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3-5

投稿したつもりで書きかけ状態のまま、日本に一時帰国してました

大変遅くなりました、申し訳ありませんm(__)m


 さて、異世界との交流が加速している日本において、急速に人気が高まっている職業がある。


 自衛官である。


 一般人が異世界に関われるケースは完全に運次第であり、そうした初期コンタクト組以外で関与する財閥系などの大手企業への就職は困難であり、同様に官公庁も官民の給与が逆転している現在では非常に狭き門だ。

 そうした狭き門に比べれば、まだ、多少は自衛官への道は広いと言える。


 フィジカル面で入った後が大変ではあるが、人間は慣れる動物である。

 配属される部隊にもよるが、割と特別な人間で無くても適応が可能だ。


 大楠倫明もそんな異世界志向組の自衛官である。


 倫明は今、自分の選択が正しかったことをスマホ画面を見ながら心の底から実感している。

 倫明の現在の待受け画面は、のじゃ姫がクボ山駐屯地を訪れた際の集合写真を自分と姫を除いて最大限排除してトリミングしたものである。

 間に四人ほど挟まっているが、熾烈なポジション争いや後々にまで影響する強引さを見せずに確保出来る位置はここが限界だったのだ。

 つまりは彼より姫に近い位置で写っている人間は階級が高いか、組織内で一目置かれているか、周囲を気にしない図太さやちゃっかりとした要領の良さを持った人間であるということだ。


 うっかり大本の写真を拡散した馬鹿のお陰で全世界から嫉視されるだけでなく、制服組のトップの怖い方々からの注意までいただいてしまったが、幸福と不幸の収支で言えば完全にプラスに振り切れている。

 なんせその集合写真に加えて、パソコン練習の一環で外務省施設から久保山基地へ送付されて来た姫のメールに添付されていた、のじゃ姫の自撮り写真までゲットしてしまったのだ。

 これは嫉妬から来る多少の呪いは受けても仕方ないなと思ったりしている。

 以前CMに出てた犬耳の子と一緒に撮った写真まであって、冗談抜きに家宝レベルである。


 そんな彼は「俺もけっこう食うようになったよなぁ」と食堂の飯をガッツリと食べながら、周囲の隊員の会話に耳を立てる。こうした場所での情報収集が明暗を分ける。後は友人関係の構築か?


「嫉妬の視線が最近心地よくなってきた」

「他の部隊の連中とか、マジ殺す視線飛ばしてくるもんなぁ」

「米軍と共同訓練とか行った連中なんて人相変わってたぞ?」

「ああ、リアルバイオ組か……」

「こっちはお姫様であっちは腐った死体じゃ、そりゃ妬み通り越して殺意にもなるわなぁ……」

「視覚情報より嗅覚がトラウマモードだってさ、ベジタリアンメニューが出来た基地もあるらしい」

「……もっと洒落にならないのが中東だろ?」

「ああ、テロ集団が神の名前で攻めてって、あっちの神様がガチでマジギレモードでカチコミかけてきて、神の加護付き聖戦士の軍隊に本拠地取られちゃったんだよな」

「銃どころか対人地雷でも戦車砲でも死なないとか、米軍も実は相当ビビッてるらしい」

「映像見せてもらったけど、グレネードで吹っ飛んだ人間がそのまますっくと立ちあがって剣振りかざして駆けてくるとか、ハリウッド涙目www」

「神様怒ったら、酒か美女の踊りだろJK」

「自衛隊に巫女さん部隊とか出来たりしてwww」

「護衛艦娘の方が先だろ!」

「ま、その辺は置いといて話戻すと、このままいくと中東に本物の神の国が出来るっぽい」

「なんか、こっちに降臨して『そっちの神とか言うガキ出せや、ゴルァ!』と叫んでるだってさ、身長100メートル以上のムキムキのおっさんが」

「一神教の人たちは大変ですなぁ……」

「物欲センサーの神が実在する世界もあるのかな? ソシャゲ課金キツいっス」


 日本は平和だが世界は結構大変な所もある。

 特に宗教関係は混乱の極みだ。


 こっちと違って異世界では神が人間に関与する割合が高かったり、世界によっては普通に人間に混ざって暮らしていたりする。

 言葉で否定しようが居るもんは居るんだからどうしようも無い。

 奇跡や魔法なんてもんまで出てくるのだ。

「あれは悪魔だ」と否定するのがせいぜいだが、異世界から一定の利益を確保し、今後もその拡大を期待している国家や企業からはフルボッコである。

 その辺、バチカンは「こちらはこちら、あちらはあちら」と結構上手に振舞っており、良識的なクリスチャンは混乱を見せていないようである。


 そういう点では元々の土着の神だけでなく、ありとあらゆる外来の神まで時には魔改造して受け入れてきた日本はガチガチの特定宗教信者で無い限り、ごく自然に相手の神も敬い尊重して振舞うため、宗教トラブルは発生していない。


 あえて挙げるならサヨクと結合した「科学教」の信者である老害学者による難癖としか言いようの無い「良識的な提言」くらいだろうか?

