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茶話  作者: 小林 玲王奈
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#1 茶話|お気に入りの喫茶店

天井はコンクリートがそのまま、むき出しになって、配管やドレンがそのまま見えるのだけれど、どうも、その部分も設計されているようで、ぼ〜っと上を向いていても飽きない作り。壁はレンガ調のクロスではなく、専門の左官屋さんが組み立てた芥子白(からしいろ)のレンガを、柱の周りに1つ1つ丁寧に積み上げて、隙間から見えるのはカラーモルタル。上からつり下がる電球色のダウンライトが、その柱の凹凸にできる陰影をさらに演出している。


テーブルは木製で、カタカタしないように脚に硬質ゴムで工夫がしてあって、イスも良い。良いというのは、もし、お茶や食べ物なんかをこぼしてしまっても、おそらく、撥水処理がされた皮なんだろう。艶もあるが、なによりつなぎ目がイスの背側にあって、おそらく上から何か落としたくらいでは染みこんだりしないのだろう。床も同じく、無垢フローリングではあるが、厚めに見えるクリアな滑り止めにもなるワックスがかけられている感じだ。


この店は、何かあっても、それは、何事も無かったかのように済ませる工夫が徹底されていて、互いに気を遣わず時間を過ごせる素敵な空間作りにこだわっているのだろうと。これは私の勝手な想像であるけれど、それくらい作り込んである内装が、とても気に入っている。


席数は、ちゃんと聞いたことはないが、カウンターの数も入れて、おそらく60席くらい。それも、各席の間は広めで、先ほどのレンガで組まれた柱が続く、その間に席があるので、半個室のような素敵な空間を感じることが出来る。


私は、ここでアイスコーヒーか、たまに気分転換で飲み物を変えるが、この場所で誰かと会話を重ねるのが日々の中で大事な時間になり、日課と言ってもよいくらい。相手には申し訳ないが、どんな話しがそこで交わされようとも、こんな映画のような雰囲気に包まれた中での会話は、全てがドラマ、映画のように聞こえてくる。今日は、私、どんな話しをするんだろう。


いつも、私は打ち合わせや話の予定があると、先に行って、1人で飲み物を頼み、ゆっくりと人を待つ。だから、少し相手が遅れてきてもそれほど気にしない。いや、少し気にするかも。それでも、この空間なら、「まあいいや」と思える。そういうことにしておきましょう。相手も遅れたときは、何かの都合があったのでしょうから。


そんなことを考えているうちに、今日の話し相手がやってきて。いつもの「茶話」が始まるのです。




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