第11話 いつも通りの日常と予想外
あれからタクシーを使って
無理矢理家へと帰った。
どうやら無事着いたらしい。
しかし家に帰ったところで
場所が変わっただけだ。
お金を払って家に戻ると
先程の紙を取り出しおもむろにベッドへ
寝転がり、無能力と言われた出来後を
思い出した。
事実この一枚の紙にかかれた
それは同じように記されている。
少し前のセンターからあとの事は
忘れたい、
いやなかった事にしたいくらいだ。
これまで、といっても数年だが
無能力なんて聞いた事がない。
無限の可能性を秘めているとは
とてもじゃないが言えない。
「はぁ、明日からどうしようか亅
溜息が溢れんばかりだった。
翌日、学校へ行くと
まるで何事も無かったかのようだった。
内心、助かったと思いつつ
とりあえず今日を乗りきろう、と
心に決める。
日が沈みかけているころの、
放課後まで無事に過ごせた自分に感謝した。
「よし亅
すると近くを通っていたタンニンが
思わず話しかける。
「何が良しなんだ?亅
「!?い、いえ何でもないです、先生亅
あわてて否定する。
多少動揺してしまった。
そんな佐山を尻目に
タンニンは踵を返して歩いていく。
安心し、下駄箱へ向かおうとすると
遠くから声が聞こえてきた。
「うん?そうだ、明日から能力育成の
授業があるから楽しみにな亅
去り際に放たれたその言葉に
絶句する。
そそくさと学校から下校した。
家に帰ると
ひとしきり部屋を歩き回り
落ち着きなく過ごす。
佐山は明日の授業が気掛かりで
夕飯どころではなかった。
結局その日は食事をすることはなかった。
夜も夜、ベッドに潜り込んで
かれこれ経つが未だに目が覚めている。
「ね、眠れない…亅
そう恨みがましく呟き、どうしようかと
考えたあげく無難に
頭の中で羊の数を数え始める。
「(一匹、二匹、三匹…)
………三百三十三匹…亅
眠れない。
そうして眠る事なく朝を迎えた。




