05 進展
数日経過しましたが、進展は、無し。
毎日『Gふなずし』で我が家と連絡を取り合っていますが、だんだんスーミャがご機嫌斜めになってきて、イリーシャさんはなだめるのにひと苦労。
どうやら、そろそろ潮時かな。
「今日の探索で収穫が無かったら、残念だが撤収するとしよう」
はい、出来るだけのことはやりましたし、やっぱり僕のスキルが本調子になるまでは保留、ですかね。
「悔しいが、なにか新しい手段が確保出来るまでは同じことの繰り返しになりかねないな」
では、最後の夜ですので気張って行きましょう。
「せっかくだから、いつもとは違うやり方を試す、か」
例えば?
「肩車、とか」
ほえ?
「アレが私たちを常に監視して避けているとすれば、普段と挙動が変わることで興味を引いておびき出せる、かもしれない」
で、肩車?
「いや、あくまで例、だから」
「断じて視界確保とかの意味合いでは無いぞ」
ちなみに、イリーシャさんが上、ですよね。
軽そうですし。
「卑怯だぞ、サイリ殿」
「それでは私が拒否出来ない」
じゃあ、苦渋の決断ではありますが、イリーシャさんが上で。
「……ひとつ約束してほしい」
なんでしょう。
「このことは誰にも言わないように」
命に変えても。
「……では」
ふんぬっ
「きゃっ」
……
…………
………………
「だいぶぷるぷる震えているようだが」
……重く……は……無い……の……です……がっ。
「出来ればゆっくりで良いから回ってほしいのだが」
……ぐっ……るっ……りっ……
「残念ながら特になにも見えん」
……ゆっくり……腰を……落とし……ます……ね……
「ふう、ご苦労さま」
「サイリ殿?」
……腰って、大事だよね。