13話 俺敗退するかも!
タイトル間違ってませんかって?いえあってますよ!
今回はファンタジー世界の王道と言ってもいい種族が出てきます!
「大会最終日を迎えました!ミスターナレーターさん最終日は何があるんでしょうか?」
「それはもちろん、マグマのように熱い決勝戦だああぁぁぁ!!盛り上がっているかお前らああぁぁぁ!!」
「うおおぉぉぉぉぉ!」
「会場は大いに盛り上がっています!それでは最後の準決勝の準備が終わるまで先ほどのハデス選手の試合を振り返りましょう!」
一方で準決勝を控えたヤマトはゲート前で準備をしていた。
もちろん、ティナは今回も見学である。
「ハデス選手は勝ったんですか?」
「相手選手が途中で棄権した」
「準決勝頑張ってください!」
「おう!」
「それでは試合を始めたいと思います!」
相手選手は既に準備を終えていたのか。
…えっと白いドレスのような服に仮面だと?
あんな仮面をつけて素顔を隠してるつもりか?
別に隠すほどの身分じゃないだろお前は。
こりゃあ相性的に負けたかも。
「それでは両選手!前に進んでください!大会準決勝最後の試合はヤマト選手と仮面の乙女選手です!」
「よう!その変な仮面取ったらどうだ!?ギルドランク序列三位種族天使のシエル・セラフィム」
「久しぶりね。元気そうで何よりよ。会いたかったわヤマト」
その言葉は殺気を抑えて言うもんですよ。
はぁ、召集されるまで会いたくなかった。
「それでは試合開始!」
じゃあ、念のために後退しとくか。
本当に容赦ないからなあれは。
初見の場合は回避すらできないからな。
「やはり!上空から剣が降ってきたぞ!これで仮面の乙女、おっと失礼、シエル選手は全勝してきた!だがヤマト選手は避けております!」
「さすがヤマトね。持っために飛ばなきゃならないじゃない」
「相変わらずデカいな裁きの剣」
「あなたに裁きを下します!」
シエルは相手の罪の多さによって強くなる。
俺の場合は魔族殺しの罪とかそんな感じだ。
要するに魔物以外の生物を殺している相手に対してシエルは強くなるってことだ。
まあ、これはユニークスキルの能力の一つなんだけど。
「終身刑よ。一生私の牢獄暮らしです」
「何度も言っているが断る!風の行進!」
「私を落とす作戦ですか?こんな風無効です」
「少しでも吹けばいいんだよ。豪炎球!アンド、アイテム火竜の衣!」
俺は炎属性魔法の豪炎球を左右に放って火竜の衣を着用する。
この火竜の衣は炎属性攻撃を軽減できる。
もちろん、炎属性攻撃軽減スキルも発動している。
そして着用した理由は巻き込まれないためだ。
範囲なんて関係なく暴れ回るからな!
「合技炎嵐の災禍!!」
「会場が炎の渦に飲まれた!早くもシエル選手ピンチ!」
「翼が燃えちゃったじゃない。…修復に時間かかるわね。何曲でも付き合ってあげるわ!」
シエルが大剣を構えて跳んできた。
おいおい、踊る気満々じゃなくて殺る気満々じゃねぇか。
「炎よ我が剣に集まりなさい!炎属性付与」
周囲に満ちる俺の炎属性魔力を利用したか!
普通の付与とは違って魔力消費がないぶん燃費がいいからな。
さっさと残った魔力を消し飛ばしておけば良かった。
「防ぎますか」
「利用しますか」
残念だけど防御の準備は怠っていない。
それに突進してくるのも想定内だ。
「今度はこっちからいくぞ!闇属性付与!」
「だったら光属性付与です」
「闇と光がぶつかり相殺された!」
だから嫌いなんだよこいつは!
俺が得意な闇属性の弱点である光属性を得意としてるからさ!
