百五十七話 優しい人
南組です!
南組は血生臭いことはほとんどありません。
多分(´-ω-`)
南組はリリムの案内で島の中央近くまでやってきた。
西組、東組、北組よりも距離は近い方だ。
ここに来るまでは他の方角と違ってキメラや廃れた村、奇妙な建物などは一切なく普通の小動物が森林を走り回っているだけだった。
はっきり言ってこの島では異常である。
そして四人は洞窟の前に居る。
しかし、その洞窟には鉄の門があった。
「この島、まだ人が住んでいるのかい!?」
「…避難所じゃないですか?」
「違う。この島で一番、信用できる人が住んでる場所」
リリムは門に魔法陣を描いた。
どうやら特定の魔法陣を描いたら門が開く仕組みらしい。
(何年ぶりかな?あの人は儂と同じホムンクルスだから今でも元気にやっていると思うけど)
四人は洞窟の奥へと進んでいく。
何度も別れ道に出会したり、来た道を戻ったり特定の行動をすると新たな道が現れたりとダンジョンのような造りの洞窟であった。
いや、洞窟に見せかけたダンジョンなのかもしれない。
「着いたぞ」
ただの大広間なんだけど?
まだ道は続いてるけど進まないのかな?
大広間に着くとリリムさんは床に大きく魔法陣を描きだした。
何の魔法なんだろう?
「やっぱり」
「気づいたようじゃなヒルデ」
「うん、ここまでの動き何か見覚えあるなって思ってたらこれって師匠が寝るとたまにする動きだよね?」
「そうじゃ。今から会う者が儂の深層に魔法で植え付けたここに入るためのルートじゃよ。それが緩んでそうなったようじゃな。…こっちに近寄れ。巻き込まれるぞ」
巻き込まれるって何に?
私はリリムさんに言われた通りにリリムさんの方に近づいた。
すると洞窟が大きく揺れて壁や床、天井が動き出した。
「何なのこれ!?」
「大規模な空間構成魔法!?こんなのほぼ迷宮作成よ!」
迷宮作成、その名の通り、ダンジョンを創るための魔法だ。
そのほとんどが自然に起こるものだが人工的にも起こすことができる。
だが迷宮作成を一度でも発動させたダンジョンは二度と迷宮作成を発動させることはできない。
迷宮編集ならダンジョン構造を変更することは可能だがこれほど大規模には行えない。
だから月夜は驚いているのだ。
「別にただ道を開けただけじゃ」
「道って…。構造が変わっている」
動きが終わると四人の後ろに壁が現れ天井は低くなり、壁との隙間はそれほどなく直進の通路が現れた。
三人は戸惑いながらリリムの後をついて行く。
そして扉を通って通路を抜けると目の前に、
「外に出たの?」
野原が現れた。
そして小高い丘に大きな屋敷が建っている。
「室内だよ。空間がねじ曲がって屋外並の広さになってるんだ。ティナちゃん、空を見てみ」
「…うわーっ、綺麗な夜空」
見上げると綺麗な星空が広がっていた。
まるで真っ黒な画板に様々な色の粉をバラまいたような綺麗で溜め息が出るほど美しい星空だ。
「あれ?でも今って昼間だよね?」
「そうだね。師匠、あの夜空は何?」
「幻術らしいぞ。『詳しいことは美しいレディになってから』とか意味がわからんことを言ってな。入るぞ。敵じゃないから安心しろ」
今から会う人はリリムさんとどんな関係なのだろう?
…両親、でもリリムさんは不老不死で死なないから両親が生きてることはない。
じゃあ、ホムンクルスの両親?
いたいどんな人なのだろう?
「おやおや、騒がしいと思っていたら何だいリリム、ここは君が帰ってくるような場所じゃないよ」
普通の男の人?
でも、女の人の声だ。
…というか何故だが不気味な雰囲気が漂っている。
「…その三人は友達かい?」
「弟子と別の弟子の弟子とその別の弟子と契約している精霊」
「おお、何か説明しずらそうだね」
「三人共、紹介するぞ。この人はアルファ、儂の育ての親で儂と同じホムンクルス」
「どうも~。アルファさんで~す」
リリムさんの育ての親!?
てなわけでリリムの育ての親、アルファ登場!
それではまた次の話で!