九十話 序列昇格試験
序列昇格試験始まり!
そしてあの熱い男がこの島にやってきた!
夜真砥が決闘の準備に取りかかってから一日経過した。
順調にサバイバルをしていくティナ達だが外の慌ただしさには全く気づかなかった。
アルカデミア島にある学校は全て休校、ある売場では長蛇の列、そして中央広場にはアディーとは別のアナザーディメンジョンデーモンが門の横に立っている。
その門の奥ではギルド職員、総出で試合会場を作っている。
誰が予想したであろうかいや、予想などできなかったであろう。
アルカデミア島に来る旅行者は増大。
アルカデミア島の商人達は門の向こう側にできる屋台使用権を取り合っている。
何かあるのか?
何かなんてもんではないアルカデミア島で序列昇格試験が行われるのだ。
序列昇格試験が行われるのは珍しいことではない。
では、なぜこのような現象が起こっているのか?
なぜなら序列昇格試験をするのは序列二位リリム・リデルだからだ。
無論、そうなると戦う相手は確定する。
現在、ギルドランク序列一位、勇者の称号を持つヤマト・ツキカゲだ。
そしてあっという間に序列昇格試験が行われる日曜日になった。
それと同時にティナ達は門の向こう側に行き自分達の席に座る。
席は夜真砥がギルドを通じて取っておいたのだ。
もちろん、ティナは変装している。
「先生、序列昇格試験ってなんですか?」
「ギルド全体での順位、序列はある程度、ギルドに貢献すると入れるようになるんだ。それを上げ下げするのはその人の前の人、または後ろの人との実力がそれ以上かそれ以下の時だ。しかし、何百位以上になると一個人の判断で上げ下げできないなので直接、実力を見せてもらおうというわけだ。それが序列昇格試験の最終テスト、昇格試合、またの名を英雄決闘」
「普段からこんなことやってたらニュースになるよな?」
「ヴァルト君の考えは理解できるけど昇格試合は一年間で何十回も行われるんだ。でも、その昇格試合は百位以下がドングリの背比べをしてるようなものだ。昨日だって二百十二位と二百十三位の昇格試合があったよ。二百十二位の人は無事、死守できた。今回のは昇格試合の規模が大きいんだ。これに勝った者は次の大陸のギルドマスターつまりグランドマスターになるかもしれないからね。それに夜真砥先生は勇者の称号を持っている。その戦いぶりを一目見ようとこの島に観客が押し寄せてきたのだよ」
「なるほど」
夜真砥の凄さが改めて実感できる光景だな。
向こうの観客席には夜真砥の名前が書かれた旗や夜真砥の大きな顔写真を持っている観客がいるし。
観客達は今か今かと昇格試合が始まるのを待ってる。
そして時は来た。
実況席に二人の男が現れた。
「盛り上がってるかテメェら!長らくお待たせしました!昇格試合の始まりだあぁぁぁぁぁ!!」
あ、ミスターナレーターさんだ。
横の人は誰だろう。
ミスターナレーターのによる昇格試合、開始の合図により観客達はまだ見えぬ選手達に拍手喝采を送った。
「そして特別実況はこのお方だ!」
「やあ、世界中の全種族の皆さん、オルストリア大陸、グランドマスター、ディラウス・アルファストだ」
グランドマスター!?
「おいおい!ギルドマスターのディラウス・アルファストがいるぞ!」
「お気づきの奴もいると思うが審査員はギルド上層部の面々、序列上位者だ!その中には今回、昇格試合を挑んだ二位の弟子二名もいるぞ!」
ホントだ!
ジャックさんとヒルデさんがいる!
「夜真砥と師匠の昇格試合か…。この会場保つよな?」
「安心しろ。あたい達がジャックの代わりにちゃんと設営したよ」
「なら安心だ」
今回、ジャックとヒルデは審査員としてアルカデミア島にやってきた。
審査といっても点数は付けない。
不正がないか見るだけだ。
「それでは大きな声援で迎えてくれ!選手入場だ!」
次回、選手入場!
それではまた次の話で!