 自分の専門外のことに対してまで専門分野における権威で「自分の言うことが絶対正しい」と盲信し、厄介なことに権威に随従する一定層まで生み出す厄介な存在である。


 似た存在として「発言するミュージシャン」なんて者も居る。

 歌でメッセージを発信するならともかく、文章にしたり、メディアを通じて言葉を発しているようでは完全な自己否定だろう。

 学者もミュージシャンも小説家も分野外なら単なるおっさんである。

 なまじ変な自信があって人の意見を聞かない分、その辺のおっさん以下かもしれない。


 話は逸れたが、平和的な双方に利益をもたらす交流がある一方で、大小のトラブルも発生しており、そうしたトラブルのニュースはあまり既存メディアでは流されないが、インターネットを通じてそこそこ拡散され、検証も有志によって行われていたりする。



 ちなみにそうした検証系の中で本来の目的と違った形で注目を集めている存在として日本の『釣り人ネット』がある。

 本来、釣りスポットの紹介や釣果自慢、釣り船、宿泊施設の情報、評価などの情報交換を行う掲示板主体のサイトであるが、異世界とあちこちが繋がっていることが知れ渡ってくるのと前後して、「なんか、こんな変なの釣れた」「なんか奇妙な魚がかかった」「メジナのスポットだったのに変な外道しかかからない」と写真付きの情報が集まり、中には「食べてみたが不味かった」「外見醜い魚ほど美味いという例に洩れず美味かった、次は此奴狙って釣ろう!」などと安全性どころか情報すら無いのに食に走る者すら出て、結果、日本近海に異世界への入り口がかなり多数存在していることが確認された。


 海洋生物の場合、地球原産のものに限ってさえ新種がいまだに発見されている中で、この異世界産海洋生物ラッシュ、各地の海洋生物研究所、水産試験場、水族館などは相次ぐ質問と情報提供に混乱を極めた。

 一目で地球産のもので無いと分かる目やヒレの数どころかウロコが全く存在しないなど構造そのものが違うものもあれば、ほんの少しのヒレの形状の違いしか無いもの、単なる色違いなどというものもあって、後者は普通の漁業での水揚げの中にも入っていたりするため、その安全性の確認は急務となった。

 

 その様な状況下において、進んで人身御供までやってくれる『釣り人ネット』はある意味救いとなる存在であり、またきちんとした機関などから正式な形で協力、情報提供への感謝が寄せられることによって、ネット側の参加者たちにも張り合いが出て、検証作業なども一気に捗った。


 結果、地上の異世界への繋がりの情報がローカル単位なのに対して、海洋に関しては広い範囲の情報が集まったことと、わざわざ異世界や異世界に繋がっているポイントのすぐ傍に行かなくても異世界の存在に接することが出来るという点から、このサイトが異世界関連に関心を持つ多くの人々の注目を集める様になったのである。


 扱う情報の範囲とその詳細さでは世界でも有数なサイトとなっており、各国の有志によってそれぞれの国の言語に翻訳されていたりもする。

 釣り好きおっちゃんたちのサイトが、今では国家や大学の研究機関を上回る成果と権威を獲得してしまっているのだ。鳴り物入りで国家単位の組織を作った国などからは妬みを受けているが、そんなことは気にせず、今日もおっちゃんたちは釣果の自慢がてら研究機関垂涎のデータを無造作に公開している。


 倫明自身は釣りはしないが、父親が大の釣り好きであり、年齢に似合わぬ新しモノ好きなため、この釣り人ネットの掲示板に異世界騒動以前から定期的に書き込みをしている。

 直接電話などでのやり取りは恥ずかしいし、面倒くさいということもあって、掲示板での父親の書き込み(いくらネットでの危険性を説いてもハンドルネームではなく本名での実名投稿をしているためすぐに分かる)を見て、「相変わらずだな」とか「元気そうだな」と安心したりしている。

