フラグって簡単に立つね
ベルがダメ人間だってことはこの際おいておこう。
私が今気になるのは目の前にいる美しい白銀の毛皮に赤と一括りににするには邪悪な深紅の頭部。その頭部にはぎょりと飛び出した目。黄金の鬣や髭が太陽の光に反射して神聖なきらびやかさを纏っている獅子のような獣。そして、その獣は冠のようなものをあたまに被っており、まるで百獣の王のようにも思える。
正直に言おう。
私はこの獣を知識として知っている。
そしてなぜか目の前の獣はまるで孫に会えたかのような慈愛の眼差しを私に送っている。
私の知識が正しいのならこいつは元の世界にあるバリ島の守り神のはず。
その守り神はいろいろな動物に変身できたらしいけど、最も有名な姿は赤い頭に黄金の髭。
そして、その髭は清らかな水に浸けるとその水が聖水になるらしい。
『あれ?こってフラグ回収ってやつじゃねーの?』
『ベルのせいだよ。これ死んだらもう一回転生できんのかなー?』
『解。不可能に近い。だが、不可能ではないな。お前の魂はまだこちらの世界に同化していないからな。』
なるほどね。
まだ、大丈夫かもしれないってことか。
死んだら死んだでいっか。
こういうフラグは当たって砕けろだしね!
「あなたが聖獣バロン?」
「そうだ。貴様は異世界からの使徒か」
「いや、使徒というよりも自由人…?」
「うむ。魔王を倒しに来たのではないのか?」
「え?!むしろ魔王の味方に近いと思うが…」
なに?
転生したら魔王を倒さなきゃいけないの?
だったら絶対無理なんだけど。
結構あの天然魔王は気に入ってるしさ。
魔王と組んだ方が生き残る確率高そうな感じするし。
「そうか。…む?」
あれー?
なんかヤな感じがする。こう…背中がムズムズするっていうか…
「貴様は堕天使だったのか。しかも、ベルの寵愛やラフィーの友人でもあるのか…確かにこれでは魔王の味方に近いようだな」
『告。聖獣バロンより鑑定を受けた』
わぁお。
じゃあ、あれか!きもち悪かったのは鑑定されてたからなんだ。
ふぅん。この感覚は覚えておいた方が良いかも…?
「ここまでの者ならば我が従えたとしても可笑しくはないだろう。決めたぞ。我は巫女と契約を行うぞ」
あらそうですか。
フラグも案外役に立つじゃない…って。
…ラッキィイイイイ!!!!
強い味方ゲットだぜ!
時間がないので短いです