百九話 第三走者
リザードマンのマーシュが森林を全力疾走します!
演習用大森林、魔物がこの島で唯一、管理された状態で生息している。
そして申請書さえ提出したらいつでも使える。
冒険家育成の学園であれば実戦訓練に工業系の学園であれば素材調達のためになど様々な用途で使われる。
さらに難易度別にエリアが壁で区切られておりレベル三まである。
四組がサバイバルをしていたのは難易度レベル一だ。
第三走者はこの演習用大森林に入って学園方面に向かっていく。 ルートはレベル一の大森林を通りレベル二の湖畔、岩盤地帯を通ってレベル三の火山山頂まで行って降りてくる。
その際に山頂に到達した証拠としてそれぞれの学園とクラスが書かれたカードを取ってくる。
コツとしては川辺に沿って行くことと魔物に出会わないことだ。
「ベルの譲渡が活かされている。これも先生の作戦だったのかな?」
譲渡の応用とは自分が自然に持つ特性を相手に一時的に貸すことだ。
獣人族であれば驚異的な身体能力をエルフであれば自然を感じる特殊な力をそしてドライヤドなら土地勘を。
それによりマーシュは迷わずに川辺を通らずに最短ルートで先頭を走るフェイザース学園を追い抜くことができる。
というかすでに追い抜いた。
それを見ていたフェイザース学園の第四走者は口が開いてふさがらない。
「どうなってんだ…あれ」
「あなた達が散々バカにした落ちこぼれ達の成果ですよ」
「ファゼル先生」
「うちの生徒達はこの日のために死ぬほど努力してました。優勝候補か強豪校かどうか知りませんがあなた達に負ける気はありません」
頭脳戦を得意としているファゼルの本領が発揮された。
全てファゼルの作戦のうちである。
本人はルーも譲渡で能力をベルに渡してくれると思っていたが的が外れたようだ。
「よし!山頂に到達した!」
(後はこのカードを持って下りるだけ)
「しっかし活火山じゃないのにやたら熱いな。皮膚が渇きそうだ。さっさと下りよっと」
リザードマンのマーシュは乾燥に弱いので火山から早めに下りた。
そして誰にも追い抜かれることなく演習用大森林を抜けて第四走者のヴァルトが待つ場所に到着した。
「後は頼んだ!譲渡!」
リザードマンの能力は俊敏さである。
足場の悪い環境であればよりその力が発揮される。
「おう!」
「マーシュ君、お疲れ様です。ヴァルト君、このエリアは順路が設定されていません学園の中を通ってもよしとにかく妨害には注意してください」
「わかりました!よっしゃ!行ってくるとするぜ!」
ヴァルトは元気よく走り出した。
次回、第四走者!
こんな感じでやっていくので二日目の朝は飛ばしますσ(^◇^;)
それではまた次の話で!