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勇者の弟子は魔王の娘?~魔王になれなかったので勇者の弟子になります!~  作者: 寅野宇宙
第二章 チートキャラは王都魔法闘技会に出場してください!
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9話 レッツゴー王都!

 第二章開幕!

 

 ヤマトの言う『楽しい事』をするためにヤマトとティナは王都に行く途中の森で休憩をしていた。


「はぁ~」


「どうかしたんですか?師匠」


「これ見てみろ」


 師匠がさっき読んでいた紙の束を渡された。

 世間では新聞と言うらしい。

 先ほどすれ違った行商人から買った物だ。

 そして、そこには嬉しい事が書いてあった。


「『サンドリア防衛戦冒険家の圧勝そこには序列一位のヤマトの姿も』、師匠!私達、新聞に載ってますよ!良くわかりませんけど!」


「見るとこが違うわ!バカ!」


 俺はその記事の下の方を指した。


「バカは余計ですよ!えっと『ヤマトは魔族を弟子をとった』と。…これ私ですよね?」


 いや、当たり前だろ。

 俺がお前以外の弟子をとっていると思っているのか?

 それとも自分は魔族ではないと思っているのか?


「これから色々とめんどくなるな…。はぁ~」


「溜め息すると幸せが逃げるってパパが言ってましたよ。それより疲れました~!休みましょうよ~」


 かれこれ私達はサンドリアからずっと歩きで約150キロもの道のりを歩いてきた。

  それと道中で生まれて初めての野宿をしました。

 ずっと宿を転々としながら師匠を探していたので慣れなかったけど案外普通でした。


「これぐらいでへばるな!!残り25キロほどだから頑張れ~」


「無理ですよ~。ヒルデさんみたいにドラゴンとか居ないんですか~」


 さすがにドラゴンとかは居ない…。

 いや、ドラゴンではないけどあいつが居たな! 


