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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第二章 チートキャラは王都魔法闘技会に出場してください!
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16話 最凶VS絆

 今回は新たな登場人物が出てきます!

 決勝戦なのに新しい登場人物?と疑問に思うと思いますがそこはようファンタジーである奴です!

 フラグ回収ですよ!

 ヤマトは切り札である陰の人形劇(シャドウマリオネット)を発動させた。

 だがジュダは攻略法を数分ほどで解明してしまう。


「なるほどな!お主は自分自身を操る!故に操作を解除して自分で攻撃と防御が行えるのか!」


「考え事とは余裕だな!合技三位一体砲トリニティーファイヤー!」


「この行動がその証拠だ!合技三位一体砲トリニティーファイヤー!」


 ジュダは先ほどと同様に同じ魔法をぶつけて対処しようとした。


「何!?」


「おっと!ジュダ選手の三位一体砲トリニティーファイヤーが突如、何もない明後日の方角に飛んでいった!この大一番でミスか!?」


 ミスではない俺がしくんだことだ。


「グハッ!」


「そしてヤマト選手の三位一体砲トリニティーファイヤーが命中したあぁぁぁ!!」


(属性が二つだけじゃと?まさかあのクソガキ!)


「小僧!三位一体砲トリニティーファイヤーの応用を意図も簡単に扱えるのか!」


「それぐらい容易い」


 三位一体砲トリニティーファイヤーは三つの属性を同時に撃つものだと思われているが実際は違う。

 魔法陣の起動を少し遅らせるとバラバラに撃つことができる。

 そのためヤマトは風属性魔法の砲撃でジュダの三位一体砲トリニティーファイヤーの軌道をずらす。

 その後どんな属性でもいいから素早く残りの二発を撃って攻撃を当てたのだ。


「今の攻撃で陰の人形劇(シャドウマリオネット)の攻略法がわかったぞ」


 ジュダは不適な笑みを浮かべて剣を振るった。

 だが今度は剣筋を変えて一振りでの二度の攻撃を浴びせた。


「今度は当たった!そしてジュダ選手の猛攻が始まった!!」


 ヤバい押される!


「防御による極度の疲労!これに自動防御に体が追い付けてないからだ!つまり、儂が連続で攻撃を仕掛ければお主はやがて疲れ果てて、この魔法の能力は発動しなくなる!」


 確かに俺が疲労困憊に陥ったら、この魔法の意味はなくなる。

 そろそろ準備が完了してると思うんだけどなぁ。


「ヤマト選手、壁際に吹き飛ばされたあぁぁ!!」


 ジュダの猛攻を受けてヤマトは壁に吹き飛ばされた。

 だがすぐ立ち上がりジュダに剣を振るうが避けられる。


「もう終わりか小僧!」


陰の人形劇(シャドウマリオネット)解除」


「ヤマト選手、魔法を解除した!いったい何の目的が!?」


 魔法を解除したヤマトはフィールドの中央へと歩いていく。

 そして剣を地面に突き刺して溜め息を溢した。


「降参か?」


「この目が勝負を諦めた奴の目に見えるか?…さて、そろそろ準備も終えた頃だし終わらせるとしますか!!魔法陣起動!」


 満月の光で照らされた闘技場に突如として魔法陣が出現した。

 術式も大きさもバラバラな魔法陣が闘技場を覆い尽くす。

 その様子はまるで継ぎ接ぎのパッチワークのようである。


「何なんだ!この魔法陣の数は!」


「一つの魔法陣に何重も魔法を編み込んでおるな。大魔法でも使うのか?」


 実況と観客が驚く中で対戦相手のジュダだけは平然としている。

 いや、冷静に状況を判断して打開策を講じているの方が正しいだろう。


(このような魔法陣は見たことない…。仮にこれが大魔法だとしても発動される前に爆発する。結界でも張り防げばいいが、当の術者は防ぐことはできないだろう。正気の沙汰ではないな)


「我が一族と盟約を結びし友よ!我が前に再び現れて我と共に戦いたまえ!」


(詠唱を始めた!?)


