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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第二章 チートキャラは王都魔法闘技会に出場してください!
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15話 最凶VS勇者

 いよいよ決勝戦開始!ヤマトは大会最凶の化け物を倒すことができるのか!

 それでは決勝戦スタート!

 いよいよ大会最終日の夜、つまりは決勝戦、そしてあの怪物と直接対決をする夜だ。

 その決勝戦を数分後に控えた俺はゲート前にいた。


「怖いんですかヤマト?大丈夫です!私とシーちゃんがついてます!」


「シーちゃんって誰だよ」


「この子です!」


 そう言ってティナはスケープシープを抱き上げた。

 召喚時と変わらず呑気な顔で優しげに鳴くな。


「それはそうと戦いで怖がることも大事だぞ」


「何で?」


「怖がってれば無駄に突っ込んで死にはしない。冷静になって別の手段を模索できる」


「じゃあ怖がってない人は?」


「地べたを今日のベッドにしたい奴だ。今日もフカフカなベッドで寝たいのなら逃げろ。戦いは逃げることも大事だ」


 数分後、闘技場内の観客と外の大型テレビで大会を試聴している視聴者がヒートアップしてきた。

 その理由は決勝戦がいよいよ始まるからだ。


「日が沈み月が顔を出した…お前ら!まだまだ盛り上がってるだろうな!その熱気沈ませんなよ!今宵はこの王都闘技場が最強の戦士がぶつかり合う戦場と化す!さあ!決勝戦の始まりだあぁぁぁ!!」


「皆様!長らくお待たせしました!いよいよ決勝戦開始です!実況は私リコと!」


「ミスターナレーターがお送りするぜ!」


 リコとミスターナレーターが決勝戦開幕の挨拶を行うとヤマトが来る反対側のゲートから煙が上がってきた決勝戦はより盛り上げるため選手入場の際にゲート付近から煙りが吹き出る演出をしている。


「一人目の選手入場だあぁぁぁ!!この男すべての試合不戦勝!何故ならば選手全員がこの男を恐れて棄権したからだあぁぁぁ!更に!一週間行う予定だった大会を三日にした元凶でもある!偽名はハデス!だがその偽名を名乗るのに今はふさわしい!もはやこの男が冥王なのではないか?一言で現すなら世界最凶!それではハデス選手の入場です!」


 煙の中からハデスが殺気を放って現れた。

 無論、観客席に張られている結界は強化してある。

 闘技場がさらにヒートアップした。


 そしてヤマトが入場してくるゲート付近が煙を吹き出した。


「そして世界最凶のこの男と戦うのはギルド代表とも言える男だあぁぁぁ!全て試合は彼の掌の上!初日にハデス選手と交わした約束を今果たすためにこの闘技場にいや、戦場に参じた!今宵はどんな戦いを繰り広げるのか?それでは選手入場!二つ名が漆黒の太陽(しっこくのたいよう)から今宵月下の帝王(げっかのていおう)に!!ギルドランク序列一位いぃぃぃ!!ヤマト・ツキカゲ!」


「ヤマト、二つ名変わったんですね」


「昼間にクソ爺に言われた。さてと…ヤマト・ツキカゲいざ参る!」


「頑張ってください!」


 ヤマトは煙を抜けて闘技場内に姿を現した。

 この威風堂々たる佇まいに観客は自然と見惚れてしまう。

 月を見上げずとも下を見下ろせば、それよりも素晴らしき戦士が歩みを止めずに戦地へと向かう。

 まさに月下の帝王(げっかのていおう)に相応しき光景だ。


「よう!おっさん来てやったぜ」


「小便チビって逃げたかと思ったわい」


 ハデスは向きを変えて皇帝の席つまりバトラーが座っている席の方を向いて跪いた。


「あんたにも礼儀の一つや二つは身に付いてんだな」


「貴様は馬鹿か小僧、儂は皇帝に頭を垂れてるのではない。我主に頭を垂れておるのだ。誰がこんな装飾品ごときに頭を下げるか。馬鹿馬鹿しくて吐き気がするわい!」


 ハデスのこの一言により開場の帝国民全員がハデスにブーイングした。

 だがハデスは帝国民に殺気を飛ばさずに平然としている。


「ガッハッハ!今宵は楽しくなるの!ヤマトよ!冥王にその命捧げるがよい!我は絶対の強者!則ち最強!この世のすべては我らのもの!そろそろ頃合いじゃ!本名を名乗ろう!」


 いよいよ本名を名乗るのか!

