引きこもりの末路は
さてと、魔王問題はとりあえずは後回しでいいか。
最初にしなくちゃいけないことは家周辺の安全確認ってところかな。
扉を開けると真っ先に目に入ったのは上空で楽しそうに飛行している龍のような生物。
まさか家から出た瞬間に龍を見ることができるとは思っていなかったためさすがに驚きだ。
辺りをも渡しても人工物らしきものはこの家以外に存在しない。
まさか私の望んだとおりになってるとは思わなかった。
しかしながら、ここは少しおかしいんじゃないか?
森の中に綺麗なままの家が一つだけ存在するのならここら辺の土地に何か潜んでいる可能性がある。
それは展開的にはとてもおいしいが、人生的にはおいしくない。
いや、魔王がここに来れたということは何もいないか。
それとも魔王より弱い存在か頭の賢い存在がいるのかもしれない。
個人的には賢い存在がいい。
なぜかって?会話ができれば丸め込んで味方にしたいから。
賢いということは死亡しにくい。
それだけ長生きしている。
つまりは経験豊富で戦闘についても聞くことができる。
まさに一石二鳥!
なんて簡単に行くわけがないのはわかってる。
そもそも味方になってもらうのにはそれ相応の対価が必要となる。
私の現在の財産は家に残っているらしい魔法道具とラファエルさんやベルの知識、そして私の命だけ。
正直これだけでは味方になってくれないと思う。
魔王が味方になってくれそうなのは私の種族が堕天使だということもあるからだろう。
種族が同じということは別種族よりも信用しやすいしされやすい。
ここはあの適当な神様を褒めたいと思う。
『申告。この家の周りに魔物が住み着いていないのはこの家の結界のせいだ。龍のような伝説級の魔物なら結界を破壊できるかもしれないが、現状はここら一体の魔物ではこの結界は破壊されることはない』
ラファエルさん。ありがとう。
でもね、もうちょっと早く行ってほしかったな。
そしたら考える時間を節約できたのに。
『でもさーラフィーは知らないかも知んないけど、ここ近くに聖獣バロンがいるはずなんだよなー。俺がまだ天界にいたときに配備されたはずだからまだ生きてんじゃないか?』
バロン?聖獣ってことは敵ではない?
それよりも私が聞きたいのはベルが天界に居たときってどのくらい前なのかってことなんだけど。
『ねぇ、ベルはなんで堕天したの?』
『ん?仕事しねーで引きこもってたからだろうなー』
『なるほど。ベルフェゴールはニートだったのだな』
『え?ニートじゃないって。仕事してたし、自分の領域を守るっていうな!』
どこかで聞いたことがあると思ったら、私の糞兄貴だわ。
うん。
あの糞も俺はニートじゃないとか馬鹿なこと抜かしてたし、俺は掲示板を警備してるんだ!なんて意味のないことを胸を張って言ってたし。
あれだね。引きこもりは全世界共通でダメ人間になるんだね。