 ヤマトの詠唱に合わせて魔法陣が回転を始める。

 回転を始めた魔法陣は中方へと集まり一つの巨大な魔法陣を作り上げた。

 そして闘技場の上空にも先ほどまでにはなかった巨大な三つの魔法陣が出現した。


「皆さん上空をご覧ください!巨大な魔法陣が三つあります!」


「この巨大な魔法陣の発動に時間がかかる。しかし、そんな時間は小奴には…まさか!陰の人形劇(シャドウマリオネット)を発動させた時にか!」


 ジュダの予想通りこの四つの巨大な魔法陣は陰の人形劇(シャドウマリオネット)を発動させた時に仕掛けたものだ。


「汝は太陽を飲み込み世界に闇を広げ夜の世界へと我らを誘う者!然れど汝は優しき月の化身!この世に平和な夜を齎す者!汝は星より美しく輝き闇夜に光を落とす!それ即ち我と対極をなさん!汝は月の従者!我は太陽の僕!」


(そしてこの明らかに誰かをしたう詠唱はおそらく!)


「クソガキ!超上位精霊か召喚獣を召喚する気か!上手くいくと思うな!」


 ジュダは詠唱中のヤマトに襲いかかる。

 けれども!


「結界じゃと!」


 魔法陣が張った結界に阻まれた!

 そして上空の魔法陣がより輝きを増して空気中の魔力、マナを地面の巨大な魔法陣へと送り始めた。

 その影響でマナの竜巻が魔法陣を突き抜けるように出現した!


「それ故に汝の月の加護を我に与えよ!さすれば我は共に汝と戦場で舞おう!これは我が一族との悠久の誓い!我は汝が盟友と認めし一族の末裔!血の契約ここにあり!故に月と星々の加護と輝きを担いて再び顕現せよ!精霊剣天月夜剣(あめのつくよのつるぎ)!!いい加減、機嫌治せ!反抗期にしては長過ぎなんだよ!!」 


