百十七話 フォクスVS暁
フォクスVS夜真砥!
暁は夜真砥の変装なので同一人物です!
優勝したフェイザース学園、四組の生徒は表彰されていた。
だがその横でフォクスが指の爪をかじりながらブツブツ何かを言っている。
何かの詠唱ではなさそうだがこの情緒不安定な奴に手紙を渡すのか?
正直言ってロックには『紛失した』とでも言ってこの状況を逃れたい。
「おかしい!こんなのおかしいぞ!」
やっと口を開いた。
「何がおかしいのですか?」
「私が育てた生徒が負けるはずない!きっと不正をしたんだ!」
いや、不正なんてしなくても勝てるし。
別にお前らが不正したって勝てたわ。
「証拠は?」
「証拠は後で出てくる!」
無茶苦茶だな。
「出てこなかったら?」
「もみ消したに違いない」
バカだこいつ、多分、頭のネジが緩んでとれているんだろう。
誰か頭のネジを止めるドライバーを持ってないか?
「話になりません。四組の優勝はもう、変わりませんから」
「なら決闘だ!私が勝ったらもう一度、試合をしろ!」
いや、そんなことできるわけねぇだろ。
玩具を買ってもらえなくて駄々をこねる子供か。
でも、いつまでもこのままじゃ進まないし…。
「いいてすよ。あなたの全てを私にぶつけてください」
「後悔するなよ」
「おーっと!ここで決闘宣言だ!運営委員会から先ほど承諾が出ました!それでは決闘を始めますので決闘する者以外は観客席に上がってください!」
あの実況席で実況してる奴ってサルディア帝国の時に俺達の試合を実況していたリコじゃね?
ミスターナレーターで存在が薄かったけど確実にあいつだ。
今回はミスターナレーターはいないんだな。
「私はいつでもいい」
レイピア、珍しい武器を使うな。
最近、あまり見てないから新鮮だ。
じゃあ、俺は、
「素手でいきます」
「舐めているのか?」
「舐めてます」
程よい挑発大成功!
「それでは決闘開始!」
決闘開始の合図と同時にまずフォクスが動き出した。
獣人、特有の素早さを活かして夜真砥に近づいて連続で突く。
レイピアは斬る武器ではなく突く武器なので剣技は使えず代わりに槍技が使える。
「槍技ライジングホーン!!」
ライジングホーン、雷属性を纏った武器で相手を突く槍技である。
「暁先生に直撃だあぁぁぁぁぁ!!」
(これで奴は痺れた。後は恥をさらさせて二度と世間に出れなくしてやる!)
「槍技連撃!!」
「これはスゴいぞ!フォクス学園長!押している!押している!さすがフェイザース学園の学園長は伊達じゃない!」
「槍技爆発槍!!」
爆発槍、槍先に炎属性を纏って突きと同時に爆発させる高威力の槍技である。
(決まった。これで奴の服はボロボロだぁ)
「いやいや、エロ狐は困りますなぁ。いろいろな意味でね。それより何かしましたか?」
「バカな…!あれほど技を喰らって無傷だと…」
あれほどの技を喰らって無傷でいる夜真砥を見て観客は驚きの表情を隠せなかった。
友達に頬を引っ張ってもらったり目をこすったりしてる者もいる。
「圧倒的な力というものはすぐに見せるものではなくまずは相手の攻撃をワザと何回も喰らって見せるものです。その時、相手は悟るはず圧倒的な力の差ってものを」
「ウソだ…。ありえない私の技が効かないだと…?何者だ…。何者なんだお前は!」
「ただの臨時担任です。彼方より吹きし風にのり美しく華麗に舞え薔薇の花びらよ。敵の血をすすり白き花びらを赤き紅蓮の花びらに変え咲き乱れろ!風属性魔法!鮮血薔薇の竜巻!!」
鮮血薔薇の竜巻、風属性の魔法で魔力で作った鋭い白薔薇の花びらで相手を切り裂き竜巻で相手を浮かす。
その様はまるで敵の血を吸った薔薇の竜巻、ゆえに鮮血薔薇の竜巻。
(マズいこのままでは宙に浮いて身動きが!)
夜真砥は宙に浮いたフォクスを脚技で蹴り落とす。
「脚技落雷!」
落雷、雷属性を足に纏わせて上空から相手めがけて突撃する脚技である。
纏う雷属性の量によって威力が変わる。
そして威力が上がるほどに反動もくることになっている。
「もう一度、言います。チェックメイトです」
「…勝者!暁先生!」
夜真砥はフォクスを完膚無きまでに叩きのめした。
次回は夜真砥がフォクスに手紙を渡して閉会式をする話です!
そろそろバンが出てくる頃合いですね。
それではまた次の話で!