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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第二章 チートキャラは王都魔法闘技会に出場してください!
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12話 面白バトル開幕!

 面白バトルする前に少し買い物します。

 さらに謎のペット出てきます!

 そしてティナちゃんは念願のソフトクリームを!

 今日は闘技場の点検のため午前の部の試合は行われない。

 試合観戦をしないのなら稽古でもつけてやろうと思ったがやりすぎはよくない。

 そんなわけで俺はティナに街を案内することにした。


「まずは何したい?」


「ソフトクリーム食べたいです!」


「じゃあアイス屋を探すか」


 王都正門の近くを通った際にアイス屋を見かけたのを思い出して二人は正門近くを訪れた。


「アイス屋がない!」


「ワゴン車だったからな」


「うーっアイス屋探せる魔法ないんですか!」


 理不尽な怒りを撒き散らすな!

 それにそんな面白おかしな魔法あるわけ…。

 いや、アイス屋探知魔法ではないが見つけられる。


「ちょっと離れてろ。跳躍(ちょうやく)


 ヤマトが勢いよく飛び上がった!

 然り気無く何度も披露してるけど魔法を使っても普通はあんなに高く飛び上がれないよね!


「すれ違っていた王宮の方角だ」


「ジャンプして探したんですか」


「それ以外に何がある?」


 その後、俺達は王宮付近を練り歩いていたアイス屋でソフトクリームを無事に買うことができた。

 貴族の館も近いことから坊っちゃん嬢ちゃんも並んではいたがティナは全く気にせずに目を輝かせて並んだ。

 貴族の館前で心を弾ませながらソフトクリームを買う貴族の子供と魔王の娘とか随分と滑稽な場面だな。


「一個、百五十グリアでした。…この武器と防具を買わなかったらソフトクリームがいっぱい買えましたね」


「換金したら破門にする」


「…それより祭りみたいになってますね!」


 お前、この雰囲気を察して話をそらしたな。

 まあ、流石にティナも武器・防具の換金はしない筈だ。

 したらしたで呆れながら破門するしかない。


「大会二日目だ。祭り騒ぎになって当然だ」


 そうか祭り騒ぎになってるならあそこも…。


「ティナ、少し寄りたい所がある」


「何処ですか?」


「秘密」


 秘密って言ってくれたっていいじゃないですか。

 ヤマトの後を追って沢山の店が並んでいる場所を訪れた。


「ここは?」


「物々交換できるマーケット」


「普通に買えば?」


「普通の店ではお目にかかれない物がたまに置いてあるんだよ。さてと何があるかな?」


 マーケットには魔物の素材に掘り出し物の魔導具、そして様々な国の特産品が至る所に並べられていた。

 一応、俺の国の商品もあったがガラクタ程度の物しかない。

 ちゃんとした店にしか並ばないからなあれ等は。


「…下級召喚獣の召喚魔法陣か」


 俺はテーブルの上に置いてあった紙に目を奪われた。

 周りの奴らは無視しているがこれは明らかに下級召喚獣の召喚魔法陣だ。

 召喚魔法陣は普通の人には書けない。

 まあ、俺も書けるが今は専用の道具を持ち合わせていない。


「兄さん目がいいね!だけどこれはかなり高級な物ではないと交換できないよ」


「理解している。これならどうだ?」


 ヤマトは収納箱(ボックス)から透明な瓶を一つ取り出して見えやすいようにテーブルの上に置いた。

 中には粘り気のあるどす黒い液体が入っている。


「バジリスクの猛毒一リットルでどうだ!」


「バジリスクの猛毒!?」


「お~!」


「兄ちゃんあんたすごいな!こんなの何処で手に入れた!」


 周囲からヤマトに感心の声が上がる。

 バジリスクの猛毒ってそんなにすごい物なの?


