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03 リラックス


 いよいよ目的地周辺、つまり、目撃情報から推測されるナイトウルフ変異種活動区域。


 ここからは、夜型であるナイトウルフに合わせて、僕たちの行動も夜型にシフト。


 相変わらず僕の付与が当てにならないので、頼りになるのは目視と、いつも通りの『Gふなずし』探索。


 僕の方から、今回は撤退すべきかもと提案したけど、イリーシャさんは微笑みながら却下。



『みんなには悪いが、もう少し独占させてもらうとしよう』


 イリーシャさんが楽しそうでなにより。


 なんだか、討伐依頼じゃ無くて、めっちゃハードなピクニックしちゃってる気分。



「お楽しみはこれからだぞ」


 お供します、お姉さま。



 ……



 夕方、テントから起き出して朝食的な夕食の準備。


 まだ寝ていたイリーシャさんは、可愛らしい寝巻き姿、


 では無く、冒険者服のままでぐっすりおやすみ中。


 さすがに寝巻き姿のイリーシャさんがすぐ隣で寝てたら、枯れた"仙人"でいられる自信は無いです。



 今回、旅の間は入浴も洗濯もせず、『清浄』魔法に頼り切り。


 幸い、ロイさんに教わっていた生活魔法の数々は謎の不調の影響を受けずに済んだので、


『清浄』や『トイレ』などの旅に役立つ魔法はそのまま使えるのです。




「……おはよう」


 おはようございます、イリーシャさん。


 なんだかすっきりしないようですね、お目覚め。



「うむ、どうにも夢見が悪かった」

「サイリ殿が黒くて大きなケダモノにのしかかられて……」


 うわっ、やめてくださいよぅ。


 正夢だったらシャレになってませんって。


 えーと、とりあえず、『清浄』しちゃいますね。



「……すまん、気分が落ち着いたようだ」

「で、今日の食事は」


 煮込んで柔らかくした干し肉を、いつもの硬いパンに挟んでみました。


 煮込んだお汁は出汁の素を入れたスープですから、パンを浸しながら食べると美味しくなる、かも。



 もぐもぐ



「ふむ、なかなかに美味い」

「良い主夫になれそうだな、サイリ殿は」


 どっちかって言うと、イリーシャさんの方が良い主婦になれそうな。


 しっかり者だし、子供に懐かれるし、行く先々の町で男衆にも人気があるし。



「男衆人気は初耳なのだが」


 ちっちゃくて可愛らしい顔立ちなのに、妙にスタイルが良いところが人気の秘訣、だそうですよ。



「その"妙に"と強調した者には、私らしくお礼せねばならんな」


 お礼参りはダメですよぅ。




 リラックスしすぎかもしれませんが、僕とふたりきりの時のイリーシャさんは、休憩中はだいたいいつもこんな感じなのです。


 お姉さんキャラ成分が控えめになり、ちょっとお節介な幼なじみキャラっぽくて、一緒にいても緊張せずに済むところが、大変によろしいかと。


 まあ、あっちの世界の実生活には、もちろんそんな知り合いはいませんでしたから、不思議な感覚ではありますが。


 もしかしたら、ふたりきりでも緊張しないようにと、例の思考バイアスが僕をサポートしてくれているのかもしれません。



 結局、異世界召喚されちゃった僕が僕のままでいられているのかなんて、正直誰にも分からないのです。


 だったら、どう行動しようと僕らしいってことになるわけで。


 なら、今こうしてイリーシャさんとリラックス出来ていることを素直に楽しむべき。


 そして、調子に乗りすぎて"ぽかり"されちゃうのも、僕。



「遠い目をしているということは、プリナさんが恋しくなったのかな」


 恋しくないわけではないのですが、今はこの冒険を全力で楽しんでますよ。



「サイリ殿の覚悟も聞いたところで、そろそろ出発しようか」


 行きましょう。



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