第14話 方向と咆哮
来た道をある程度引き返した後、
北へと向かって進み直す。
向かう先は街だ。
ステファニーの持っている地図を
見せてもらうと行き先はあながち
間違っていなかったらしい。
取り敢えず北に進んでいたのだが
確実になった。
ステファニーと地図に感謝しながら
折り畳み、ポケットに入れる。
「ちょ、ちょっと返して下さいよ、
サミュエルさん!亅
「地図のことか?亅
「そうですよ!
それ以外に何があるんですか!!亅
「いや、すまない。地図のありがたさに
気づいてしまったんだ亅
「何を言ってるんですか!?
は・や・く、返して下さいよー!!亅
服を引っ張るステファニーの力が
少し強くなる。
ポケットから地図を取り出し
素直に返す。
意地悪が過ぎたようだ。
「ほら、やっぱりあるじゃないですかー!
さっさと返してくれればよかったのに!亅
「俺は持ってないとは
一度も言ってないぞ?亅
「い、意地悪は止めて下さいよ!亅
クプー、と頬を膨らませる彼女は
とても可愛い。
というより幸せすぎて
もう旅、止めてもいいかもしれない。
いや、ここで止めてしまうと
一緒にはいられない?!
よし、旅は続けよう。
コホン、コホン。
いや、お見苦しいところを
お見せしてしまった。
ところで先程森をすれ違ったときに
オレンジ色の実が幾つか実っていた。
そこで木にによじ登り
3つほど手に入れたのだが
これが中々美味しい。
まさにオレンジのようだった。
薄い皮を剥くと鮮やかに
弾ける柑橘系の香りが堪らない。
口に放ると
甘く少し爽やかな酸味が舌を満たす。
そんなオレンジっぽい実を
二粒ほど舌の上で転がして
森の中を進んでいると、
昨日の大きな音がかなり遠くから
微かに聞こえる。
「そういえば、ステファニーは
昨日の音に気づいたのか?亅
「いえ、音なんてありましたっけ?
いつ頃ですか?亅
「うーん、夜中、だなぁ。
まあ、結構大きな音だったから
小屋の方でも聞こえたのかな、
と思ってね亅
「そうでしたか。
でも音といえばいつもより静かだった
気がしますけど?亅
「!?確かに…そうだな。
これは忘れていた。
(恐らくだが、生き物が大方いなくなって
いる。ということはより危険な生き物に
怯えて逃げたのだろうな)亅
遠くにいるだろうから
今は安心できるが、それはやはり今だけだ。
問題の芽は早いうちに
摘んでおいた方がいい。
だが、如何せん力が足りないのも事実だ。
一刻も早く街へ行き、
協力を仰がねばならない。
ぼんやりとした二つの影が次第に
森へ紛れていった。




