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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第六章 卒業生対抗試合と柘榴の炎竜
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百三十一話 二人の剣舞

今回は久々に四千文字です!

理由はきりがなかったただそれだけです!

そしてヴォルカン島の怪物戦、決着!

(始まったんだ。…でも、あたしはあたしの役割を全うする。いつ崩れてもおかしくない。確実にあの氷が落ちたら津波が発生する。斬れるかどうかわからない。けどやるしかない)


 朧は一呼吸して刀を構えた。


 一方、夜真砥とティナはヴォルカン島の怪物に猛攻を仕掛けている。

 不思議なほどティナはミスをしていない。

 夜真砥と同じ動きをするだけではなく夜真砥がやりそうな動きをしたりしてヴォルカン島の怪物の意識をそらしたりする。


 ティナが成長するとここまで動きやすくなるのか。

 育て甲斐があるな!

 さて、余計な考え事はこの辺にして時間制限もある上げていくか!


 先ほどの斬りつけで俺はこいつの前に出た。

 けどティナはこいつの前にいるだからまだ斬れる!

 

 夜真砥が後ろから斬った。

 私は今、前にいるから退避する。

 そうすれば夜真砥の方に敵は向く。

 けど敵もバカじゃないから後ろの結界を利用して上跳ぶ。


 結界を利用して跳んだか普通ならそのまま斬りに来るが俺なら…。


 このまま斬ってもいいけど夜真砥なら!

 さらに結界を蹴って加速して斬る!

 そしてそのままの勢いで振り向いき再び斬る!


 よくできました!

 ティナが奴を斬ってできた隙、無駄にはしない!

 

「剣技間斬り(まぎり)!!」


 夜真砥が繰り出した間斬り(まぎり)はヴォルカン島の怪物に当たるも決定打になるようなダメージは与えられなかった。

 だが夜真砥と動揺することなく魔法を放とうとする。


炎獅子の咆哮(えんじしのほうこう)!!」


「炎属性魔法!?吸収されるぞ!」


 ヴォルカン島の怪物は夜真砥の魔法を吸収することなく避けた。


「交わしたじゃと!?」


「あれれ?何で炎喰(えんしょく)とかいう魔法で吸収しないのかなぁ?何かできない理由でも?」


 ヴォルカン島の怪物は話しかける夜真砥を無視して拳を打ち込もうとするが間合いに入られたティナにより妨げられてしまった。


 夜真砥のことだから何か打開策を発見したら敵を煽ると思ってた。

 そういうところは例えユニークスキルでも真似しないでおこう。


「正解はただ単純に高濃度の魔力に消されただ。それを俺はさっきの間斬り(まぎり)で削ぎ落とした。で、今のお前は装備なしの一般人と同レベルだな」


 いや、同レベルではないでしょ。


「ティナ!絶対にへまをやらかすなよ!」


 夜真砥は十六本の刀の力を均等にわけて二本の刀にした。

 片方はティナが握っている。

 そして二人は同時に踏み込んで舞う。

 二人はお互いにサポートしながら攻撃を行う。

 夜真砥がフェイントをしたらティナが仕掛ける。

 ティナがフェイントをしたら夜真砥が仕掛ける。

 また、夜真砥がフェイントをしてさらにティナもフェイントをして同時に攻撃する。

 一瞬の乱れもなく互いに邪魔することなく互いが有利になるような動きを。

 何度何度も打ち込まれた攻撃はやがてヴォルカン島の怪物に片膝を着けさせるほどのものに。

 だがヴォルカン島の怪物も黙ってはいない。

 自分の周りを炎で囲って二人を遠ざける。

 やはりまだ慣れてないのか数秒ほど遅れたティナに攻撃を仕掛けるが夜真砥から目を離したのが運の尽き。 

 夜真砥は左腕を掴みその場で回転して遠心力で脱臼させる。

 今度はヴォルカン島の怪物が下がり夜真砥と同様に遠心力で元に戻す。

 しかし、それもまた狙われた。

 すぐに切り替えを行ったティナに斬られて半歩下がる。

 ヴォルカン島の怪物はよろめく。

 もちろん、夜真砥はそれを見逃すわけがない。

 水狼の咆哮(すいろうのほうこう)で攻撃を行うがヴォルカン島の怪物は両手を交差させて受け身をする。

 守りが薄くなったところをティナが喉を斬りにかかる。

 まさに一心同体、お互いに何をやってほしいのか理解している。 目を合わせるだけで次に夜真砥がティナがどの動きをするのか手に取るようにわかってしまう。

 

(このままでは時間がかかってしまう。とりあえずこの二人を倒すのは後だ。この見えない壁はおそらく上は開いているはずだ!)


