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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第八章 悪魔が住みし禁忌領域
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百五十一話 製造番号三万千七百

第一島民を発見する話です。

タイトルで察してる方もいると思いますが作られた人でございます。

 夜真砥とボルクス、ガイアは岩場から暗い森林地帯に入った。

 鳥や動物はいなく虫すら見当たらない。

 目に入ってくるのは枯れ枝や奇妙な花だけ。


「植物図鑑に載っていない。新種か?突然変異の可能性もあるな。とりあえず採集してギルドに報告だ」


「いや、図鑑なんていつ開けた?」


「そんなの頭の中に入ってる。当然だろ?」


 枯れないように土もケースに入れるか。

 全くギルドも便利な魔導具を開発したな。

 入れたら絶対に枯れることがない自動で草花を育てるプランター。


「ああ、そうでした。俺がバカでしたよ」

 

「ほう、冒険家はそんな細かいことまで覚えるのか?」


「食べる野草とかを見分けるためにな」


「我はそんなの関係なしに食うぞ。ガハハハハハハ!」


 いやいや、毒とか持ってたらどうすんだよ。

 このおっさんの胃袋は化け物か。


「…魔力反応!近くに何かいる」


「俺もさっき感じた。二百メートル先か?ってガイアさん!突っ走るな!」

 

 あの巨体で木々の上を走ってるとかどんな体幹してんだよ。

 どんどん強くなってきた。

 大きさは全長約五メートル、四足歩行か。

 頭が三!?

 マズいそれは!


「おい、おっさんを止めろ!キメラだ!」


「大丈夫だ。おっさんキメラ食うから」


「はぁ!?」


 キメラ食うってどんな味覚してんだ!

 てか、さっきから疑問しか出てこない…。


 魔物がいる場所から何かが樹木に衝突する音が聞こえた。

 そして何かの雄叫びも。

 声からしてガイアだろう。

 武器は持ってなかった素手だ。

 素手でキメラを吹き飛ばしたのだ。


「冗談だろ…。無強化でキメラを吹き飛ばした!?」

 

 樹木の下で獅子の頭と体、背中に鷹の頭と翼、尻尾は大蛇の生物が転がっていた。

 これがキメラ、魔物や他の生物との混合種。


「あれがガイア・ドレイク、無強化で魔物を殴る超が付くほどの戦闘狂っす」


「ガハハハハハ!!こんなの恐るるに足りず!殴れば一発よ!」


 ボルクスよあれは戦闘狂とは言わん。

 どちらかというとバカだ。


「それよりもお前ら後ろのガキを守れ!」


 キメラの正面の樹木に大きめの布を纏ってるだけの小さな子供が横たわっていた。

 間一髪のところでガイアが救ったのだ。


 ガキ!?

 おいおい、マジでいやがる。

 第一島民発見だ。

 魔力反応が薄い。


「おい!大丈夫か!名前を言えるか!しっかりしろ!」


「落ち着けボルクス。魔力回復薬(マジックポーション)だ。ゆっくりと飲め」


「あ、ありがとう」


 大きめの布を纏ってるだけ!?

 孤児なのか?

 見たところ持ち物はない。

 孤児というよりかはどこからか逃げてきたパターンか。


「話にならんな!もう、ダウンか!」


 素手で本当に倒しやがった。

 しかも血抜きを始めてるし。

 マジで食うつもりかよ。


「で、貴様、名前は?」


「名前?」


「名無しか?なあ、夜真砥どうするって何やってんの?」


「見ての通り服を縫ってんだよ。無論、召喚獣とな」


 夜真砥が召喚したのは妖精のピクシー、合計四人だ。 

 とりあえず器用で基本戦闘はできないが家事系はいける。

 そして瘴気に触れるといけないので浄化して結界内で作業している。


「もっと可愛くもっと可愛く」


「夜真砥、力、入れすぎ」


「可愛い色ないの?ないの?」


「ああ、これでいいか?」


「可愛い!可愛い!これ使う使う」


 ちなみにかなりうるさい。

 久しぶりに召喚されて嬉しいのか普段よりはしゃいでいる。


「気づいてると思うがその子、女の子だぞ」


「はぁ!?本当だ。よく見たら女の子の顔している!」


 今まで気づかなかったのかよ。

 体つき声、仕草、顔、雰囲気などで気づくだろ。


「欲情してる!欲情してる!」


「してない!」


「はい、できた。サイズは会ってるはずだ。着てみろ」


「う、うん」


 さすがピクシー。

 サイズはぴったりだし似合っている。

 けど…何日も風呂に入っていないのか?


「おい、この子を洗ってやれ」


 夜真砥は魔法で簡易的な風呂場を作った。

 もちろん、瘴気が入ってこないよう結界も張ってある。


「洗う!洗う!」


 はいはい、男性は撤退ですよ~。


 夜真砥達は少女が見えないよう樹木の後ろに回った。


「しっかし何でこんな小さな子供が森の中に?」 


「さあな?見た感じだとキメラから逃げてきたか?」


「それより貴様ら妙だと思わないか?」


 妙なんてさっきからずっと思ってるわ。

 島民がいないはずなのにいるしキメラが普通に生息してるし…待てよ。

 これだけの瘴気ならキメラでも普通は!


「おい、何やってんだ夜真砥。ちょ!それの魔導具を外したら瘴気を!」


 何を思ったのか夜真砥は突然、瘴気から身を守るために渡された魔導具を外した。

 だが夜真砥は平然としている。


「…瘴気がない」


「はぁ!?瘴気がないって!?…うわっ!どうなってんだ瘴気が全くと言っていいほどないぞ!」


「どうやら瘴気は島を覆っているあれだけのようだな。あの小娘が生きている時点で感づいたわ」


 少女はピクシーによって全身を洗われ再び服を着て三人の前に出てきた。

 気を利かせたのかボサボサだった髪もピクシーによって切られており髪飾りが付いている。

 そして靴も履かされている。


「…訊きたいことはたくさんあるんだが名前を言えるか?」


「名前?」


 やっぱり名無しなのか? 


「名前はわからないけど私は製造番号三万千七百、それが私の個体認識コードです」 

次回はおおざっぱに言うと製造番号三万千七百と言った理由を訊く話ですね。

それではまた次の花で!

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