「バジリスクの猛毒は触れただけで死に至る猛毒だ。採集できるのは熟練の冒険者だけ。それと物々交換の果てに俺の手元に来た物ではない。この手でこれに入れた。そして毒性は抜いてあるため様々な物に使用できる。もちろん、猛毒耐性付きの防具だって作れるぞ」


「負けた!持ってきなこの召喚魔法陣はあんたの物だ!」


 俺は物々交換を済ましてマーケットから立ち去った。

 そしてバジリスクの猛毒は瞬時にバイヤーとの間で取引されている。

 それと『猛毒』と言ったが毒性は魔法によって打ち消している。

 仮にあれを再び毒物に戻せる者が居たのなら相当の腕前だ。

 そのためバイヤーが再び毒物としてあれを売りには出せるとは思っていない。


「あの様子だとかなりレアなアイテムだと思うんですけど交換しても大丈夫だったんですか?」


「大丈夫だ。あれより大きい瓶がまだ八個ある」


 なんとなくわかってました。


「それでその召喚魔法陣どうするんですか?」


「ティナが使う」 


「私が?」


「まあ王宮に行ってからのお楽しみだ」


 私達はマーケットを訪れたのを最後に王宮ヘ戻った。

 午後の部は行われるし仕方ないよね。


「この召喚魔法陣を持って魔力を注げ」


「はい!ところでこの子供達は?」


「バトラーの子供だ。皇太子殿下、皇女殿下、召喚魔法は初めてですか?」


「うん!この女の人誰?ヤマトの恋人?」


 そんな風に見えるのかな私達?

 私は嫌だけどヤマトがそう言うのなら演じてもいいけど…。


「ご冗談を。ただの弟子ですよ」


 一瞬で否定された!

 …言われた通りに魔力を注いでやる!


「光出しましたよ!」


「成功だ。そうそう、言い忘れたが買った魔法陣だから出てくる召喚獣は不明だ。ゴブリンが出てきても泣くなよ」


 え!?ちょっと待ってそれを先に言ってよ!

 しかし、ゴブリンとは似つかない可愛い生物が出てきた。

 人型ではなく動物型で体毛がフワフワしている。

 旅をしたら牧場でよく見かける羊のような召喚獣であった。


「スケープシープ、回復魔法を使う召喚獣だ」


「スゴいスゴいモフモフしてる!可愛い!これからよろしくね!」


「メェー」


 …もう俺達の試合が始まる頃合いだな。

 今から向かえばに三十分前には着いて余裕で準備ができる。


「そろそろ闘技場に行くぞ」


「はい!」


「ヤマト、僕達も行きたい」


「殿下達はお留守番です」


 皇太子殿下と皇女殿下の後ろに立っていた執事が止めた

 おそらく、バトラーの言いつけだろう。

 あんな化け物が大会に出てきたら子供達を連れていけないのも無理はない。 

 というか観戦するにはまだ若すぎますよ御二人は。





「さあ!大会二日目準々決勝最後の試合です!」


 昨日の騒動で多くの参加者が辞退したんだな。

 本来ならまだ準々決勝をするには早い。

 噂によればハデスと当たった相手は小便漏らしてリタイアしたらしい。


「それでは選手入場です!最後はヤマト選手とフウガ選手の試合です!」


「フウガ?ヤマトみたいな名前ですね」


「俺と同じ国の選手だろう」


 俺はゲートから入ってきたフウガを見て驚愕した。

 …この試合、かなり面白くなりそうだな。


「妖怪鎌鼬(かまいたち)か」


 男の顔は鼬で体に風を纏っている。

 また武器は日本刀と鎌鼬が好んで使用する鎌だ。

 まあ、名前にも入ってるし使わないとおかしいのか?


「俺の正体を見破るとはやはりお前、日の本の国出身者か」


「そうだが?…ツキカゲと名乗ればわかるな」


「ツキカゲ?ハッハハ!貴様まさか追放でもされたのか?」


 ヤマトが追放された?


「そういうお前こそ群の中にいなくていいのか?」


「追い出されたんだよ!俺の戦い方がずさんだとか魔法がムカつくとかよ!何なんだよ俺ってそんなにダメな妖怪か!」


「過去等どうでもいい。それともお前はこの場に自分の過去を語りに来たのか?違うのならさっさと準備しろ」


「ところでミスターナレーターさん、妖怪ってなんですか?」


「日の本の国での魔族や魔物の呼び方です。呼び方が変わるだけでたいして変わりません。それはさておき試合の実況はお馴染みこの私ミスターナレーターと」


「この私リコがお送りします!それでは」


「「試合開始!」」


 試合開始の合図と同時にフウガが風の威力を強めた。


「風属性魔法(ハリケーン)お前に避けられるかな?」


「余裕」


 俺は勢いよく地面を蹴りフウガの懐に飛び込み胸ぐらを掴んで後方に投げ飛ばすがフウガは体制を立て直し突っ込んできた。

 だが一直線すぎて交わす必要がない。

 ここは全力で顔面に一発お見舞いしてやるか!


