やっぱり中途半端でもチートはチートだった
ー怠惰の寵愛ー
種族・堕天使の中で最も闇に愛されるものにだけ与えられる加護。
魔法や魔術をMPを基本的には使わずに発動することができる。
しかし、神級以上の魔法・魔術はMPを100消費する。
堕天使ベルフェゴールに愛されなくなったとき加護は消滅する。
ー知識の理解者ー
ユニークスキル・知識を所持するものの中でも探求心を認められたものにだけ与えられる加護。
鑑定系列のスキルの熟練度が上昇しやすくなる。
また、光に属する魔法・魔術の効果が上昇する。
探求心を無くした時に加護は消滅する。
ー時空の放浪者ー
別世界から来た者に贈られる称号。
基礎値が通常よりも高くなり、レベルアップによる基礎値の上昇も大幅に高くなる。
ー魔に寵愛されし者ー
魔を司るものに寵愛された者に贈られる称号。
魔を司るものに愛されやすくなり、召喚士や魔獣使などの場合は契約の成功率が上がる。
ー経験値倍化ー
所得経験値を通常よりも増加させる。
スキルレベルが上がることで増加数も以下の通りに変化する。
(1)→2倍
(2)→2.5倍
(3)→3倍
(4)→3.5倍
(5)→4倍
(6)→4.5倍
(7)→5倍
(8)→5.5倍
(9)→6倍
(10)→10倍
まって、ギブアップだわ。
もっと気になるものだけにすればよかった。
まぁ、突っ込みたいことも結構あるんだけどね?
今は我慢しなくちゃいけないよね…
それよりもさぁ!
知識が頭に流れ込むことがこんなに気持ち悪いことだなんて聞いてないんだけど!
てか、真面目に吐きそうだわ。
あーでも、あといくつか知りたいものがあるんだよね。
ピックアップなんてことも出来そうだし、もうちょっとだけ頑張ろうかな。
いやぁ、当初の目標もう達成してるんじゃないかってくらい頑張ってるわぁ(笑)
てことで、レッツゴー!!
ー召喚魔術ー
契約を行った生物を召喚する魔術。
常時召喚状態にすることも可能であり、召喚されていない場合は術者の精神の中に存在する。
召喚を行うときは毎回その契約対象に見合ったMPを消費する。
常時召喚の場合は術者のMP最大値が少し下がる。
魔術階級によっては契約できない対象も存在する。
階級による制限は以下の通り。
下級→犬や猫などの愛玩動物
中級→ゴブリンやオークなどの下級魔物、下位精霊
上級→リッチやオーガなどの中級魔物
超級→ドラゴンなどの上位魔物の幼児期、上位精霊
神級→ドラゴンやキマイラなどの上位魔物、下位天使
ー状態異常(中級)-
毒をはじめとする大方の状態異常を無効化する。
ただし、高位呪術やアルコールは中級では無効化できない。
「なんとなくわかったよ。私の場合はどんな契約もMP100さえあれば成功するってことでしょ?」
「今更だな。契約の仕方はわかるか?」
「んー?あぁ!私の血を飲ませればいいんでしょう?飲ませた後に名前を付けて終了」
「知識は頭に入っているようだな。では、咬むぞ」
「わかっ……えぇ?!咬むの?痛いじゃん!!」
「なにを今更なことを。これからこの世界で生きていくのならば我に咬まれることよりもはるかに痛いことなど多くあるのだぞ?」
いやいや、そういう問題じゃないから!
赤い骨頭に咬まれるのとか想像しただけでイタすぎデショ。
ヴィジュアル的にもアウトだし私の体的にもアウトだっつの!!
いやぁああああだぁああああ…
おいおい、さも当然かのように歩みを進めるなぁぁあ…
もう一度言うよ?
こっちに歩みをすすめるなぁああああああ!!!!
よし、一旦落ち着こう。
よく見れば沖縄のシーサーみたいなもんじゃないか。
つまりは狛犬!
そう犬なんだ。怖がることはないっ!
怖いとか思うから怖いんだよ!
「やはり、この姿では手加減して咬むには咬み難いな。仕方ない、姿を変えてやるか…………」
「は?どういう……………?」
ーぼんっ
「…い………みぃ!?」
ちょっと待って?!
この美青年はどっから来たの?
いやはやもしかして、バロンだなんてことは…
「こちらの姿のほうがやはり小回りが利くな」
声がバロンでした。
小回りとかそういう問題なんだ?
いや確かにさ、さっきの人二人分くらいあるサイズじゃいろいろあるかもしれないけどさ。
そう!それよりもだよ?私はすっごくビックリだよ。
何にって?かっこよすぎる姿にだよ。
だってさぁ、あの赤い骨頭がだよ?
腰まである黄金と白銀が混ざり合ったの髪は太陽の光を反射してまぶしいくらいに輝いてるし、深紅の瞳は鋭いくなっていて美青年オーラただ漏れでり
肌は少し褐色に近いけれど人に近い肌をしてるから余計にグッとくるものがあるしさぁ…
あ、でも手や足にある爪は血に濡れたように紅く鋭いカギヅメになっていて実に凶悪そう。
凶悪そうっていうか実際に凶悪なんだケド。
「ツバキよ。少し肌を傷つけるぞ」
あー。言わないでほしかった…
あれだよ、予防接種の時に針さしますねーみたいな感じ!
怖いでしょ。
言われちゃうと緊張して余計痛かったりするんだよね。
ーチク
いった……くないわ。
うわぁ、構えて損したわ。
バロンが私の腕から出た血を舐めた。
私としては人型に舐められているからか、恥ずかしい。
だってそうじゃない?
いくら本当の姿が骨頭だと言え、今は美青年姿なんだよ?
イケないことしてるみたいで誰も見ていなくても恥ずかしいものは恥ずかしいっての。
見たところバロンは恥ずかしいなんて感情は一切なさそうで、さも当然かのように平然と私の血、もとい私の腕を舐めている。
舐め続けること数十秒。
バロンが私の血を舐め終えたっぽい。
「名を。我の名を言え」
正直に言うとこっちの世界に来て数時間。
展開が早すぎて不安で頭がいっぱいだ。
だからと言ってバロンの名が思いつかないというわけではない。
それよりも、私が戸惑っているのは私に縛り付けてもいいのかということ。
バロンの瞳を見てしまうと私に縛ってはいけない。
そんな考えが頭の中をグルグルと回っている。
「我はいらぬか?」
不安そうにバロンが私に尋ねる。
バロンの瞳が揺れる。私を映しながら。
ーそんなことあるわけない。
そう、はっきりと言いたい。
君と一緒にこの世界を見たい。
でも、君を縛りたくない。
こんな弱弱しいのは私なんかじゃない。
うん。今気づいた。
誰かに心を干渉されている。
果てしなく不愉快。
誰かの思い通りにはなりたくない。
これは私の人生だ。
そして君は私の初めての相棒だ。
「君の名はー紅狛-私の相棒」