波の宛先
なめらかに
均して行くよ 波は
あなたの足の窪み
笑う声
放った貝殻さえ
優しく覆い 遠ざかって行く
すべてをその一部として
その一部はすべてだと言って
差しのべた手も
差し出せなかった手も
温もりだけを繋いで
そこであたたかにあるよ
打ち寄せる波の 響きはいつも
わたしのもとへ
あなたのもとへ
渡すように音を連ねて
どんな愛もとけだせば
帰っていくよ
しこりもわだかまりも
抱いたままでいい
泣いた胸に海があるよ
呼ばれるように ここに在ったと言って
どんな名前の愛も
あなたになり得ること
わたしになり得ること
繋がりゆくものすべては
波の宛先だと言って