 ヤマトが誰かへの怒りを露にして剣を引き抜く。

 そして真上に掲げるとフィールドに散っていた魔法陣が下から上へいくほど大きくなるようにヤマトの真上に一直線上に並んだ。

 剣先を中心としてマナが収束していき閃光を放ち終えると魔法陣は消えていた。


「うるさいわね。マスターも同じようなもんでしょ!!まあ、お互い様ね。久しぶりマスター」


 ヤマト以外の全員が声が響いてきた方を向いた。

 声の主は闘技場の上空、先ほどまで巨大な魔法陣が展開されていた場所で十三歳ぐらいの少女が浮かんでいた。

 その少女は装飾を施して、下部がスカート型になった着物を着用している。

 夜のような美しい長い黒髪を携えており、銀色の光を放つ双剣を持っている。

 こう見ても約二千年の歳月を経験している精霊、与えられた名前はツクヨである。


「久しぶりツクヨ」 


「あれが精霊…でも精霊剣って言ってなかったっけ?」


 ティナが疑問に思うのも無理はない。

 何故なら、この精霊はかなり特殊な精霊だからだ。


「精霊の上位ランクの一つ精霊剣じゃと!」


 精霊剣は精霊が剣に加護を与えたもの、または精霊が作ったものがそれに部類される。

 だが天月夜剣(あめのつくよのつるぎ)は精霊と剣の両方の姿を出現できる。

 要するに上記二つのケースに該当しないイレギュラーな精霊なのだ。


「それより何なのよ昼のガラクタ達は!」


 昼のガラクタというのはシエラが召喚した十字軍(クルセーダー)のことである。

 あの時出した暗黒空間(ダークルーム)はツクヨの召喚魔法陣に繋がっていたのである。


「色々とあったんだよ。…出てきてくれてありがとうな」


「約束だからね…。で、あの虫けらが今回の相手?」


 ツクヨは今の状況を訊きながら下に降りてきた。


「前にも言ったが人を虫けら呼ばわりするな」


「じゃあゴミ虫」


「それもダメだ」


「それじゃあこの星が産んだ産業廃棄物」


「更に悪化してるわ」


「まあ、ヤマトが戦えって言うなら戦うわ」


 相変わらずだ三年前と全く変わってない。

 いつも俺のことを心配するおせっかいな精霊。

 そしてたまにサディストな一面を出す頼もしい相棒だ。


「…ブランクなんて見せないでね!」


「誰に言ってんだ!お前こそ途中で根を上げるなよ」


 ツクヨは光の粒子になり剣に姿を変えた。


「すごく美しい剣…」


 天月夜剣(あめのつくよのつるぎ)、鞘の色は漆黒で星を連想するような装飾が施されている、まるで美しい夜空のように。

 また、持ち手には何かの紋章が掘られている。

 そして刃は月光のように光輝いている。

 最大の特徴は精霊として現れることができること。

 更には属性付与や魔法の媒介すら可能としている。

 ツキカゲ一族のみ扱うことを許された剣だ。


「で、いつまで勿体振るの?遠慮なく使えば?」


「こういうのは一気にお披露目するもんじゃないんだよ。…先天性スキル魔眼(まがん)発動」



「来たああぁぁぁぁぁぁ!!太陽が昇ったあぁぁ!!」


 ヤマトの以前の二つ名漆黒の太陽(しっこくのたいよう)、そう呼ばれるようになった由縁がこの黄金に輝く魔眼である。

 何も目視できぬ闇夜の中に燦然と輝く一輪の太陽、漆黒の太陽(しっこくのたいよう)とはこの魔眼のことだ。


「行くぞジュダ!」


「ハッハッハ!面白くなってきたわい!死ねやクソガキ!」


 ジュダが勢いよくヤマトの前に飛び出す。

 けれどもヤマトは一瞬にして姿を消した。

 そして高速で剣戟を浴びせていき再び目の前に現れた。


(先ほどとは動きが段違い!防御すらままならないか!)


「…合技三位一体砲トリニティーファイヤー!」


「ジュダ選手、至近距離からの魔法!これは避けられない!」


「ツクヨ!」


「委細承知!」


 ツクヨは素早く剣から精霊へと姿を変えて魔法の前に立ちはだかる。

 そして腰に携えている剣を一本引き抜いて魔法名を言う。

 

魔法消滅(マジックロスト)!」


「魔法が消えた!?どうなってんだあぁぁ!」


 この魔法は名前の通り魔法を消滅させる魔法だ。


「今度は俺だ!戻れツクヨ!忍法分身の術(ぶんしんのじゅつ)!」


「ヤマト選手が増えたー!」


 分身の術(ぶんしんのじゅつ)、忍法と言っているが歴とした無属性魔法である。

 端的に説明すると実体のない分身を複数出して相手を困惑させる幻影魔法だ。

 その実体のない分身をヤマトは現在十二体出している。


(どれが本物じゃ)