 まあ、何でこのタイミングかは注目を浴びているからだろう。


「おっと!ここで急展開!ハデス選手が本名を名乗ります!」


「我が名はジュダ!世界に厄災を撒き散らす冥王に仕える者!」


 ジュダ?何処かで聞いたことあるような…。

 まあ、それは後で調べるとして試合に集中だ。


「ジュダ、あんたは自分のことを強者とか最強とか言ってるよな。それはどうしてだ?」


「ふん、そんなの決まっておろう。我は強い!どんな奴よりもだ!まさに冥王に仕えるのに相応しい!」


「じゃあ、弱者を守ったことはあるか?」


 返ってくる答えはわかっているでも聞きたい。


「弱者など虫けら同然じゃ!蹴散らしてなにが悪い!」


 …傲慢な性格をしている人間の返答は基本的にこれだ。

 弱者を虫けら同然のように蹴散らすのを特権と思っている。

 …自分の力を私利私欲のために扱う。

 こいつは俺が嫌いな性格をしている!


「強者とは弱者を守るものだ!お前のはただの暴力!そして最強とはその称号を語るのに相応しき行動をする者だ!ましてや弱者を虫けら同然の扱いをする奴は最強ではない!ジュダ!貴様は単なる我欲をふりまくただの戦闘狂!狂人だ!」


「ほう、言いよるな小僧!いいじゃろう戯れてやるわい!」


 何か師としてのプライドがどうだこうだと思っていたが…。

 今はただ純粋にこいつに負けたくない!

 絶対に牢獄にぶち込んでやる!


「熱い口論がされていますが決勝戦を始めたいと思います!それでは決勝戦!ジュダ選手対ヤマト選手の決勝戦開始!」


 リコが試合開始の合図を送るとジュダが全試合同様に殺気を放ってきた。

 だがヤマトは眠そうに欠伸をしてジュダを挑発している。

 要するに彼はジュダの放つ殺気を無効化、強力な恐怖耐性を獲得したのだ。


「小僧やるな」


 ヤマトとジュダは収納箱(ボックス)から剣を取り出す。

 そして目視できない速度で戦闘を開始した。

 この常人離れした命を削り取るような戦闘はヤマトとジュダの能力が拮抗している事で見られる。

 更にその戦闘は二人が実況を忘れるほど目を見張るモノだ。

 確かに目視はできない。

 しかしながら刃の衝突で発生する火花、両者共に武器を変更しているのか刃毀れして使い物にならない剣が何もない場所から飛んでくる。

 目視できぬ戦闘の凄まじさがそれだけで充分、伝わってしまう。

 けれども二人はこれ以上やっても埒が明かないと思ったのか急遽停止して魔法を放った。


「「スキル災厄(ディザスター)発動!合技三位一体砲トリニティーファイヤー!」」


「偶然にも同じスキルと魔法だー!」


 災厄(ディザスター)、魔法の威力を上昇させるスキルで三位一体砲トリニティーファイヤー、魔法陣を三つ展開して属性魔法を三つ放つことができる合技だ。

 その魔法が衝突して爆炎を上げる。

 ただがジュダは大剣に持ち替えて正面から突っ込む。

 ヤマトは剣で辛うじてガードしたが押されてるが腕の力を素早く抜いて攻撃を受け流した。


「やるなクソガキ!なら、これを使うか!」


 ジュダが収納箱(ボックス)からビンを取り出した。

 うん?あのビンどっかで見たような…。

 確か市場で召喚獣を呼び出す魔法陣と交換していたな。

 あの野郎、俺と市場で擦れ違っていたのか!


