百十九話 不思議な戦
開戦!
しかし、柘榴の炎竜団は不思議な行動を取ります!
夜真砥はファゼルに生徒を任せてティナ達の方に向かっている。
念のためにティナ達にはこの島で最も高い建物で見張りをするように頼んだからだ。
「様子はどうだ!」
「いや、何も変わってませんよ。あの人達、港の前に行ったっきり動いてません」
「動いてない?」
本当だ。
港の前に陣取ってヴォルカン島の怪物をにらんでいる。
ということはあいつらは無関係になるのか?
「もしかして召喚獣にでもしようとしてるんじゃない?」
「いや、無理だな。あれは種類別に分類するとゴーレムになる。ゴーレムは作った主人の言うことしか聞かないから召喚獣にはできないんだ」
「じゃあ、何で陣取っているのよ」
「そこがわかんねぇから悩んでんだろ」
何かジュダと戦って以降、おかしなことが続いてるな。
それより、
「月夜、お前は何で逆方向を見てんだ?敵はあっちだぞ」
「気のせいかもしれないけどギルドが指名手配した犯罪者が多数、いたような」
「どっちに向かった?」
「学園の方」
…ここはティナと朧に任せて行ってみるとするかな。
月夜はめったに気のせいという言葉を使わないからな。
「避難所として使われているからおそらく富裕層、目当てでこの島に侵入してたまたま、これが起きて火事場誘拐的な感じをしようとしるんだろ。二人はここで引き続き監視をしとけ。何かあったら連絡な!」
「わかりました。行ってらっしゃい」
夜真砥と月夜は建物から飛び降りてあっという間に学園方面に向かっていった。
ティナはその光景に慣れたのか驚かずに監視を続けているが朧は唖然としてその場に立ち止まってる。
一方、その頃、学園エリアの前ではメルウィスと複数の指名手配犯が対峙していた。
状況はメルウィスが押されている。
それもそのはずこの人は仮の序列三十位だ。
現役バリバリの冒険家だが対魔物にしかその戦法は効かない。
要するに年には勝てないのだ。
「いい加減、倒れろよ!婆!」
「あんたら私の二つ名を知ってるかい?消えぬ希望の灯火だそうよ。全くご大層な鎖をかけられたものだよ。でも、今は感謝すべきかな?おかけで死にそうだけどまだ、やれそうだよ」
「学園長!逃げてください!もう、これ以上やったら…」
「ファゼル!私を愚弄する気かい!…何かあったらその子達を頼んだよ」
血を流しながら敵をにらみつけるメルウィス。
再び剣を振ろうとした時、人混みの中から別の学園の長が出てきた。
「微力ながら私も力を貸そう」
「おや?どういう風の吹き回しだい。フォクス」
「私にも守らなければならないものができたのでな」
「数が増えただけで何ができる!同盟を組んだ俺達の力を見せてやれ!」
道端にいた指名手配犯以外に物陰に隠れていた者も出てきた。
その中にはサルディア帝国の闘技場でティナが倒した盗賊団ハイエナの残党もいる。
「くたばるんじゃないよ!フォクス!」
「そちらこそ!」
二人が指名手配犯の同盟軍と武器を交えようとした時、女性が空から降ってきた。
「女?」
「…賞金首、合計で一億グリラねぇ。復興費の足しにはなるかな?メルウィス、こいつらの首、全部もらうわよ」
「暁先生!?どこに行ってたんですか?」
「おっ!やるじゃんフォクス先生!」
「よそ見してんじゃねぇ!」
無防備な暁に指名手配犯の一人が剣を振り下ろす。
「よそ見してないよ。退屈すぎでわき見してたんだよ」
暁は相手の腕を剣で切り落とした。
「…腕があぁぁぁぁぁ!!」
「生憎、お前らの手配書にはデッド・オア・アライブと記されていたもんでね。生きたいなら頑張れ」
「…暁先生、あなたは何者ですか?」
「私?というか俺はヤマト・ツキカゲだよ。ギルドランク序列一位の」
暁は夜真砥の姿に戻った。
それを見た避難所に逃げていた人々は歓喜の声を上げて対称的に指名手配犯の同盟軍は絶望的な表情を浮かべた。
「というわけで蹂躙させてもらいますね」
先に次の章の予定を少しだけ話して置きます。
次の章は序列十から一位が集合します。
要するにプチオールスター状態です!
それではまた次の話で!