 スマホで父親の書き込みを見つつ「これを食っちゃったのかよ、親父……」と異世界産の魚(?マークを付けたくなるヒレに該当する部分が触手の束になっているもの)の写真を見て、「次の里帰りの時は食い物には警戒しないとだな……」と警戒心を高める倫明であった。




 ネットと言えば、某巨大掲示板は今日も元気に情報の垂れ流しと願望のさらしあげ、そしてガセと妄想の入りまじった書き込みで溢れている。

 中には「それ書いちゃマズいだろ」という機密情報なんかも混ざっていたりするのだが、他の膨大な情報の陰に隠れて注目を集めないか、良くてガセ扱いである。

 よく「嘘を嘘と見抜く」ことがネットでは大事と言われるが、「本当を本当と見抜く」ことはそれ以上に困難な場合が多い。


「日本には暇人が多いのじゃのう……」

 事前に利幸が他の人間の意見なども参考にした上で問題の無いと思われる部分を見ている姫だが、今見ているのは「日本で『のじゃ姫』に行って(来て)欲しい場所」というスレッド、既にその「34」まで板消費が進んでいる。

 のじゃ姫の存在が知られてすぐにスタートしたスレで、当初のスタートダッシュ後は常連がまったりと情報を交換する中、時々出現する荒らしをスルーしたり、ニューカマーにレクチャーしたりとのんびりとしたペースだったものが、姫の日本公式訪問確定、そして日本入りと急速に消費が進み、現在は祭となっている。


「常駐し積極的に書き込む暇人、仕事で忙しい中チラ見する普通の人、生活の合間の特定の時間帯だけに集中する主婦、マジでネタ漁りに来てるマスコミ関連、アクティブソナー替わりに情報の軽いリークをして反応を伺う関係者、取り敢えず誰か貶したり攻撃出来ればいいと矛先を探してる社会不適応者、真正のキ〇ガイ、みんながみんな暇という訳ではないんですよ」

 役場から連絡役として訪れていた小田が姫の言葉に答えを返す。


 ネット掲示板の書き込みやその読者というと、ニートや学生、アルバイターなどの若い層を想像する人間が多いが、実際は板による偏りはあるもののROM専まで含めれば利用者の大半は一般人である。

 時にはUNIX板伝説の様な、特殊な人間が集まって凄い事を成し遂げてしまうなんてこともあるが、多くの板は一般人による消耗品であり、電子の海にノイズとして消えていく存在である。

 

「お奨め上位はほとんど観光定番ですね、この手のネット掲示板の性質として、オタ関係ネタが他よりは多いですが……。ぶっ! 誰だ、久保山村とか書いてる奴? ここ通らないと日本のどこにも行けないだろーが……最近、中には入れないからトンネル手前で写真撮る聖地巡礼染みたことをしてる連中か?」

 姫が関心を持った場所に関して写真や動画などを別のタブレットで探しては見せている利幸は、掲示板の書き込みに思わず突っ込みをいれてしまう。

 久保山村から繋がる異世界から来た姫の場合、久保山村を経由しないで日本の他の場所に行くことは不可能である。

「ネタなのか、ボケなのか分かりませんねぇ」

「なんのサービスもしてないのに『ふるさと納税』してくれる人もいますし、昔では考えられないくらい知名度は上がってますけど、ネット掲示板ですからねぇ」

 

 などと小田と利幸が会話している間に、姫は掲示板の閲覧をやめて、今度は通販サイトを開いている。

「うちの城にも配達して欲しいものじゃ……」

 現在は利幸が「空飛ぶメッセンジャー」をしている日本と魔王の城との情報のやり取り、将来的には有線で接続するのは難しいとして、途中途中に発電、蓄電設備を併設したアンテナを設け、城までの回線を確保するという話になっているが、それが完成しても物品のやり取りは完全に人の手頼りである。

 

「空飛ぶメッセンジャーの仕事が無くなっても配達人としての需要はあるっぽいし、俺の後任とかその内育てるって話になるのかな?」などと、すっかりネット環境に慣れてしまった姫が色々な商品に目を奪われる姿を見つつ、将来を少し考えてみたりする利幸であった。




なもんで、最初の状態から少し加筆、修正しています

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[一言] 科学と古代・中世宗教は相容れない存在だ!共産教は 中世宗教の一派なので左翼学者とは狂人だよ! 科学の基本スタンスは人間は必ず間違えるだから 古代中世宗教とは共存できないよ?! だからムスリム…
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