 ヤマトの分身が剣を構えて襲いかかる。

 だが全てジュダの体を抜けていく。

 ジュダは気配を感じて突如上を向いた。


「上か!」


 自分の目線の位置で分身に攻撃されたら必ず目線の位置で本体を探す。

 けれども、その時一カ所だけ死角が形成される。

 それは頭上、死角からの絶好の攻撃ポイントだ。。


「これも分身体じゃと!」


 だがヤマトはあえて分身に頭上から攻撃させていた。

 なら本体のヤマトは何処から攻撃してくるのか。

 そんなの決まっている地上、そして相手のの目線の位置で機を伺っていた。

 ヤマトは一直線に剣を投擲した。

 投げたのは天月夜剣(あめのつくよのつるぎ)、つまりはツクヨを投げたのだ。


「馬鹿かお前は!」


「残念だが馬鹿はお前だ!やれツクヨ!」


「削ぎ落とします!」


 ジュダの背中を 通り過ぎるとツクヨは精霊に戻る。

 そして即座にジュダの首に斬りかかった。


「させるか!」


 だがジュダは寸前のところで阻止した。

 しかし、己の本当の敵は攻撃の手を止めてくれない。

 ヤマトは氷花水月(ひょうかすいげつ)に持ち替えてジュダの背中に斬りかかるがそれを別の剣で防がれた。


「剣技氷牙(ひょうが)!」


 氷花水月(ひょうかすいげつ)が更に氷を纏い鋭さを増してジュダの剣を折る。

 だが肌に接触する寸前で避けられてツクヨに攻撃を当てさせようとする。

 けれどもヤマトは攻撃を中断して後方に退く。

 同様にツクヨもヤマトの元に戻った。


「…二人で攻めてもまだ手応え無いのでお返しします」


 そう言ってツクヨはヤマトの背中に触った。


「こんなに取られていたのか」


「約四分の三奪ってました」


 返したのはヤマトの力、三年前にヤマトから奪ったものだ。

 ツクヨは三年前の去り際にヤマトから魔力を奪っていた。

 それはヤマトを守るための賢明な反抗、ツクヨなりの反省の機会へと促すための説教である。


「次こそガチで取りに行くぞ」


「…あまり威勢を張るな」


「ツクヨ、一分稼げるか?」


「そんなの余裕よ」


「じゃあ頼んだぞ!」


 そう言ってヤマトは壁際まで下がる。

 そして再び魔法陣を展開した。


「精霊一匹が儂に勝てると思っているのか?」


「すみません、ゴキブリの言葉わからないので普通に話してくれますか?あっやっぱりいいわ。あなたが話してると大気が汚れそうだから」


「…精霊如きが調子に乗るな!!」


 ジュダは綺麗かつ俊敏にツクヨの喉元に剣を振るう。

 だがツクヨはそれを嘲笑いながら優雅に回避した。


「この攻撃を交わしたじゃと!」


「剣技血吹雪の舞(ちふぶきのまい)!!」


 血吹雪の舞(ちふぶきのまい)、回避を交えつつ絶え間なく斬りつけて裂傷を増やす。

 単純に少量のダメージを連続で稼ぐ剣技である。

 そして攻撃速度が異常なためか出血に時間を要する。

 つまり、刹那が与える静寂の死(サイレントデス)の原点だ。


「グウッ!クソ精霊があぁぁ!!」


「あら、よく吠えるゴキブリだこと…。ゴキブリは吠えないわね…。豚さんにしましょう!さあ、豚さんもっとブヒブヒ鳴いてください」 


「死ねやぁぁ!」


 ジュダが大剣に持ち替えてツクヨに斬るかかる。

 だがツクヨはまたもや嘲笑いながら優雅に交わし、先ほど同様に血吹雪の舞(ちふぶきのまい)を浴びせた。


「ジュダ選手があのジュダ選手が一方的にやられています!これが大精霊の力なのか!?」


「もういいぞツクヨ下がれ!」


「承知!」


 ヤマトの元に下がったツクヨは剣に戻った。


(魔法陣!また何か召喚するのか!)


「月夜の晩に孤独な狼は夜空に復讐を誓い咆哮を上げる!今宵こそ悲願の時なり!天を仰ぎて咆哮を放ち眼前の敵に喰らいつけ!合技紫電一閃餓狼砲攻しでんいっせんがろうほうこう!これで終わりだあああぁぁぁぁぁ!!」


 ヤマトが鞘に閉まった天月夜剣(あめのつくよのつるぎ)を引き抜いた。

 すると刃からジュダに向かって復讐に身を捧げた雷を引き連れる黒狼のような光線が一直線放たれた。


 紫電一閃餓狼砲攻しでんいっせんがろうほうこう、闇属性魔法陣、そしてほんの少し雷属性魔法陣も展開する。

 そして凝縮した魔力を剣に付与して即座に振り、実体化した光線に相手の肉を食らわす。

 剣技であり大魔法、闇属性魔法であり、その攻撃は止まるまで防御壁さえも食らうので防ぐ手段は皆無に等しい。

 ジュダは迷うことなく防御に転じたが威力は低下せず直撃した。

 だが電気を撒き散らす黒煙の中からジュダは鋭い眼光を保ちながら現れた。


(今ので殆どの魔力を使った。もうこれ以上は無理だぞ)


 けれども、その眼光は徐々に細くなっていく。

 最後には膝が地面についた瞬間にその眼光は消滅した。


「ジュダ選手が倒れた…ジュダ選手戦闘不能!今、牢獄転移!ということはつまり!」


 リコがジャッチを下そうとした瞬間、ミスターナレーターがマイクを奪った。


「王都魔法闘技会優勝はチームヤーマートー!熱い戦いをありがとおぉぉぉぉ!」


 ミスターナレーターのジャッチにより観客が立ち上がりヤマトに拍手喝采を送った。

 そしてヤマトはそれに応えるかのように右手を高くあげてピースサインをした。


「ヤマトー!良かったよ~。私ヤマトが負けたかと思ったよ~」


 控え室からティナが飛び出てきてヤマトに抱きついた。


「おいおい、泣くなよ」


「そうよゴミ、さっさとその汚い顔を離しなさい」


 ピースサインをしていた右手を拳に変えてツクヨの頭に振り下ろす。


「何するんですかマスター!」


「だからゴミ虫扱いとかは止めろ!」


 こうして波乱万丈の王都魔法闘技会はチームヤマトの優勝で幕を閉じた。


「またよろしくなツクヨ」


「はい!マスター!」


 ツクヨは満面の笑みを浮かべて返事をした。


恐らく、次の話が二章のラストになると思います!

そして次回では驚愕の真実が!?

 

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