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~Re.僕は人殺し~ 歌詞

作者: Kite


君は突然 僕に告白をした

「わたし、人を殺した…」

真夏に 冷たい玄関先

僕らは時間に置き去りにされた


不飽和な現状に不満を覚えたのはいつだった

飽和した人間を疎ましく感じたのはいつだった

憔悴した君がこぼした

「一緒に逃げよ…わたしは、〇×△□…」


僕が言葉を絞り出すより早く

「ごめん。忘れて…」

振り返る横顔から見えた瞳は

真っ赤に膨れ上がっていた

「ああ…そうか」

僕は何もかも どうでもよくなって

一人で出て行く君の手を掴んでいた


携帯とか身分証とかSNSの繋がりだとか

自分を自分たらしめるもの すべて捨てて

僅かな金とありったけの菓子をリュックに詰め込んだ

愚かな二人きりの逃避行の旅へ走った


僕らは安直に 片道切符を買った

とにかく遠い場所へ

たとえ周りから非難されたっていい

これまで後悔ばかりの人生だった

生まれた時から僕は はみだし者扱い

誰かに助けを求める資格なんてなかった


だから、わかってた…

いつまでも続けられる訳がない

走り疲れて 持ってきた菓子を貪り

金も使い果たした…

その先で 僕らが何をするのか

考えるよりも 僕らは悟っていた


飽和した君の笑顔が 僕は好きだ

あれから僕らは罪を重ね続けた

狂い始めた感覚 効かなくなった理性

脅えてた手も震えなくなっていた


怖い…恐い…コワいよ

僕らの心に芽生えた ドス黒い何か

そんなものに充たされるくらいなら

「僕は、もういいよ……もう、いいよ」


不飽和を気取る人間が嫌いだ

飽和した君が 僕は好きだった

荒んだ日々に すべてが変わってしまった

それでも…

助けを求める資格が僕らにはない

この真っ赤な手の平を見るたび

僕らが異端なんだと訴えた

嗚呼、そうだった…これは

人殺しとはみだし者の旅だ


その行き先は…

「死にたい…」

線路下のトンネルで君は

独り言のように呟いた…


違う 違う 違うよ

君は何も悪くなかったじゃないか

君が殺したアイツは 僕をいじめてた奴だろ

知ってたんだ 最初から気づいてたんだ

君は僕のために…

だから君は何も悪くない 

何も悪くないんだよ

悪いのは僕一人だ…


明るく照らされた摩天楼を見上げ

薄汚れた僕らは かすれた笑みを浮かべて

最後の約束を交わし合った

これまでの人生 全部白昼夢だったらよかったな


不飽和を気取る人間が嫌いだ

不飽和になっていく君も僕は好きだ

それでも…

君が笑うたび 僕は、自分が嫌になった

「過ち」「後悔」知り尽くしたと思ってた

それなのに…

「あの時」君を救えなかった自分が許せなくなった


「君は何も悪くない」寝ている君を残して

これ以上、後悔しないように

「助けてください…」君の居場所を教えた


飽和した人間を疎ましく思ったのは

不飽和を気取る自分が嫌いだったから

君と交わした たった一つの約束も守れない

僕はもう君といられない


僕らの異端の証明はこの血塗られた手の平だ

こんなものに充たされるくらいなら

「僕は、もういいよ……もう、いいよ」


そう言って僕は一人 ビルから身を投げだした…

僕は、君の心を殺したんだ…


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