百五十五話 廃村と日記
てなわけで西組です。
廃村を見つけたのでそこを調査します!
そして鬱回です。
さて、場所は変わって西側、怒りの沸点が越えて気味が悪いほどの笑顔で聖域を発動させながら歩いているソフィアを戦闘に西組も島の中央に向かってる。
まあ、転移されてから何も変わったことはない。
余りにも汚染されており、魔物すら住み着いていない。
そして廃村に着いたが、
「…ここもですか」
森林同様に汚染されていた。
「休めると思ったのに」
「文句を言っても始まらんよ」
「というかこれって家?何かおかしくない?」
天使のシエルが言ったことなので一同は『下界の家が珍しいのかな?』と思っていた。
しかし、気になって廃屋を良く観察してみると確かに自分の知る家とは違った。
日の本の国のように木材で造られておらず異国のようにレンガ等でも造られていない。
近いものといえば、
「アルカデミア島の建物の材質に似ている」
アルカデミア島の建物だ。
夜真砥と共に行動している朧は直ぐに気づいた。
「アルカデミア島の建物?…確かジャックさんがコンクリートと言っておりました。結構、頑丈らしいですよ」
「それが何でこの島にあるのよ。私はこんなの知らないわ。てか、最近にできたものでしょ?」
「はい、シエル様。コンクリートは最近、発明されたばかりです。不思議ですねぇ何故、この島にそんなものが…」
「…各自、この村を調べましょう。何か手掛かりがあるかもしれません」
四人は散らばって村の周辺を調べだした。
そして数分ほど経って雫がある家に三人を集めた。
どうやら何か見つけたらしい。
見つけたのは日記だった。
だが日常生活を記した日記ではない。
自分の生きた証を他者に伝えるための遺書だ。
「では僭越ながら私が読みますね」
内容から落ち着いて皆に伝えられそうなシエルが読むことになった。
「『何人、連れ去られただろうか?村には後数人ほどしかいない。きっと私の番ももう直ぐだ。妻と子はまだ連れ去られていないので少し安心している』、盗賊でもいたのでしょうか?」
「続きをお願い」
「そう急かさないの『…帰ってきたら妻と子がいなかった。飯や水も喉を通らない。私は明日からどうやって生きていこうか…』」
一同は暗い顔になり、何も言わなかった。
余りにも惨いことが書かれていたからだ。
そしていったいこの村で何が起こったのかを考えるが何も思いつかずにシエルが再び読み始める。
「『驚いた。妻と子が生きていた!森の中にいたのだ!でも、この姿は他の村人には見せられない。私は妻と子を地下室に隠すことにした。安心してくれもう、どこにも行かなくていい』、あれ?何かサイコパス化してません?」
「でも、見つかって良かったですね」
「けど何で地下室に隠すの?シエルさん、続きを読んでくれますか?」
「ええ、わかりました。『嫌だ。遂に私の所にも奴らが来た。村の連中や妻と子を連れ去った奴らに違いない。私は必ず戻る。だから待っていてくれ』、この人も連れ去られてしまったのですね」
最後には日記の主も連れ去られていた。
だが不思議なことに日記はまだ続いている。
そもそもこの日記が置いてあった部屋は何故か血塗れだった。
そして日記はまるで獣が引っ掻いたような後がある。
気になったシエルは続きを読もうとするが読めない。
文字とは呼べないほど乱雑に書かれていたからだ。
とりあえず読める所だけ読んだ。
「『抜、出、た。村の連中、私、殺、妻と子、危険、なので、私は殺した。けど私は誰だ?わ、ら、い。故、これを、書、る。か、な地、室で、れる』、何かしらこれ?」
シエルが読んだ文を聞いて雫は突然、抜刀した。
しかも床を睨んでいる。
「ちょっと雫!?」
「地下室に変な影がいる!しかもこっちを睨んでる!」
「総員、退避!」
そのことを聞いたシエルは瞬時にそれが攻撃態勢だと理解して退避命令を出した。
四人は家から飛び出す。
飛び出して数秒後に家が大きく揺れて崩壊した。
「何がいると思うソフィア!」
「…胸糞悪いですがおそらく、親子三人でしょう。あの最後の文を繋げるとおそらく、『抜け出せた。村の連中は私を殺そうとした。妻と子に危険になる。なので私は村の連中を殺した。けど私は誰だ?わからない。何故、これを書いている?わからない。地下室に隠れる』でしょう。村が壊滅してる原因はこれですね。そして親子は殺されるほど危険な存在、もしくは怪物になったか」
崩壊により起きた砂埃が晴れて三体の大中小の生物が現れた。
まるで家族のようにお互いの身を寄せ合って。
だが果たしてその姿を人と呼んでよいのか?
おそらく最も近い言葉は『かつて人であり、家族であった悲しき異形』である。
「ああ、主よあなた様の元に哀れな魂が参ります。どうかその御加護で救済を与えてくださいませ」
次回!三体の異形と戦います!
正体を明かしますとソフィアの言うとおり日記の家族です。
それではまた次の話で!