 二人が水平斬りをしようとしたところヴォルカン島の怪物は壁を蹴りながら跳んで上へ上へ逃げていく。

 だがヴォルカン島の怪物はあることに気づいていない。


「夜真砥!跳んでください!」


 それは二人が同時に水平斬りをしてないことだ。

 夜真砥がやや速めに斬ってティナは数秒ほど遅れて斬った。

 数秒ほど遅れたティナの攻撃、水平に動かした刀は小さな足場を作った。

 それにやや速めに斬った夜真砥が踏み台として斜めに跳んでヴォルカン島の攻撃が通った道筋よりも速い道筋を通り眼前に到達した。

 

「落ちろ!叢雲流剣技改良型大瀑布(だいばくふ)!!」


 そしてヴォルカン島の怪物を落とす。

 夜真砥も遅れて地面すれすれまで戻り、攻撃を仕掛けるがヴォルカン島の怪物は起き上がり足で刀を蹴り上げる。

 それを見たティナはすぐさま刀を夜真砥に投げる。

 受け取った夜真砥は極水属性を付与して斬る。

 そしてティナは丸腰になった。

 だが夜真砥はすでにティナのサポートをしている。

 斬るのと同時に体を一回転させて足を伸ばし、柄頭を蹴ってティナに瞬時に渡す。

 また、同時に自分のと同じく極水属性を付与した。

 足で付与、しかもバランスの悪い不安定の場所での付与は不可能に等しい。

 それを受け取りティナは背後から斬りつける。

 

「上出来だ!まだ、行けるか!」


「少し難しいです!夜真砥こそ制限時間、大丈夫ですか!」 


「後三十秒ほどだ!」


「どうしますか!」


「刀を寄越して伏せろ!」


「はい!」


 夜真砥は受け取った刀を十六本に戻してそれぞれに水属性を付与する。

 そして一気に、


「剣技堅牢水獄斬(けんろうすいごくざん)!!」


 逃げ場を消すかのように敵の周りから斬りつける堅牢水獄斬(けんろうすいごくざん)で攻撃する。


「上ががら空きだ!貴様らの相手は後でしてやる。まずはこの島の生物、全てを灰燼にする!」


 ヴォルカン島の怪物は再び逃げた。


「ティナ、わかってるな」


「はい。離れるなですよね?」


「よろしい。ワザとがら空きにしたんだよ」


「何?」


 夜真砥は魔法の詠唱を始めた。

 当然、ヴォルカン島の怪物はどんどん上へと逃げるがいつまでも経っても出られない。

 それもそのはずだ。

 この結界に出口はない。

 ある程度、上に行くと行き止まりだ。


「日輪は深き闇よからの使者である月輪に飲み込まれた!飲み込みし月輪は日輪の光を奪いさらに暗き闇夜の世界を作り出す!ただそれは蛮行なれど余儀なきことなり!刹那の闇夜は我らに未開の世界を見せる!だが日輪は再び姿を現す!それ即ち闇夜からの解放!しかし、喜ぶ事なかれ!日輪も再び姿を眩まし月輪が現れ出でる!それ即ち、夜の世界の到来の知らせ!だが恐れることはない!日輪と月輪は円環の輪をえがくのであるから!二対の天上の主は共に支え合いし者なり!日輪より頂し力により月輪は我らが敵を打ち破る!放て日輪の輝きを!廻せ世界の理を!二対の天上の主の力により汝を穿ち滅ぼす!」


 夜真砥が詠唱を終えると結界の上空に巨大な極闇属性と極光属性、極炎属性が合わさった魔法陣が出現した。


「…確かにあんたの言ってることは理解できる。だけど今の世を生きる者を滅ぼすのは間違っている。だから悪いけど止めさてもらう!」


 ヴォルカン島の怪物は魔法陣、そして出口がないことに気づき引き返す。


「こんな所で終わってたまるかあぁぁぁぁぁぁ!!」


「幕引きだ!安らかに眠れ!次の生に幸があらんことを願う!極光属性、極闇属性、極炎属性我流魔法!!」

 

 三つの極系の魔法!?

