう場所で彼女は命を考えながら刀を振るう。

 仕方ないから斬ったのではない。

 斬らなければならないから斬ったのだ。

 命を絶たなければ自分が死んでしまう。

 だから斬ってきた。

 命を絶たなければ泰平の世は来ない。

 だから斬ってきた。

 そんな激動の時代を駆け抜けてきて、今を生きる少女の背中は今の時代を生きる少女にはどのように見えただろうか。

 憧れそれとも尊敬か?

 いや、何も抱かないだろう。

 少女は何も返さずに再び刀を握った。

 相手の命を自分達のために絶つために。



ということで力戦奮闘しているソフィアさんの方に戻ります!

いつものように時間をかっ飛ばして魔法発動させちゃいます!

それではまた次の話で!

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