peace2 ~ 神さま転生 ~
『なんなんじゃアイツはぁぁぁぁああああッ!!!』
ここは天界。
神様と呼ばれる方々が常日頃から世界の秩序を保つ為に存在する世界。
いわば世界を管理する仕事場のようなものだ。
そんな人間から見れば崇高で崇め称えられそうな聖地で、1柱の神が頭を抱え込んでいた。
『殺そうとしても殺そうとしても! どれも間一髪の所でヒラリヒラリと躱し追ってッ?! 神の神通力を甘く見てたら呪うぞマジでッ!!』
一見、神様ともあろう御方が発言しそうにない言葉を連発している御方こそ。
人間達が神と崇め、祈り、そして崇拝する神の1柱である。
まるで星空のように神々しく輝く黒い長髪に、一般の人間なら誰もが見惚れてしまうその美貌は天界でも上位に食い込む絶世の美女。
『クソ~・・ならばこれをこうして・・・するとこうなるからこやつをこういう風に・・・だぁぁあああッ!! ダメじゃ! これも躱しよったッ! こんなもんチートじゃチートッ! 誰か運営呼んで来いッ!』
手に持つ球体の水晶を放り投げ寝転がる女神様は、今日ものどかに流れる雲を眺め小さく息を吐いた。
『おかしいゾ? 我は神ゾ? 世界の秩序を守る為にこんだけ働いてるのに、神である我の思い通りにならない人間が存在して良いの? いやダメでしょ?』
自問自答をブツブツと繰り返す女神様だが、ここでフッと我に戻る。
『いや待てよ』
勢いよく飛び起きると近くに放り投げた水晶玉を急いで拾いあげ、再び水晶玉を覗き込む。
そこには今日も退屈そうに大きな欠伸をして学校に登校する忌まわしき例の青年が写っている。
『そう・・我は神じゃ。 人間とは我々神という存在を大切に崇め称えている貴重な存在。 つまり!』
そして女神様は、今まで生きてきた中での一大決心を決めた。
『我が直接こやつに転生しろと言えば、言う事を聞くのではないかッ!』
女神様は悩みの種がまるで解消されたかのような表情で軽い足取りである場所に向かう。
到着した場所は【転生場】
ここではありとあらゆる生命が閻魔によって選定された事で転生される者が集う輪廻の場所。
『やっ! 捗ってるかいッ!』
転生場で次から次へと押し寄せる魂を誘導して転生させている1人の天界職員に声をかける。
因みに天界で働く職員は人間達に 天使 と呼ばれている。
「おや? 女神様ではありませんか。 転生場に足を運ぶなんて珍しいですね」
『まぁねぇ~。 ちょっとお願いがあって』
「おやおや。 神様がお願いごとは本当に珍しい。 それで? 一体なんの御用で?」
天使が首を傾げて理由を尋ねると、女神様が天使の肩を掴み近距離で目線を合わせた。
同じ天界で過ごしている者同士とはいえ、やはり女神様のスペックの良さに思わずドキッと胸が弾ませる。
『お願いとは他でもない。 君にしか頼れないのだよ天使クン』
「は、はぁ・・僕に出来ることなら」
『そうかッ! よく言ってくれた!』
「~~ッ! ご、ごほんッ! それで? 頼み事とは?」
純度100%の神様の笑みは天使にさえ意識させてしまう魅力だったが、天使はグッとなんとか堪えた。
気を取り直して再度、女神様の頼み事に耳を傾ける。
すると――
『天使クンッ! 我をこの人間の世界に転生させとくれッ!!』
まるでヤマビコでも起こっているかのように響き渡る女神の頼み事。
目の前で確かに聞いていた天使は数秒の硬直を終え、フリーズした思考を再度働かせると、再び転生場には悲鳴のようなヤマビコは響き渡ったと言う。