 

「マズい!結界の耐久度を上げるんじゃ!」


 三人と五匹は急いで結界の耐久度を上げる。

 

常闇の太陽(ソーラーエクリプス)!!」


 魔法陣から炎に包まれた黒い光線が降ってきた。

 それはヴォルカン島の怪物を確実に地面に落としていく。

 ヴォルカン島の怪物はそれを必死に耐えようとする。


(闇の精霊と光の精霊、炎の精霊が均等にわけられている。このまま喰らえば我は死ぬ!だがこのまま耐え抜き下に降りればあの二人を消せてこの技を消すことができるはずだ)


「何とかなるとか思ってないよな?専用魔法!空の鏡(そらのかがみ)!!魔法を反射する零形態のみ使える魔法だ!」


「…貴様ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 常闇の太陽(ソーラーエクリプス)はヴォルカン島の怪物を包み込んで空の鏡(そらのかがみ)に衝突し跳ね返る。


(耐えろ!耐えればまだ希望はある!)


「うおおぉぉぉぉぉ!!」


「これで終わりだ!空の鏡(そらのかがみ)!!」


「…やっと解放される」


 ヴォルカン島の怪物は最後に笑って消えていった。

 夜真砥は結界の頂点に仕掛けた空の鏡(そらのかがみ)を解除した。

 空の鏡(そらのかがみ)を発動させた時点で結界は消えていたので常闇の太陽(ソーラーエクリプス)は天へと昇っていった。

 魂を連れて。


「夜真砥!」


 限界を超えて夜真砥はその場に膝をついた。


「やっと終わったようじゃな」 


「まだだ。来るぞ朧!」


 ヴォルカン島の怪物が纏っていたマグマ、そのなれの果てである氷塊が崩壊する。

 その氷塊が大きな波を起こした。


「津波じゃと!?」


「こんなこと起こるってわかってただろ!」


 リリム達は戦闘に参加するので津波の対処はできない。

 だから津波に対処できる朧は戦闘に加えなかった。


「防げるのか!?今から魔法でこの規模の津波を防ぐことは不可能だぞ!」


「できる。あいつは空間が斬れる」


(夜真砥がやってほしいのは津波が覆い被さるのと同時に斬って津波の通り道をなくすこと。天地開闢(てんちかいびゃく)は空間を斬るのではなく圧縮した空気中のマナを強引に空間にねじ込むことで起こる。大丈夫、あたしならできる!)


 朧は柄に手をかける。

 すると例の如くマナの渦が発生した。

 だが、


天地開闢(てんちかいびゃく)!!」


 天地開闢(てんちかいびゃく)は起きなかった。


(失敗した!?嘘でしょ…。何で失敗したの!?もう間に合わない!)


「まだだ!まだ終わってない!止まるな!自信を持てお前ならできる!」


(そうだ!まだ終わってない!後、数秒ほど時間はある!)


 朧は両手で柄を握って右足を後ろに引く。


「横で斬れないのなら縦で斬る!」


(マナを圧縮する必要はない!刀の前にあるマナを全力で前方に飛ばすだけ!)


「道を開けて!万物縦断(ばんぶつじゅうだん)!!」


 朧の放った縦の斬撃は津波に直撃して津波は二方向にわかれアルカデミア島には当たらなかった。


「…斬れた」


 全てを縦に斬るとか大きくでたな。

 何とか全て終わったなぁ。

 いや、まだ終わってないか。


「教えろお前らは何を企んでいる」


「…元から話すつもりだ」


 バンは自分が呼んだギルドからの護送兵が来るまで夜真砥と話すことになった。

次回!夜真砥とバンの話し合い!

バンの口からとんでもない言葉が飛び出る!

それではまた次の話で!

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