 俺は収納箱(ボックス)から馬車と召喚石を二つ取り出して召喚石を叩き割った。


「馬が居るなら何で最初っから出さなかったんですか!」


「馬じゃない歴とした召喚獣だ」


 目の前に鎧と黒い炎を身に纏っている召喚獣が二頭が現れた。

 闇炎馬(あんえんば)、上級召喚獣で歴戦の将軍の戦車を引いてたりする戦闘馬としての側面の方が強い。

 けど俺は戦闘には使用しない。

 数年ほど前まで移動手段として良く使っていたものだ。

 そして黒豆、黒吉と呼んでいる。


「でもこれで楽できますね。よしよしお利口さんですね」


 私は召喚獣のたてがみを撫でようとした。


「言い忘れたが気安く触ると噛むぞ。基本、召喚主にしか」


「師匠、噛まれました~」


「懐かない…。はぁ~、これぐらい大丈夫だ。早く馬車に乗れ出発だ」


 俺は手綱を握り馬車を出した。

 馬の扱い方を教えるためにティナは横に乗せている。


「ところで何で師匠の周りの物は黒い物だらけなんですか?」


 言われてみれば確かにそうだな…。

 一応、昔からの習慣のようなモノだが、とりあえずこう答えておこう。


「カッコいいから」


 単純な答えだった。

 そういえばパパも偶に黒い服を着ていたな。

 かなりのレアケースだけどド派手な服を着ていた時もある。


「今更ですが何で師匠はリリムさんの事を呼び捨てで呼んでいるの?師匠じゃないの?」


「大魔導士リリムの十箇条その十『師匠のランクを越えたらどんな呼び方でも構わない』」


「何ですか?それ」


「リリムが勝手に作ったルール」


 まあ、見事に俺はリリムのギルドランクを越えたがな。

 当時はリリムに泣きつかれながら『師匠と呼べ~師匠と!呼び捨ては許さんぞ~!』と言われた。

 序列入れ替え戦なだけあって勝ったのに周りの目が痛かった記憶があるな。


「ティナは俺の事は呼び捨てで良いぞ」


「じゃあ遠慮なくこれから呼び捨てでいきま~す」


 おいおい、少しの躊躇いもなく受け入れたな。

 少しは『師匠を呼び捨てで言うのは流石に』とか言えよ。


「ところであの…ヤ、ヤマト」


 結局、戸惑うのか…。


「言いたいことはわかるが何だ?」


「何か視線を感じませんか?」


 ティナの頭を撫でながら俺はそばに置いてあった剣を取って立ち上がった。


「よくわかったな。ティナが成長した証だ」


「それで結局、何なんですか?」


「追い剥ぎだ。要するに賊の類。…そろそろ頃合いだし対処するか!」


 俺は立ち上がるのと同時に鞘から剣を引き抜き周囲の木々を衝撃で震えさせる。

 ティナの頭を撫でたと言うより押さえてたの方が正しいな。

 立ち上がられるとティナの頭と胴体のお別れ会を開いてしまうけらな。


 まるでピニャータを割った時のように落ち葉や枯れ枝が落ちてきている。

 本当に無茶苦茶な事をあっさりやってのけるなこの人。

 それと頭を抱え込んで地面に倒れ込んでいる山賊と思しき人族が居る。

 何か息切れをしてない?


「尾行してんのバレバレなんだよ。もっと気配を殺せ。それと相手の力を見誤りすぎだ」


「あんたゼェハ…いつ…から…気づ…ゼェハ…いてた」


 死にそうになってますけど大丈夫ですか?


「最初っからずっと」


 最初っから気づいてたのならすぐに対処してやってください。

 かわいそうです。


「で、殺り合うか?」


「待て待て降参だ!ゼェハ…すぐゼェハ…捕まえ…てくれ」


 それは助かる。

 これ以上時間を潰したくないからな。


「それじゃ拘束するから両手を後ろに回せ」


 山賊、計六人を拘束して馬車の荷台に放り込んだ。

 逃げようものなら即刻、斬り伏せる。


「もっと優しくできないんですか?」


「相手は金品、挙げ句の果てには命や尊厳まで奪う賊だぞ。慈悲を与えるのは聖職者だけで充分だ」


 馬車を走らせると数分程で森を抜けた。

 そして、ちょうど森を抜けた所に小さな町が在ったので、そこに駐屯していた兵士に山賊を引き渡しておいた。

 兵士が駐屯していたって事は王都は誓いな。


「まだですかぁ~」


「横を見てみろ」


 ヤマトに言われるがまま私は体を起こす。

 そして横の景色を見てみた。


「ヤマト!あれ見てください!大きな湖があります!」


 海を見て大きな湖とは面白い発言だな。


「あれは湖ではない。海っていうヤツだ。湖とは違って塩水でできている」


「あれが海!?早く間近で見てみたいです!それとあれは何ですか!とても大きなお家がありますよ!」


 とても大きなお家?ああ、城の事か。

 ティナの住んでた魔王の根城はあんな感じの城じゃなかったんだな。


「あれは城だ。皇帝が住んでいる」


 ティナの好奇心旺盛な質問に答えていると馬車は王都の門に到着した。


「貴様、どこの国の者だ!」


 門番が槍を構えながら俺に質問してくる。


「大会の参加者だ」


「戯れ言を申すな!上級召喚獣に馬車を引かせておいて何が大会の参加者だ!」


 そういえば闇炎馬に馬車を引かせているんだった。

 確かに上級召喚獣に馬車を引かせている奴とか警戒対象になるわな。


「これで大丈夫か?」


 俺はギルドから受け取った依頼の紙を門番に見せた。


「これは失礼しました!ヤマト様とは知らず。おい!門を開けろ大会参加者のお通りだ!」


 鈍い音を上げながら門はゆっくりと開く。


「ヤマト、フードを取ればよかったんじゃないんですか?」


 そういえばいつも通りフードを被っていたな。

 道理で俺だとわからない筈だ。


「それと大会って何の事ですか?」


「今回の依頼の事だ。皇帝陛下直々のな」


 皇帝陛下直々の依頼?

 ヤマトってやっぱり凄い人だ!

 皇帝から直々に依頼を受けるなんて!


「サンドリアより広いですね」


「王都だからな。名はカルゴア、面積はサンドリアの約三倍はあるぞ。それとサンドリアを含めてこの辺り一帯はサルディア帝国に属していてここが王都だ」


 約三倍!あの街より約三倍の広さがあるの!

 迷子にならないように気をつけよ。


「さっきから気になっていたんですけど、あの人達は何を食べてるんですか?」


「あれはソフトクリームと言う甘いスイーツだ」


「スイーツ?!食べてみたいです!」


「後でな」


 ヤマトは馬車を進ませて城の門前までやってきた。


「ヤマト様の到着だ!」


「すぐに門を開けろ!」


 ヤマト、とてつもない歓迎をされている。

 もしかして日の本の国の王子様とかじゃないよね?