まあ、それは光属性も同じことだけど。
…反動の余波を利用して後退したか。
「ヤマト、ところで後ろの女は魔族ですか?」
「ああ、魔族の弟子で悪いかよ」
「なら魔族を弟子にした罪も追加です。召喚魔法十字軍!魔族は悪魔と同様に我々の敵です!」
シエルの周りに大量の騎士が召喚された。
この騎士は生命ではなくシエルの魔力で動くゴーレムの一種だ。
ちなみにアイテムと同様に召喚魔法は認められている。
「行きなさい十字軍!ヤマトを倒せ!勝利した暁にはあなたの目を覚まさせてあげます」
「…半分ほどイラついて聞いてなかったが要するに魔族だから罪だと宣うのか。やっぱり、お前らのこと好きになれねぇわ。何様を気取ってんだよ。高位種族の分際で人の関係に口出すな」
「魔族はこの世の悪です!消える方が正しい!あなたはそれでも勇者ですか!?」
「悪いが俺は善い魔族の味方をする勇者なんでね!とりあえず邪魔な鉄塊は消えろ。暗黒空間」
俺は闇属性魔法の暗黒空間で召喚された十字軍の全てを覆った。
「闇の空間を作っても無駄ですよ。閃光!さあ十字軍達よヤマトを倒しなさい…何をした」
「異空間に落としただけだ」
「…仕方がありませんね。本気で殺りにいきますよ」
遂にユニークスキルを使う気になったか。
シエルは正義の天秤という二つ名が与えられている。
だが罪人の間では冷徹に容赦なく武器を振り下ろす様から無慈悲の処刑台と呼ばれている。
どうやら俺にもそれを味わう日が来たらしい。
「ユニークスキル最後の審判発動。これより汝の審判を行います」
そしてこのユニークスキルは強力な専用魔法が使えるものだ。
その代償にこのスキルより高位のスキルは使用できなくなる。
更に先ほども言った通りに相手の罪状の数だけ自動強化されるという能力を持ち合わせている。
「スキル災厄完全なる障壁龍王の加護発動。そして魔剣氷華水月」
「氷の大地にその剣を振るえば月の加護を得た水で華を咲かすと云われる魔剣氷華水月。…それなら来なさい!神剣粛正の焔!神に代わりあなたを裁きます」
そう言うお前は神器を借りているのか。
だが神器が出ようとやることは変わらない。
徹底的にお前らのプライドを切り裂いてやる。
「氷と炎今二つの属性がぶつかり合います!」
「行くぞ!シエル」
「裁きをくだします!ヤマト」
二人の剣がぶつかり合いヤマトの剣は氷をシエルの剣は炎を出して相殺する。
それにより衝撃が発生して二人は後方へ飛ばされる。
「やっぱり氷と炎がぶつかれば相殺されるのも当たり前か」
「炎の監獄!」
ヤマトの左右に燃えている檻のような物が出現した。
これは相手を拘束する魔法である。
だがヤマトはすんでの所で回避する。
「当たりませんか。なら連続で炎の監獄!」
連続で炎の監獄を使うことで安全地帯をなくす算段だな!
少しでも判断を見誤れば捕らわれる事は目に見えている。
だったらまとめて凪払うまで!!
「水神よ我に」
(水属性魔法の詠唱!その距離から狙い撃つつもりですか?)
「敵を切り裂く力を与えたまえ!水竜の息吹き!」
「炎の監獄を斬った!?」
「ヤマト選手の放った水竜の息吹きが会場の壁に当たり会場が大きく揺れてます!」
「まだだ!合技氷結の浸食!」
「水竜の息吹きを凍らせそのまま凪払ったー!」
氷華水月に水属性を付与すれば自動的に氷属性魔法に切り替わる。
まあ、元から氷属性を持つ剣に水属性を集めればこうなるわな!
そして付与量を調整すれば大剣に化けるんだよ!
「剣技氷牙破砕弾!!」
「氷の弾丸!?」
更に風を纏わせて相手の方に向ければ氷の弾丸ができる!
範囲内にいれば真っ先に餌食になるぞ!
けど羽ばたいて逃げやがったか。
予想以上に修復能力が上がっているな。
「専用魔法を使います!断頭台の刃!」
上空から刃を落とす魔法か!
だが出現から直撃までのラグが大きいから避けれる。
…いや、刃のはブラフで本命はこっちの魔力を喰らう魔法だな!
「専用魔法鉄の処女!!」
ヤマトは鉄の処女に飲み込まれる寸前で回避する。
「今度は逃がさない炎の監獄!」
だがシエルはヤマトが回避した場所に炎の監獄を出現させた。
回避すら計算に入れていたシエルの方が一枚上手だった。
それでもヤマトは炎の監獄を切断して脱出する。
「それも想定内です」
あの刃、落とすだけではなく放つこともできるのか!?
速すぎて回避が間に合わない!
防ぐしかないか!
「断頭台の刃。誰が上からしか降ってこないと言いましたか?」
ヤマトは断頭台の刃に弾かれ後方に飛ばされる。
更にシエルはそれすらも計算に入れていた。
「鉄の処女!今度は捕らえました」
魔力を喰われる前に切断する!
次は炎の監獄の方かよ!
「逃がしません!炎の監獄」
「二度目も切断してやるよ」
「吹き飛びなさい!聖なる柱!」
あの捕縛の繰り返しはこれに繋げるためだったのか!
しかも空中に浮かされたから自由に身動きができない!
というか既にこっちまで飛んできてやがる!
体勢を立て直して反撃を!
「浮…くっそ!」
「浮遊で飛ばないんですか?がら空きですよ!」
「シエル選手の攻撃が至近距離で直撃!入場ゲートの傍らまで吹き飛ばされた!これは決まったか!?」
ヤマトが控え室の横の壁に吹っ飛んできた!?
ここれってかなりヤバくない!
「ヤマト大丈夫!」
「ああ、なんとかな」
…衝撃は和らげた筈だ。
それなのに体の身動きが取れない!?
具体的に言えば何かで縛られている感覚がある!
「何をしたシエル!」
「敵を拘束する魔法捕縛です」
「ということは次は…」
「はい。お察しの通りです。これであなたの負けです」
おいおい、どれだけ魔力集めてんだよ。
これは負けたかもな。
「終わりです!正義執行!」
ヤマトに光属性の魔力の塊が迫る。
だがヤマトは捕縛されていて防御と回避ができない。
「ヤマト逃げてー!」
決勝戦に進まずにヤマト敗退?
いえ、ちゃんと反撃の仕掛けは整えております。
それではまた次の話で!