「ヤマト選手、意図も簡単にフウガ選手の顔に熱いパンチをくらわした!」


 おいおい、炎属性魔法使ったような言い方するなよ。


「まだだ!今度は顎!」


「ぐはっ!」


「今度は顎を殴った!」


 そして相手が男の場合は弱点を蹴飛ばす!

 対策してないのなら防ぎようかないぞ!


「次は股間を蹴った!これは痛い!」


「男なら誰しも経験した事ある…。痛みだね…。こちらにも伝わってきたよ…」


 うわっ、この戦い方は絶対に真似したくない。


「今のは卑怯だろ!!」


「戦いに卑怯も糞もないだろ?」


「なにカッコつけてんだ!ぜってぇ殺す!風刃(ふうじん)風刃(ふうじん)風刃(ふうじん)!」


 フウガは連続で風刃(ふうじん)を放つ。

 だが俺は全て避けきり再びフウガの懐に飛び込み今度は鳩尾を勢いよく殴る。

 そして反撃を喰らう前にまた胸ぐらを掴んで後方に投げ飛ばした。

 

「焦りすぎだ」


 流石のフウガも二度も同じ目には遭わない。

 風属性魔法で体制を立て直すと日本刀に持ち替えて水平に振るい魔法を放ってきた。


真空斬(しんくうざん)!」


 真空により作られた刃が俺の方に向かって飛んでくる。

 刃は俺の皮膚にかすり傷をつける。

 先ほどの風刃(ふうじん)とは違って精度がいい。


「ふーっ、そろそろ決着つけるか!」


 ヤマトは収納箱(ボックス)から剣を取り出す。

 しかし、一度も使わずに元の場所に戻した。


「は?出す剣を間違えたのか?」


 武器は間違えてはいない。

 だが切断系の武器ならどれでも良かった。


「お前は俺のよりも自分の武器を見てみたらどうだ?」 


「…はぁ!?どうなってんだこれ!?」


「ななななんと!フウガ選手の武器が全て斬れてます!」


「これはヤマト選手が得意とする剣技だ!」


 刹那が贈る静寂の死(サイレントデス)の殺さないバージョンその名も


「剣技間斬り(まぎり)。試合は焦らず冷静に行うこと。次は何処をやれるかな!」


(この動きはまた殴るのか!?いや、今度こそ本気で斬りに!?とりあえず動け!)


「正解は再び鳩尾に一発ぶち込む!」


 絶え間ない打撃を受けてフウガは悶えながら転移した。

 一方でヤマトは無言でフィールドを立ち去る。


「フウガ選手が転移したということは」


「準々決勝最後の試合はヤマト選手の勝利だあぁぁぁぁ!!」


 会場全体からヤマトに歓声と拍手が送られる。

 戦い方はイヤだけどいつか私もこんなに強くなりたい。


「おめでとうございます!」


「ティナ、俺は行くとこあるから先に王宮に戻ってろ」


「はい?」


 まあ、行くとこは同じだけどな。


 俺は王宮の救護室前に転移した。

 理由はフウガに用があるからだ。

 データを見る限りではフウガは犯罪をしてない。


「何だよ俺を笑いに来たのか」


「ちげぇよ」


「じゃあなんだよ!」


「これ持って日の本の国に行け」


 俺は収納箱(ボックス)から刀を取り出してフウガに渡した。


「刀?…悪いこと言ったなあんた追放されてなかったんだな」


「だろ。こういう誤解もあるから念のためにと持たされたヤツだ」


「でも何で?」


「雇ってやる。それを親父に見せたらわかるだろ。手紙をつけようか?」


「でも俺は追放されて」


「過去なんかどうでもいいって言っただろ。それにお前の戦い方は結構良かったぞ」


 フウガがいきなり涙を流し始めた。

 おいおい、そんなに泣くことかよ。


「…別の形で再び国に戻してくれてありがとうございます。いつかこの御恩は返させていただきます」


「それじゃあ達者でな」


 俺はフウガに別れを告げて王宮の部屋に戻った。

 フウガは俺が部屋から立ち去った後もずっと泣き続けていた。


 明日は大会最終日、昼に準決勝、夜に決勝戦が行われる。

 決勝戦には絶対にハデスが出てくる。

 公の前で堂々と宣言したし久々に大暴れするか! 

 

 謎のペットは羊の召喚獣スケープシープ!

 これからも出てくる予定です。

 それではまた次回の話で!

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