「馬車を降りろ」


「は~い」


 ヤマトは闇炎馬を召喚石に戻して馬車と一緒に収納箱(ボックス)に入れる。

 そして二人は敬礼をした兵士に見送られて正門から入城した。

 ヤマトは堂々と歩いているがティナは初めて外出した子犬のように珍しそうに当たりを見回しながら移動している。


「あんましキョロキョロすんなよ。迷子になっても知らんからな」


「だって初めてお城の中に入ったんですよ!ヤマトは初めてじゃないんですか?」


「十回以上はここに来ているな」


 うわっ、たった一言から溢れ出る説得力…。

 この人もしかして世界最強何じゃないのかな?


「いつも通り玉座の間に居るのか。そう緊張すんな!気楽に行け」


「無理です…。今にも心臓が飛び出そうです!」


 皇帝陛下に会うのなんて初めてだもん!

 気楽に行く方が無理があるよ!


「ヤマトだ!入るぞ!」


 俺は勢い良く玉座の間の門を開ける。


「よくやってきたな!ヤマト」


「よお!元気にしてたか!」


 何か馴れ馴れしくない?


「こいつがサルディア帝国第十代目皇帝バトラー・リオ・サルディアだ」


「その者が彼の魔族の弟子か?」


「お初にお目にかかります!皇帝陛下!ティナ・キャロルと申します」


「そう堅くなんな!余は堅苦しいのは好まん。気楽にせい」


「はい」


 ようやく緊張が解れたらしい。

 さてとそろそろ姿を現した方が良いんじゃないか?


「出てこいよ!糞爺!」


「バレていたか。流石は次期ギルドマスターじゃのう」


 うわっ、天井から人が降ってきた!

 まさかずっと張り付いてたの?


「俺はギルドマスターになる気はないんだが。ティナ、この糞爺がギルドマスターの一人」


「ネレウスじゃ。よろしく頼むぞい魔族の嬢ちゃん」


 この声、あの時の電話の声の主だ!

 という事はこの人が私をギルドに入れてくれたんだ。


「本題に移すぞ。ヤマト、余の開く大会に出場してくれるのか?」


「ああ、それと俺より強い奴が来るんだろうな?」


 え!?今、俺より強い奴って言った?

 この人より強い人なんているの!?


「すでに一人確定済みじゃ。まあ、お主が絶対に会いたくない奴じゃがな」


「リリムか?」


「何でリリムさんが出てくるんですか!」


 何故ってあいつが来ると婆の割にはだだをこねるし、超がつくほどうるさいからな。

 まあ、他にも会いたくない奴はいるんだけどあいつは絶対にこの大陸には来れないので除外される。


「それにしてもすごいことを考えたなバトラー、高額懸賞金付きの犯罪者に盗賊団、その他諸々の超危険人物の出場も有り、来場しても逮捕はされないが大会で負けたら即逮捕、優勝したら優勝賞品を持って国外に逃亡しても良し。そして優勝賞品が約六十キログラムのアダマンタイトときた。これに釣られない奴は居ないぞ」


 皇帝陛下を呼び捨てにして、かなり危険な内容を話したな。

 犯罪者も出場オッケーとか大丈夫なの?


「心配そうな顔をしておるな。魔族の娘よ」


「だって犯罪者が来るんですよ。心配しない方がおかしいじゃないですか」


「安心しろ。とある協力者によりこの大会期間中に犯罪を犯したものは一瞬にして死ぬ結界を張ってある。闘技場にはこれ以上の戦闘が無理と判断された者は即ワープされる仕組み付きじゃ」


 なら安心だ。


「大会は明日、今日は王宮に泊まっていけ」


「了解、楽しみにしているぜ」


 玉座の間を出た私達は王宮のベットルームに通された。

 明日からとんでもない大会が開かれるとなると少し不安です。

 でも今は王宮のベットがどれだけフカフカなのか楽しみですぅ~。

次の話から大会スタート!

ヤマトが無双したりしなかったりティナがバカしたりバカしなかったりしていきます!

まあ、簡単に言うとチートキャラのオンパレードです。

それではまた次の話で!

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