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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第八章 悪魔が住みし禁忌領域
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百五十六話 救済なき未来

ということで西組も戦闘開始です!

相手は動物等のパーツを合わせた元人のキメラです。

 現れた三体の異形は不気味な鳴き声を上げてまるで会話をしてるかのようにその場を動かない。

 父親であった大型の異形は皮膚が黒くてただれており、熊のような太い両腕、お腹からは鋭い角のような物体が飛び出している。

 また、背中には亀のような甲良があり、両足は象のようだ。

 そして顔は赤い目玉に潰れた鼻、耳はなく口は裂けており、無数の牙が並んでいる。

 母親であった中型の異形は人馬の姿で皮膚は白く粘膜で覆われており、両腕は蟷螂のような鋭い鎌で長い尻尾には先に棘がある。

 また、首は蛇のように長くて顔は……人間のままだ。

 子供であった小型の異形は皮膚の代わりに緑色の鱗、両腕はコウモリのような翼で足は垂れ下がった蔦のようで鋭く尖っている。

 そして顔は目玉がリンゴぐらい大きく、耳は兎みたいに長く鼻は口と同化して異常に細長い。

 …父親であった異形の肩に座っている。

 

「何なのこれ…。これが元人間だって言うの!?」


 雫は日記の家族の変わり果てた姿を見て大声で叫ぶ。

 そして朧の心臓の鼓動は速くなり、ある記憶が蘇る。

 黄泉津神最高幹部深奥奈落と戦った時の記憶だ。

 余りにも酷似した状況により、脂汗を垂らした。


「ええ、人間ですよ。だからこれ以上、彼らの魂を傷つけないよう速やかに弔いましょう」


「そうね。二人は人馬型をお願い。ソフィアは人型、私は飛行型を葬ります」


 シエルの命じられるとソフィアは地面を蹴り上げて、人型の異形の腹を蹴飛ばす。

 シエルは翼を出して飛び上がり飛行型を挑発して上空に誘い出す。

 そして二人の侍は人馬型と相対する。

 夜真砥に鍛えてもらった刀はまだ使わないようだ。


「朧、引きつけておいて」


「了解」

 

 雫は刀への魔法の付与を開始した。

 中型は粘膜で体の表面を覆っているため簡単には斬れない。

 しかし、粘膜を凍られば斬ることは可能だ。

 なので雫は今、氷属性魔法の付与をしている。

 

「さすがに抵抗はするよね。死にたくないよね」


 中型は首を伸ばして朧をかじろうとしたり、急接近して鎌で斬ろうとする。

 だが朧は全てを刀で弾いて防いでいる。

 どうやら攻撃に使用する鎌と顔面は粘膜で覆われていないようだ。


「雫!後どれぐらい!」


「退いたら斬る!」 


閃光(フラッシュ)!じゃあ、お願い!」


 朧は閃光(フラッシュ)を使用して雫と交代する。

 雫は中型に近づいて素早く抜刀して四回ほど斬って中型の後方に現れた。

 

「叢雲流剣術銀雪の風(ぎんせつのかぜ)


 叢雲流剣術銀雪の風(ぎんせつのかぜ)、氷属性を付与してまるで雪原に吹く風の如く素早く斬る剣技。

 低魔力で初心者でも容易に使える剣技でもある。 

 なお、雫は四回、斬ったが父親の氷兵衛は最大でその三倍も斬れるらしい

 中型は体の一部を凍らせて倒れもう、立ち上がらなかった。

 朧と雫が中型を倒した少し前ではシエルと小型が宙を舞っていた。


「キエエェェェェェェェ!!」


 小型は超音波を出してシエルの動きを封じ、二本の突起物で刺そうとした。

 シエルは耳を押さえながら体を捻って交わす。


「私、天使だから簡単に避けれるのよ!それと腕を封じたからって甘く見られたら困るわ!」


 小型は再び超音波を発しながら刺しかかる。

 またシエルは避けるが今度は体を捻らずに小型が来る瞬間に上に飛んで避けてきた。

 そしてまだ通り過ぎてない小型を急降下して蹴落とす。

 小型は地面に叩きつけられて再び飛ぼうとするが斬られて息絶えた。

 一方でソフィアと大型は両者共に素手での勝負となり、無傷のままソフィアが大型を押していた。

 大型はソフィアを両腕で押さえてお腹の角に突き刺そうとするがそれを直ぐに見破られて折られたり、噛み砕こうとするが顎下に強力な拳を入れられ歯を全て砕かれている。

 

「これで終わり!」


 ソフィアはその場で軽く跳んで大型の顔側面を蹴って倒す。

 大型は気絶したのか起きなかった。

 そして何のためかトドメを刺さずにソフィアは魔法で大型を拘束する。


「二体は火葬しといたけど…あんた何してるの?」


「話せないかと思いまして。少しやり過ぎてしまいましたか?起きてくださーい」


「グルル」


 大型は直ぐに目を覚ました。


「あ、起きましたね。私は冒険家キルドから派遣されてきたソフィアと言うものです。言葉はわかりますか?」


「アア、キミノオカゲデマダスコシダケナラ」


「ええ、問題なさそうですね。では少し質問をします。あなたは何故、その様な姿に?私達はこれからその元凶をぶん殴りに行きますのでできたらだいたいの場所を教えてください」


「デハ、コノコウソクヲトイテクレ」


 ソフィアは言われた通りに拘束を解いた。

 大型は四人に危害を加えずに島の中央を指差す。

 

「セイカクナバショハワカラナイガコノサキニヤツノケンキュウジョガアルソコニムカエ」


「情報提供、感謝いたします」

 

 シエルは忘れぬように大型が言った内容をメモした。

 島の中央付近にある研究所に元凶があるらしい。


「…ヤハリ、ツマトコハイシキガナカッタカ。…アリガトウ、クルシマズニタオシテクレテ。サイゴニオネガイヲキイテクレナイカ?」


「はい、構いませんよ」


「ワタシヲフタリトオナジトコロニマイソウシテクレ」


「ええ、もちろんです」


「カンシャスル。コノスガタニナッテカラハジメテソナタラノヨウナヤサシイヒトニデアエタ」


 そう言うと大型は自分の心臓に深々と爪を差し込んで微笑みながら自害した。

 四人は黙って大型の遺体も火葬して三人のお墓を村の中央に作った。

 そして三人の魂が安らかに眠るよう祈りをした後に島の中央へと向かってく。

 彼らの仇を討つために彼らをこの様な姿に変えた悪魔を倒すために。

次回は南組、つまりティナの方です!

それではまた次の話で!

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