百一話 異空間の書架へ
前から言っていたダンタリオンのところに行きます!
翌日、まだ魔力、体力というありとあらゆるもの全てが回復しきってない俺はわざわざ学校の大図書館の前にわざわざ朝っぱらから立っていた。
「眠い。今、何時だよ~」
「朝の六時だ。寝坊助なガキども注目!」
「ガキって先生と俺達って二歳差だよな?」
残念ですが夜真砥は四十代です。
転生前の年齢を合わしたら。
っていうか六時起きなんて夜真砥と旅をしてたら当たり前だし。
「とりあえず話を聞け。これからダンタリオンのところに行く」
「召喚じゃないんだ」
「魔族の上位種だから無理だ。なので俺の通った場所を辿ってくるよに以上」
「なので?」
「特殊な場所に入るには特定のことをやらないと入れないんだ。今回は特定の道を歩くだ」
そう言うと夜真砥は生徒達を引き連れて図書館の中に入った。
そして本棚の間を通ったり本棚の周りを何度も回ったり二階に行ったり三階に行ったり一階に行ったり同じ場所を何度も行き来した。
「…あとどれぐらいだ?もう無理~」
「終わったぞ」
最後に大図書館の奥にある古文書の本棚がたくさん並べられている場所に到着した。
「何もいないですよ」
「夜真砥先生、どこかで道を間違えたのでは…」
「ファゼル先生、絶対に生徒をこの円の外に出さないでくたさい」
「わかりました」
あとやることは古文書に書かれた魔法陣や言語、この場に満ちている魔力を利用して異空間への扉を開くだけだ。
夜真砥は古文書が置かれている場所を変えたり本棚の位置などを変えた。
すると、
「本棚が動き出した!?」
「転移魔法の一種だ」
そして本棚が止まり眩い光が当たりを包んだ。
「目を開けろ。ようこそ異空間の書架へ」
「何だここ!?」
夜真砥達はダンタリオンがいる異空間の書架に転移した。
「スゴい!何か幻想的な空間に本がいっぱい浮いている」
「…これって…やっぱり!魔導書の原典じゃないですか!」
「そう!ここにある本は全て原典!写本なんて一切、存在しない!知識はたくさん養える!遠慮なく読みあされ!」
「遠慮なく読みあされじゃない!私の憩いの場に君は何人連れてくるんだね!」
頭上から髭を生やした摩訶不思議な格好をしている中年男が現れた。
何となくわかるこの人がダンタリオンだ。
魔族の勘ってやつかな?
「別に減るもんじゃないんだしいいだろ」
「そういう問題じゃなくてね!しかも誰に似たのかズカズカ遠慮なく気軽に入ってきおって…。おい、リリム!貴様の弟子がまた結界を通り抜けてやってきたぞ!しかもオマケ付きでな!」
何だ師匠もいるのか。
ここの行き方を教えてくれたのは師匠である。
場所によってルートは変わるがやることは同じだ。
漂っているダンタリオンの魔力を辿っていくだ。
「なんじゃ夜真砥も来ておったのか」
「さっき来たばっかだ。師匠こそ何やってんだ?」
「魔力の回復がてらリラックスしてるところじゃ」
「だからって私の憩いの場を使うな!」
ダンタリオンは魔力や知力はあるが攻撃力が全くないので俺達を無理矢理、追い出すことはできない。
ちなみに魔法を使うとこの空間に何かしらの異常が発生する可能性があるのでここでは使えないのだ。
「独り占めするな。儂らにもこの場所を提供せんか」
「そうそう。損はないんだから良いだろ」
「そういう問題ではないとさっきから言ってるだろうがあぁぁぁぁ!!」
「図書館ではお静かに~」
「やはり私は貴様らのことが嫌いだあぁぁぁぁ!!」
ダンタリオンさんもいろいろと苦労しておるんだね。
夜真砥の図々しさはリリムさんから来ているんだ。
私もそのうちこうなるの?
…さて、どんな本を読もうかな?
たくさんあるから迷っちゃうなぁ。
生徒達は各々、自分が知りたい魔法などが書かれている本を読み出した。
ちなみに月夜と朧らはもう地上にいます。
それではまた次の話で!