吐かせ1
「サリさん、本当にやるんですか」
少女は、もう一人の少女に流石に問いかける。
サリ、櫛座史サリは答える。
「え?
…あぁ、当たり前だろ、そのために捕まえたんだ。
まあ、拷問なんてした事は無いだろう、
今回は見てるだけでいいよ。
けど、今回だけだよ?
次は君にも手を汚してもらう。
あ、でも、
辛くなったら部屋から出てミルクでも飲んでいなさい。
ソウルジェムが濁り切ったら洒落にならないからね。
じゃあ、始めるよ。
あ、グリーフシードはあるかい?」
「…あります、15個」
「おお!そんなに!
頑張ってるね彩ちゃん。
いやあ情けない、
私の魔法は戦いに使えるモノじゃないからね。
けど、こうやって拷問に使える。
そろそろこの子を起こそうか。」
そう言って、サリは椅子に縛りつけられている少女のソウルジェムに静かに手をかざした。
…拷問なんて、中学生の女の子2人でする様なモノじゃない。
そんな私の中の常識は、いまから崩される。
気が乗るわけがない。見ているだけでもきっと苦しい。
サリの魔法は、
「魔法少女としての機能を一時的にストップさせる魔法」
である。
これは、魔法少女という人の枠から外れた極めて不可解な存在を、人という存在に戻すことが出来る。
まあ、それもあくまで一時的で、時間が経てば再び少女の皮を被った化物に戻るのだが。
「ん…ん」
二人の前の少女が目を覚ました。
きっと、困惑するだろう。
卓球台をギリギリ一個置けるサイズの部屋。
二人の少女と、その横にある机。
机の上にはハサミの様なモノ、ノコギリの様なモノ、
しかし、日常の中にあるソレとは圧倒的に異なる
モノが置かれている。
こんな状況、困惑しない筈がない。
「おはよう!えーと…ごめん、名前わからないや。
まあ、自己紹介は必要ないよ。
これから質問するから、それに答えてね?
じゃあ、まずは一つ目の質問!
[貴方の仲間の居場所は?]」
「え…あ…」
「遅いっ!」
どっ
鈍い音が響く。
サリが、少女(これからはAと呼ぶことにする)の
頬を殴ったのだ。
「!? !?」
少女は目を覚ましたばかり、ただ困惑している。
…起きたばかりで頭の働かない状態の人間に対して拷問を行うのは、流石に良くない。
「サリさん、もう少し時間を空けてから始めるべきじゃな
いですか、拷問。
流石に起きたばっかりじゃ答えられるものも答えられませ
んよ。
というか、状況の説明をしなきゃ。」
「あ…?あー…ははは。
いやー、楽しみにしてたもんで、つい!
確かにそゃあそうだ。彩ちゃんの言う通りだ。
説明だね、うん、説明をしよう。
いやーごめんね!つい叩いちゃった!」
「「…」」
彩とAは沈黙した。
その沈黙の理由は異なる。
彩は、呆れた。
Aは、恐怖した。
そして、Aはようく理解した。
これから自分は、地獄を見るのだと。




