第3話 勇者はモダンワールドに転生する
かつて勇者だった記憶がある。
魔王と戦ったことがある。
多くの民と出会い、国をかけての戦いで。
あの日の出来事は忘れられない。
たとえ、転生したとしても、
どんなに平和な世の中にいても
永遠に忘れることなどできない。
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俺は現在、超能力科学が支えとする
モダンワールドにある学校に通っている。
数年前にこちらに転生してから
今まで特に変わったことはなく
いわゆる平穏な日常を送っている。
だが転生してから
何ヶ月かは戸惑った。
みたことのない服装に、
あらゆる物、社会的な仕組みに
関しては今でこそそれとなく
わかるが余りにも未知の情報が多かった。
しかし色々と慣れてくるようだ。
様々に発展した乗り物や料理、
街並みなどがそれにあたる。
さらに言葉に関しても
よくよく聞いてみると
もともとの言語に似ているところが多く
すぐにある程度使えるようになった。
日常会話なら十分で
学校生活でも苦労しない。
「ねぇ、佐山くん、
ねぇったら、聞いてる?亅
ぼうっとしていると
タンニンが話しかけてきた、はずだが。
「はい、何でしょう、センセィ亅
「や、何言ってるの、お前!⁈亅
どうしてか、友人の声が聞こえる。
どうやら俺は眠りこけていたらしい。
先ほどの声も夢だったようだ。
友人A(仮)とは仲がいい。
おそらく前世いや、転生したこの人物と
仲がよかったからなのかもしれないが
親しい間柄だ。
「ところでさー、
今日の放課後ってさ、
適性試験があるだろ、
どうなるんだろうなー亅
「テキセイシケンか、
特に何もないんだろうな亅
「何言ってんだよ、適性試験だぞ⁈亅
「テキセイなんてたかが知れているだろう亅
テキセイシケン、のことを
特に何も知らなかったサミュエル佐山は
結局そのまま放課後を迎えることとなる。
放課後友人Aを含む学年全員が
適性試験を受けに学校を離れ
赤茶色に白で鳩をあしらった
送迎バスに乗り込み、
センターへと向かった。
安定した走りをするバスの窓からは
数年といえど見慣れた街が
次々と離れていく。
街路樹、人、店...。
気づけばまた眠りこけていた。
どうやら着いたらしい。
また友人A(仮)が肩を揺らし
起こしてくれた。
時計をみると一時間ほど
揺られていたようだ。
バスを降り、
センター内部へ入ると
多くのシャッターが上がる音とともに
見たこともない制服を着た学生たち、
先んじて到着したクラスメイトなどの
喧騒が聞こえてきた。
少しずつ進み始めた人波に乗り
大型の銀色の如何にもなゲートをくぐると
多くの学生が手をかざし
青い光を放つ腕輪をつけている。
どうやらその腕輪で数値を
大まかに測るらしいが、
着けるのは少ししてからになりそうだ。
試験についての詳しい説明を
友人A(仮)に求めると
まあまあ試験官の説明を待てよ、と
いいつつも簡単に説明してくれた。
試験が2段階あり、
一段階目に能力、特性の試験を
二段階目に能力のレベルを
測るということと、
今回の試験の総合的な結果は
予想的なものであるということだった。
友人A(仮)から一通り話しを聞いた後、
何の結果が表れるのか聞きたかったのだが
話に夢中になっている間に
ゲートに着いたようだ。
カシン、カシィン
二つの腕輪をはめ終えると友人A(仮)は
人の波に流れていってしまったのだろう、
みえなくなっていた。
「仕方ない、俺も向かうか亅
また1人、学生の波にのまれていった。