「ヤマト!あれってバジリスクの猛毒ですよね!?」


「やっぱり、お前の目にもそう見えるよな!まさか敵の武器になって返されるとは思わなかったよ!」


 ジュダは双剣に持ち替えてそしてバジリスクの猛毒を塗る。

 当然、ヤマトはバジリスクの猛毒の危険度を知っている。

 それが皮膚を掠りでもすれば毒耐性のない者は即死すると。

 それ故に繰り出される全ての攻撃を受け流さなければならない!


「ジュダ選手大胆にも毒で攻める作戦だー!」


 ジュダはヤマトに再び突っ込んできた。

 ヤマトも同様に双剣に持ち替えて受け止める。

 全てが致命傷に成りうる攻撃にヤマトは防御を強いられる。

 少しでもミスを犯せば己の敗北が近づく、この緊迫とした空気でヤマトは慎重に攻撃を捌く。

 だが、それは持って数分の寸劇である。

 緊張の糸が途切れてしまい右腕に攻撃を喰らった。

 

「しまった!氷属性付与(エンチャントアイス)!」


 これでジュダの剣を凍らせて猛毒を封じた。

 …最初からこうすれば良かったが、あの状況下で付与しても暴発してしまう。

 いや、爆発に巻き込めば良かったか?

 今は反省よりも次の行動に移さなければ。


「小僧、もうその右腕は使えんぞ」


「…あっそ」


「ヤマト選手自分の右腕を切り離した!?」


「ヤマト、何やってんですか!腕切るとか馬鹿でもしませんよ!」


 切っても一回は元に戻るからいいんだよ。

 それに毒が全身に回るだろ。


「再生の神よ時間を操り我の体を元に戻したまえ!時間戻しの超回復タイムリープリカバリー!」


「腕が元に戻ったあぁぁ!?」


 時間戻しの超回復タイムリープリカバリー、どういう原理かはわからないが時間を戻して体を再生させることができる魔法。

 特殊魔法だが古代魔法とも言われている。

 この便利で最強の魔法には二つ欠点があるそれは一日一回しか使えないという点、そして魔力を大量に消費する。

 恐らく、ジュダはこれを狙って攻撃してきた。


「さて、儂も本気を出すか!」


 ジュダの左目が赤くなった?

 まさかあのスキル使えるのか!


「おっと!ジュダ選手こんなスキルまで持っていたのかー!」


「先天性スキル魔眼(まがん)発動」


 魔眼(まがん)、自身のステータスを爆発的に上昇される先天性のスキルだ。

 まあ、大雑把に説明すると自身の能力を魔力消費なしで大幅に強化できる。


「だが!ヤマト選手は臆せずに大量の魔法陣を展開!何をする気だ!?」


 さて、全ての段階はクリアした。

 …魔法陣に妨害等の異常は見られない。

 それとあの魔法陣も展開されているな。

 それでは仕上げに剣を地面にぶっ刺す!


「魔法陣の上に五本の剣を突き刺した!端から見れば試合放棄だぞこれ!」


「小僧、それを儂に使えってことか?」


「そんなアホな行動する訳ねぇだろ。少しは考えてからものを言え。返り討ちにしてやる。来いよ怪物」


「死んでも後悔するんじゃねえぞ!クソガキ!」


 ジュダが再び高速で移動を始める。

 上昇された身体能力でヤマトの目を欺いて背後に回る。

 そして首元に剣を近づけたが剣は弾き飛ばされた。

 ヤマトは背後を取られると即座に振り向いて攻撃を未然に防いだのである。


「何故この動きに対応できる!」


「我流魔法陰の人形劇(シャドウマリオネット)、魔法陣に敵が侵入すると自身を操り自動迎撃を行う魔法だ。まぁ、これはこれで詰まらない魔法なんだけどな」

 

 ちなみにジュダはイスカリオテのユダの別の呼ばれ方ジューダスのーとスを抜いてつけました。

 ジューダスは裏切り者という意味もあります。

 さてジュダはいったい何を裏切ったのでしょうか?

 

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