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~異世界~

 夢を見た。長い夢を。散らかった部屋が現実へと意識を引き戻す。男はゆっくり立ち上がった。買い置きのカップラーメンを作り、パソコンの電源をつけた。いつもと同じように。そして今日も何も変わらない日常を送るのであった・・・


?「勇者様!勇者様ご無事ですか!?」耳元で大きな声が聞こえる。俺はゆっくりと重い瞼をこじ開けた。そこには、首のない死体、四肢がない死体そして何より鼻が取れるかと思うような血の匂い。たとえるなら、いや、体験したことはないがここを地獄だとよんでも誰も疑わないであろう光景が広がっていた。


?「よかった。ご無事で何よりです・・・」

?「勇者様、魔王は勇者様の一撃を受け撤退しました。しかし、去り際に魔力爆発を起こし皆を助けるために勇者様が体を張って止めてくださったのです・・・」目の前の女は美しい白銀の長髪が血に染まってはいるが、端正な顔立ちが高貴なものであると象徴している。

勇者「何のことだ?」俺は事態が呑み込めず、思わず裏返った声で問う。先ほどまで、いつも通りカップラーメンを貪り、ようちゅ~べで動画を見ていたというのに・・・。徐々に意識が覚醒していく中、体中に耐えがたい激痛が襲ってくる。

勇者「あひゃひゃひゃ!!?!??」思わず素っ頓狂な声をあげながら痛みにもがき苦しむ。

?「勇者様~!?」俺は痛みに耐えられずそのまま失神してしまった・・・。


目を覚ますと、夜になっていたようだ。テントの中に簡素なベットがあり、そこに俺は寝ていた。先ほどの身を焦がすような激痛は嘘のように消えていた。そのまま、ベットから立ち上がり外に出る。

勇者「さむぅ。」いつぶりだろうか。夜空には満点の星々がきらびやかに輝いていた。俺は、小学校のころ友達と夜遊びし、家に帰った時母にこっぴどく叱られた後、父親と夜空を見ながら話したのを思い出した。

父「いいんだ。人間は自由でいいんだ。だけど、心配なんだ。お前は今日母さんを心配にさせたんだ。だから、お母さんはお前に怒ってるんじゃない。いつか、立派な男になって誰も心配させないくらい強くなれ。そうしたらお前の好きなように生きていけばいい。」そんなことをいわれたっけな。でも俺は、大学を卒業した後、定職にもつかずに両親が残していった家にただ生きるために生きてきた。

勇者「何でこんなこと思い出すんだろ。」何が起きているのかもわからず、混乱している頭で昔を思い出すのはきっといつもの癖だ。とにかく、今は、目の前で起きていることを整理しなくちゃな。俺はまずは、先ほどの女を探すべく、野営地へと向かったのだった・・・。




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