百二十六話 仲間割れ
仲間割れしつつも最終的には仲直りします。
それでは作戦会議開始!
夜真砥はバンに言われた通り、リリムを連れてきた。
ついでにティナと朧も下に降りさせた。
当然、リリムは警戒して詠唱を始める。
しかし、リリムの前に夜真砥が立って止める。
「気持ちはわかるが止めろ」
夜真砥はリリムの杖に触れて妨害する。
リリムは我慢の限界が来たのか夜真砥の頬を叩いた。
「罪人の味方になるよう育てた覚えはないぞ!」
「俺もそんな感情的になるように育てられた覚えはない」
夜真砥とリリムの言い合いを近くで見ているティナは慌てふためく。
「そいつはサルディア帝国でクーデターを起こしたジュダの仲間だぞ!なぜかばう必要がある!」
「俺だってかばいたくはない」
「なら、そこを退け!」
「確かにこいつはサルディア帝国でクーデターを起こしたのかもしれない。けど報告書にあった特徴と全く一致していない。お前の目の前には今にもくたばりそうな老人が立っているのか!」
俺はこいつの味方を好きでしているわけじゃない。
どの選択が得策が考えた結果がこれだ。
俺がサルディア帝国で見た報告書とダンタリオンのとこで見た報告書との内容が違いすぎる。
なので俺はどんな魔法の影響も受けないダンタリオンの書架にある報告書を信じて行動している。
「あと、その価値観はどこかは来てる?」
「ギルドに手配書があるじゃろ!それに上層部でも注視されておる存在」
「ギルドが言ってたから行動してんのか!上層部の言うことに従う!?見ないうちにつまんねぇ人間になったな!今!目の前で起こっていることで考えろ!あれを倒さないとこの島は終わるぞ!あれを倒れるのなら敵にだって協力を仰ぐそれが俺だ!」
「夜真砥、時間がもったいない。作戦に支障がでるがこいつ抜き出やるぞ。一つだけ言っておく序列二位よ。目に見えるものが真実とは限らん。目に見えないものも真実の可能性がある。さて、作戦を話すぞ」
夜真砥、バン、謎のエルフと柘榴の炎竜の団員は作戦会議をするためにテーブルを囲う。
「リリムさん、大丈夫ですか?」
「バカティナ、今はほっときなさい。マスターの言うとおり、確かにつまらない人間になりましたね」
(夜真砥はなんで奴を捕らえない。奴は敵だぞ)
バンは木片を置き、それを標的に見立てて説明を始める。
「まずは奴の表面を覆っているマグマを冷やして岩にする」
「質問いいか?冷やしたとしてもすぐに元に戻ってしまうのでは?あと、あれだけの量のマグマをどう冷やす?内部も冷やさないと意味がないぞ」
「それはお前にやってもらう。それと安心しろ。マグマは元には戻らない」
どこが安心しろだ。
あれだけの量のマグマを冷やすとなるとかなりの魔力を使うことになるぞ。
本体はお前らだけで倒すのか?
「その役は夜真砥には不向きじゃ。儂がやる」
「…リリム」
「今回だけだぞ。それと使うのは極氷属性魔法じゃ。急激に冷やせばひびができて砕きやすくなろう」
「なら、その作戦でいこう。あとは砕く。砕いた後はいつも通りの手はずで頼む」
ほう、それならわかりやすい。
要するにいつも通り戦えってことだな。
「それとどうあれに近づく?」
「そこを今から考えるところだ」
…どうせ近づこうとしたら攻撃してくるよなぁ。
障壁を張りながら進めばやれるけど障壁を張りつつ詠唱しながら進むとなると不可能だ。
これは並行詠唱よりもハードなことだ。
なんせ『障壁を張る』、『障壁のための魔力を使う』、『障壁を正しく張る』、『前に進む』、『詠唱する』という行為を同時にするのだからな。
これを一人でやるのは…。
一人でやるのは?
なら一人以上でやればいいんじゃね?
けど連携が取れてないと…。
その適任はちょうどいるじゃねぇか!
「俺にいい案がある」
「いい案?」
夜真砥は考えた案を皆に教える。
「そんな!無謀じゃぞ!」
「でも、それしかないでしょ」
「それで決まりだ。夜真砥、その生徒達を連れてこい」
「了解した。臨時担任としてちゃんと引率してくるよ」
次回!夜真砥、ティナ、朧、月夜、リリム、バン、謎のエルフetcVSヴォルカン島の怪物(魔物化原住民)!
敵との初めての協力バトルですね。
それではまた次の話で!




